表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫竜の花嫁  作者: 秋桜
第4章 世代交代編
151/759

守番の危機 後編

~族長代行執務室~

 翌々日の昼、龍栄、竜湖、竜紗が執務室にやってきた。

「確認とれたわ!龍光たちは全員、アナコンダ族の新作を飲んでた!眠りこける前日に飲んでたからチェックから漏れてたけど、執事が覚えていたわ!」竜湖は悔しそうだ。

「なんでアナコンダが?」龍希は信じられない。アナコンダとは縁談もなければ揉めた記憶もない。


「それが・・・」アナコンダ族に聞き取りに言った竜紗と龍栄の報告は驚くべき内容だった。


 アナコンダ族は果実酒の新作なんて作ってないと。茶色の小瓶と龍希様が飲まなかった中身の酒を見せましたが、アナコンダたちは皆、瓶に見覚えがないし、酒もアナコンダ製ではないと言うのです。それに例え新作ができても試供品としてタダで渡すこともしないと。

龍栄様がアナコンダたちから悪意もなにも感じないと仰るので嘘は言ってなさそうです。

 それに今月、アナコンダから龍栄様、龍算様、龍緑、竜夢様、竜杏りゅうあん殿も酒を購入していますが、小瓶の試供品なんてなかったそうです。

 小瓶が配達されたのはどうやら本家だけです。スミレ亭はトリのせいで配達ができないので本家で購入した物を守番が交代で運んでいます。龍賢様、龍光様以外は本家で小瓶の酒を飲んでいます。ただ龍韻りゅういん、龍景、竜染も小瓶の果実酒を飲んだそうですが、1週間以上経った今でも何も異常はでていません。

 それで本家の配達を担当していたのはイーロという名の雄ワシらしいのですが、現在行方不明です。アナコンダ族でも探していて、10日前に本家にも問い合わせが来ていました。


「なんだそれ?」龍希は頭を抱えた。

「アナコンダが嘘をついてないなら怪しいのはそのワシね。」竜湖の言葉に龍栄も竜紗も頷いた。



「やったわ!」竜夢がノックもせずに執務室に駆け込んできた。

「どうし・・・」

「龍兎が目を覚ましたわ!龍範ももうすぐ起きそうよ!」

 龍希たちは急いでシュグの医務室に向かった。



~シュグの医務室~

 龍兎はまだふらふらして会話はできないが、自分で上体を起こしていた。その隣のベッドでは、横になった龍範がうめき声をあげながら頭を横に振っている。

「シュグよくやった!」龍希は歓声をあげた。

「龍希様の若様たちのおかげです!若様たちが小瓶の中身があのアホウドリの毒と同じ匂いだと教えてくださいましたので、解毒剤を飲ませたところ龍兎様がお目覚めに。スミレ亭の龍光様には龍韻様が解毒剤を持って行きました。」

「解毒剤なんてあったのか?」龍希は驚いた。

「ええ、アホウドリの部屋から見つかった毒は量があったので解毒剤の研究をさせていたの。それに加えて芙蓉ちゃんが猫に襲われた時にワニ族の関与が分かったからワニに潜入させている間者に指示をだしたら・・・毒の資料を盗んできて、アホウドリの毒はワニ族が開発した対人族用の毒だと分かったの。それで昨晩ようやく解毒剤ができたのよ。」竜湖は興奮気味に報告した。

「は?人族用の毒でなんで龍兎たちが眠るんです?俺は毒の臭いなんて感じませんでしたよ。」龍希は訳が分からない。

「これはまだ実験中なんだけど、ワニ族の毒は人族以外にも効力を発揮する種族がいてね・・・毒見実験で今のところ判明しているのが、オラウータン族、ゴリラ族、チンパンジー族よ。眠りこけた6人の母親は皆この3種族。逆に小瓶の毒が効かなかった龍韻・龍景兄弟の母は狼、竜染の母は猫とジャガーの混血獣人だから、この種族には効かないのかも。

龍兎たちは死にはしなかったものの、毒のせいで眠りこけてしまった可能性が高いわ。」

「いや、龍兎たちには毒なら臭いで気づくでしょう!?」龍希は信じられない。

「どうかしら?あの龍灯だって睡眠薬に気づかず食べてたのよ。」

「う・・・」

 確かにそうだった。後継候補の龍灯は龍希並に鼻がきくのに・・・



「竜湖様、あのアホウドリはワニの間者だったということですか?」

龍栄の問いに竜湖は無言で頷いた。

「は?なんでワニが俺の妻を狙うんです?」龍希は驚いた。ワニの恨みを買った覚えはない。

「落ち着きなさい、龍希。ワニに潜入してる間者の話によれば、スイスイ、龍海の元妻の仕業よ。あいつは自分の離婚を芙蓉ちゃんが仕組んだなんて大嘘ついてるらしいわ。人族とワニの戦争を有利に勧めるためにあんたを唆してワニと絶縁させたとも。」

「はあ!?ふざけんな!あのワニぶち殺してやる!」

「龍希、落ち着いて。その顔やーめーて!怖い!」竜湖が慌てる。

「龍希殿、今は一旦落ち着きましょう。龍海殿のお許しがでたらワニ領までお供しますので。」

「ちょ!龍栄、もっとましな宥め方ないの?同じこと言ってるじゃない!」竜夢も焦って龍栄を見ている。

「しかし、ワニの動機がそれなら、今回の小瓶騒動はおかしくないですか?どう考えてもお酒をお飲みにならない奥様を狙ったものではありません。」龍栄は気にせず龍希に話しかける。

「確かに・・・俺の妻を狙ったというより本家のやつを無差別に・・・まさか!」

龍希の話に3人は頷いた。



 7月中には眠りこけていた全員が復帰できそうだ。龍希は安堵していた。

 アナコンダ族とは例のワシが見つかるまで今回の件については保留としたが、アナコンダ族はこれまで他族に外注していた配達にアナコンダ族の担当者を同行させるようにし、紫竜に見舞い品としてかなり上等な酒を贈ってきた。

こちらとしてもタダの試供品なんて前例のないものを疑いもせず受け取った落ち度があるので・・・逃走中のワシがアナコンダと無関係と分かればアナコンダ族については不問とするつもりだ。

 そのワシはワシ族から雇ったのではなく、2年ほど前にアナコンダ領で羽を怪我して動けなくなっていた雛を助けて使用人にしたそうだ。半年ほど前にワシが成獣になったので配達を担当させるようになり、力が強い雄ワシなので注文量の多いうちの本家の担当にしたのが3ヶ月ほど前のことだったらしい。

2年前には龍海の離婚話なんてでてなかったから、やはりワシがワニ族の間者というのは違和感がある。

それに・・・アナコンダによれば、例のワシはうちの本家以外にやはり【あの種族】も担当していたそうだ。

 歯がゆいが龍希は転変前の息子がいる本家を離れられない。

竜紗からの報告を待つしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ