こころの叫び
手を指し伸びても、誰も引っ張ってくれない。それだけ大きく叫んでも誰の耳には届かない。自分がどれだけ頑張っても、夢は夜でしか見れないの。ずばり、叶えられない。
毎日毎日、この胸にある苦しみ。何もっていう空っぽさと現実。それを感じて生きていくしたかないと知りつつ、私は日常生活を送ってる。もはや生きてるのではなく、生きようとしてる。半死半生なゾンビのように、特に意味もないまま生き残ろうとしてる。その理由他でもない、死を求めながら、死に向かえないという残酷な事実だ。
七月八日
今日はまたいつも通り大学のある日だ。朝美咲とまた一緒に登校して、ふーちゃんと菫にいつもの授業に会い、昼休みの時間になる。
「子っちゃん、今日一緒に食べる?」と、菫は歩きながら私に尋ねた。
「うん、いいけー」私の言葉が完全言い出せる前に切られてしまった。その理由、私の額が手にぶつかったからだ。微妙な話かもしれないが、私の額にちょっと手汗にまみれた平手にあたったのは確か。その手の持ち主は目の前にいる、私と菫たちより背の高い、美咲がドアの横に立っていた。
「何すんのよ!」と、私は怒鳴った。
「いや、一緒にご飯食べよっかなーって思って」
私と菫は顔と目を合わせた。
「はい、お邪魔しました。どうぞ、ご自由に~」急に大声を出したふーちゃん、菫の背中を押しながら、去って行った。
「ちょっとー」私は何も言えなかったまま、ただ彼女たちに手を少し伸ばしたが、もう遠くへ行ってしまった。
「で、どうですか?一緒にお昼ご飯?」キラキラした目で、美咲は視線をため息をついた私に向けた。こいつ、本当イライラする。
「じゃ、食堂へ行きますか」と、ちょっとイラついてる表情を見せながら、行先まで先に歩いた。
食堂で美咲は学食を頼んで、私は先に席を探し、弁当を開けた。彼女は学食のメニューに書いてあったから揚げを注文してから、席についた。
「先輩、弁当ですか?」
「うん、まぁそうだけど」
「手作りですか?」
「へーすごいです!」
彼女は私の前の席に腰を下ろしながら言った。それを聞いて、私は変に彼女を見つめた。
「君、私の事バカにしてるの?」
「違います!私は本気で先輩を褒めてますよ!」
「たかが弁当ごときで大冝座よ、君は」
「いや、本当にすごいです!あんな美味しそうなから揚げやハンバーグ作れるなんて、」じっと私の弁当箱を見つめる美咲が目に入った。
「なんか食べるか?」
「え?いいんですか!?」
「いいけど。先に言っとくけど、私が作るものは君が期待してるほどいいものじゃないよ」
「そんな事ないですよ!では、から揚げいただきます!」と、箸で私のおかずを一つ取りながら、美咲は嬉しそうな顔で言った。
「てか、から揚げかよ!どんだけ好きなの?」
「これが私に大好物ですから。あと、先輩が作ったから揚げが学校のより美味しいです!」
「それは冷凍のやつだからでしょう?それはどう考えても手作りの方が美味しいでしょう
「でも本当に先輩のから揚げが美味しいですか!」
褒め過ぎ。あと、そのキラキラ目やめろ。こいつの目的は大体わかった。きっとこう言って欲しい。
「じゃ、今度作ってあげるから、その時まで我慢して」
「本当ですか!では、楽しみにしてます!」まるで人生の負担が全て解決されたかのよう表情が美咲の顔に描かれてた。
「はいはい。それよりさ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「はい、どうぞなんでも聞いてください」また、自分のご飯に夢中になりながら、私の言う事にも耳を傾けてくれた。
「君ってさ、どうして私に付きまわるのが好きになったの?」
「え、私そんな風にみえます?私はただこの人を仲良くできたらいいなーっていう気持ちを持ってるだけです」もぐもぐして美味しいそうな顔をしながら、美咲は答えた。
「仲良くなりたいだけの理由で毎朝と昼一緒いたいの?」
「うーん、そうかもしれませんね」
「それは一旦置いといて、君は自分のクラスメイトや同級生とか一緒に昼食べないの?」
「何回か誘われましたが、断りました」
「どうして?」
「先輩と一緒に食べたいからです」
「なんで、そんな単純的な理由で...」
「先輩と一緒にいるのが楽しいですから」
「私って楽しい人なの?」
「私にとっては、はい。そうです」
「あ、そう」と、私の口から出たのはその単純の答えだけだった
その言葉を聞いてなぜが胸の中の重みが一瞬軽くなった。けれど、ただ一瞬だけ。その一瞬は恐らく幸いという気持ちだった。けれど、彼女が好きなのは私ではなく、私が被ってる仮面と知ってることの上、私には幸いという気持ちは存在してはならないものを認識してるから、また元の空っぽで何も感じない私に戻った。その一瞬はとても幸せでありつつ苦しかった。お願い、もう二度と私にこんな幸いで辛い気持ちにさせないで。私は苦しんで生きていくのが正解なんだ。
*****
次の日、夕方菫と一緒に帰った。ふーちゃんは鹿島君と約束があって、珍しく一緒に帰らなかった。今日の菫は妙にうじうじしてた。感の鋭い私にはその彼女の気持ちを簡単に読めた。
「どうしたの、菫?なんかあった?」
「うーん実はね、最近お兄さんのことが心配なの?」
「なんかあったの?」
「なんかあったって言われたらまだ何もないけど」
「まだってことはいずれなんかあるの?」
「うーん、お兄さん最近会社でいじめられて、死んどくなってるみたい」
「その会社辞められないの?」
「辞めたいって何回も私には言ってるけど、家の親には中々言えなくて...」
「どうして?無職になるって言うのが怖いから?」
「それもそうだけど、でもせっかくいい会社に働いてるのに、それもまだ数ヵ月しか続いてないのに、辞めたいって言ったらきっと怒られる。そこは私たちの親厳しいって知ってるから私もなんとも言えない。手を貸してあげたいとは思ってるのに、私、何もできない...」
目の下に水滴がたまってあっという間に頬へこぼれ落ちる菫の姿が私の目の前に立っていた。私はただ彼女を抱きしめながら同情することしかできなかった。
「どうしようもないのであれば、お兄さんを励ましてあげな。君にできることをやればいいのさ。とりあえず、お兄さんの傍にいてあげな。きっとどうにかなるさ」
私は自分より小さいからだを腕の中に抱きつつ、優しい声でアドバイスしてみた。きっとどうにかなるって。『私』は菫を信じる。もちろん本当の私じゃなくて、社会のための仮面を被った『私』だ。私はもう一生他人を信用しないことに決めたから。
でもこれは、他人より一番は自分に言うべき言葉なんだ。
七月十日
今日の朝学校についた途端、おとといのようにまた焦った顔で電話してる菫の姿が見えた。その近くの机にふーちゃんの鞄は置いてあったが気配は全くなかった。
「ね、菫またお兄さんと話してるの?」と、急に後ろから聞きなれた元気な声で訊かれて、私はビクッとした。
「うわー!朝からそんな心臓に悪い事しないでよ、ふーちゃん」
「ごめん、ごめん」
「って、知ってたの、菫のお兄さんの問題?」びっくりしたせいか、私はふーちゃんが菫の事情を知ってる事にすぐ反応は出来なかった。
「そりゃ、知ってるさ」
「いつから?」
「一週間ぐらい前かな?」
「えぇ、そんなに長く立ったの?そりゃ泣き虫の菫も壊れだすか」
「え、あんたいつ聞いたの?」
「昨日」
「って、昨日かよ!」
「そこは流石親友って言う見所じゃないの?」
「親友って言われても、私単なる菫のことを中学のころからよく知ってるだけ」
「それって親友って呼ばないの?」
「さー私はそういうの気にしない。仲良くできる人なら誰でもするよ、子っちゃんも含めて」