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紫竜の花嫁  作者: 秋桜
第4章 世代交代編
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白猫ガス実験

~芙蓉の客間~

『可愛いなぁ~』三輪は今日も沐浴を終えた赤ん坊をじっと見ていた。

どこからどう見ても人間の赤ちゃんだ。

それに出産も普通だった。

不思議だ。

奥様から事前に聞いていたけど、やっぱりこの目で見るまでは信じられなかった。


でも、この子もそのうち空飛ぶ子竜になるんだよね・・・テンペン?っていうらしいけど

上の若様も姫様もとても可愛い。でもあの姿になるとやっぱり怖い。人外なんだと嫌でも痛感させられる。

 私もいずれは・・・龍ケイ様ってどんな方だろう?



「三輪」

「は、はい。」奥様に呼ばれて三輪は我にかえった。

「今日も龍風を抱っこしてみない?」

「は、はい!是非!」

三輪はおくるみにくるまれた赤ちゃんを受け取った。

『あ~赤ちゃんの匂い・・・いいなぁ、可愛いなぁ』

三輪は赤子を見て自然と笑顔になった。



~スミレ亭リュウカの部屋~

「くそ!」クシャナは尾の先を床にバシバシと叩きつける。

竜臭いちびヘビ2匹は怯えたようにベッドの中に隠れた。


 なんとしても転変前に人族の息子を殺さなければいけないのに!


本家の侍女(かんし)が鬱陶しいくらい張り付いている。

1匹目の時はもう少し自由だったのに・・・龍光はあれこれと理由をつけて実家との荷物のやり取りもシマヘビ侍女の外出も許さなくなった。

もう6月になってしまった。人族の子の転変は早いらしいからあまり時間の余裕がないのに!

クシャナは実家が動いてくれていることを祈るしかない。



~紫竜本家 稽古場~

「もう大丈夫です。」竜縁は稽古場の扉を開けて、廊下で待っている竜湖と竜夢に声をかけた。

「ありがとう、竜縁」竜湖と竜夢は恐る恐る稽古場の中に入る。

窓は全開だが、花のような匂いがまだ残っている。

「やっぱり予想どおりね。竜染、大丈夫?」

竜夢は床に座り込んで青い顔をした竜染を心配そうに覗き込んだ。

「は、はい。かなり頭がくらくらしますが気絶はしませんでした。」竜染は座ったまま返事した。


 白猫族の眠りガスは猫族と人族には効かないとのことなので、猫族の母を持つ竜染と竜縁、龍明、人族の母を持つ龍陽と竜琴が稽古場で眠りガスの効き目を試していた。

と言っても龍陽、竜琴、龍明はほぼ分かっていない。

 締め切った稽古場で竜染が発生させた高濃度の眠りガスは竜染にはやや効いたが、龍陽、竜縁、竜琴、龍明には全く効果が無いことが分かった。


「竜せん様、実けん前の合言葉は覚えてます?」

「ええ。マンゴーとイチゴね。」

竜縁の質問に竜染ははっきりと答えた。

「正かいです!記おくもちゃんとのこってます。」

「竜染、立てそう?」

「駄目です。まだ足が・・・いえ全身が重くて動けないのです。」

竜夢の問いに竜染は困った顔で答えた。

「う~ん、竜染の母は白猫との混血獣人だったからかしら?」竜湖はちらりと竜染を見る。

「コンケツじゅう人って何ですか?」竜縁は首をかしげる。

「ああ、両親の種族が違うことよ。竜染のママは元々は本家の使用人でね。ママの母親は白猫だったけど、父親はジャガー族だったの。」竜湖の説明に竜縁は目をぱちくりさせている。

「じゃあ・・・私もコンケツじゅう人ですか?」

「え?ああ、違うわ。あなたは紫竜族よ。パパが紫竜だからね。」竜湖はにこりと笑って竜縁の頭をなでた。



「う~ママ、ママどこー?」竜琴の機嫌が悪くなってきたようだ。

「あらあら、さ、おしまいにしましょう。竜琴、ママのところに行きましょうね。」竜湖は竜琴を抱っこしてなだめる。

「私が残って竜染についてるから、子どもたちをお願い。」

「オッケー。さ、ママたちのところに行きますよ。」竜湖は子どもたち4人を連れて廊下に出た。



「竜夢様、このガスの解毒剤はないのですか?」

「ええ。白猫族はそんなもの作れないわ。」竜夢は肩をすくめる。

「困りましたね。本家には猫族の使用人が30以上居ますし、竜の子が居れば龍希様と龍栄様の奥様は大丈夫でしょうが、他の妻は・・・」

「ええ、今冬に龍灯様の奥様が出産したら、3ヶ所での守番は無理だから本家に集まることが決まったからね。象の妻に何かあったら一大事よ。最悪、金銭賠償ではすまない事態になるわ。」竜夢は険しい顔になる。

「しかし、あの猫はどうやって眠りガスを手に入れたのでしょう?本家で自作できるはずがないですし、本家の購入品は全てチェックしています。」

「それもまだはっきりしないけど、購入品じゃないなら訪問者から秘密裏に受け取ってたりしてね。あと、鳥族だと空を飛んでる時に外部と接触し放題だし。」

「はあ・・・やはり完全に防ぐことは不可能ですね。」竜染は頭を抱えた。

「どうにかあの白鳥の間者を炙り出したいわ。何かいい知恵が出たら教えてちょうだい。」

「はい。」竜染は床に座ったまま頷いた。


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