古物商
よろしくお願いします。
俺の名は、十五徹 嵐 (さつきてつ あらし)
自称転売ヤーだ
彼は和菓子屋で働く正社員、営業マンだ
最近彼は小さい事に悩んでいた・・・
それは、出勤中に自分の愛車の(ZZ-CCRR)マフラーの音が静かすぎて時間が重なる登校中の学生たちに気付かれず危ないという意味で、うるさいマフラーに付け替えたという・・・
そして白いスポーツカーから降りた彼は、今日も職場で清やかな笑みを並べる
「あら、あらしちゃんおはよう!」
「おはようございます って、あれ?・・・」
ふと彼の目線の向けた先には異様な形をした”何か”が颯爽と置かれていた。。。
「あの、あれは?」
「ああ、あれはねぇ、とさちさんっていうお客さんがわざわざうちの会社に作らせた和菓子よ」
嵐は目を疑った
「あ、あれここで作った新作なんですか⁉ うちの会社潰れますよ⁉」
「ああ大丈夫大丈夫!あれとさちさん特注の品だから!」
明らかにそれは、モザイクが必要な巨大な菓子だった・・・
バリバリの営業マンである彼はそんなことも気にせず、いつも通り配達に行く
富士島町という、嵐が通っていた高校があるこののどかな田舎に毎日配達する彼は、あるところでブレーキを踏む
「はぁ、ここ初めて配達するところだなあ・・・」
彼が行きついた先は築500年は経つ木造建築の古い屋敷だった
「こんにちわぁ~ 木林屋から配達に来ました十五徹ですけど・・・」
中は真っ暗でクモの巣だらけ、そして一番目に飛び込んだのは大量に貼られたお札だった・・・
「え?」
すると奥の畳の部屋から一人の足音が聞こえた
「あー配達、そこ置いといて」
現れたのは15歳ぐらいのロング金髪の少女で明らかに日本人ではないようだった
日本語ペラペラだしおそらくハーフだろう・・・
「あの、ここって・・・」
嵐は少女に住所の確認をする
「ああ、ウチであってるわよ」
「はあ・・・」
「ここ、パパとママが経営してる洋菓子店の工場だから」
意外だった
文化遺産といってもおかしくないこの屋敷がただの菓子工場だというのだ
「お兄さん、よかったらお店見せよっか♪」
「いや、配達忙しいから今度にするよ」
「そっか」
どこか物寂しそうに彼女は配達物を持って行った
あれから車を走らせているととあるトレーディングカードショップに目を向ける
そういえば、フリマで相場15万のあのカード、店でいくらで売ってるかな?
仕事を終えた俺はさっそくショップを訪れた
ショーケースにびっしりと並んでいる今流行りのカードゲーム・・・しかしそれは、子供が遊ぶだけのものではなく、オトナが高額で売買するカネそのものだった
そしてこの男、十五徹嵐もその一人、
転売ヤーなのである――
続く
1話終わりです。
ではまた次回!