彼女(じゃまもの)との出会い
四月二十三日
私はいつも通り大学に通い、いつも通りに講義に行き、友達とじゃれ合い、毎日のように普通に日々を過ごした。
けれど、今日は帰る時に意外な出来事に合ってしまった。
「こんばんは。」と突然後ろからかけられた女性の声が耳に入った。美咲の声だった。
私は大学帰りにあまり話かけられないタイプで、その声を聞いた瞬間、私の目は少し大きく開いてびっくりしていた。それより、私の予定。これじゃ私の日常生活が壊れてしまう。これじゃだめだ。けれど、予定より、私の建前が先。
「こんばんは」 後ろ振り向きながら私は仕方なく答えた。
「今日は早いですね。」と彼女は言った。どうして? 私との会話を続けるな。いつもただ挨拶するだけでしょう。なんで話を進めてるの? 私は誰とも話したくない。私はこれ以上誰かと話したら『ダメ』なんだ。
「まぁ、今日ちょっと疲れたから、早めに帰ろうかなと思ってたから。」
「そうなんですか。じゃ早く帰って休んだ方がいいですよ、先輩!」
それをやるつもりだったつうの。お前のせいで私の予定が崩れたんだよ!あと、『先輩?』その呼び方はあまり慣れてないな。まぁ、いっか。どうせこれは君と話す最初で最後の機会なんだし。そう思っていたが...
次の日、私がちょうど戸を閉めて、出かけようとした時にまた、聞き覚えがある声に「おはようございます、先輩!」と元気な挨拶をされた。 あぁ、またあいつだ。
「おはよう...」と私は眠そうな声で答えながら、階段のところへ歩いた。そこでまた美咲の声が耳に入った。
「一緒に大学へ行きませんか?」
彼女からの誘いを聞いて、私はまたびっくりしてしまった。『また昨日のように私の予定を壊すのか』と心の中で思った。けれど、また建前のせいで私は彼女に向かって「うん。いいよ。」と微笑みながら答えるしかなかった。
それを聞いた美咲は、私に近づいてきて、隣に歩いて、駅まで一緒に行く事になってしまった。
「今日、先輩の講義は何時までですか?」
どうして私にそんなことを聞くの?聞くな。また私の予定を壊す気?
「うーん、午前の八時ぐらいに一限目が始まって、十時半からは二限目が始まるから、多分十二時ぐらいまでには終わるかな。どうしたの?」
「いや。今日先輩と一緒にご飯食べたいなって思ってただけです。」
「いいけど」
どうして私はそう答えた!?
「本当ですか?やったー!」
「君は何時に終わるの?」
何で私も聞いたんだ?
「十一時半です。」
「時間合わないけど、どうする?」
良かった。
「じゃ、私が先輩の所へ迎えに行きます!先輩の教室はどこですか?」何でだよ!
「百三番室」
「分かりました!では、また昼に会いましょう!」
「うん。またね。」
私はとんでもない、大馬鹿だ。私は美咲と一緒に大学行きながらそう思った。いつもなら私は『彼』と一緒に行くはずなのに。こいつのせいで台無し!
今日の私の予定がまた壊された。
大学に着いた途端、私は美咲と離れ、それぞれの講義を受けに行った。美咲に最後あった時間からはもう一時間半経つ。授業が終わると、私は机にある物を片付け始めた。それをしてる間、私の友達、ふーちゃんと菫は私の所へ来た。菫は目が悪いから、いつも一番前の席に座ってる。ふーちゃんは真面目に授業を受けたいからいつも菫の後ろに座ってる。一番前は嫌だし、友人と近くに座れるからいつもあそこ。私は目もいいし、別にそんなに真剣に授業受けなくても教授の言ってることも聞こえるし、理解もできる。だから私は一番後ろから三列目に座ってる。
「昼ご飯食べよう」と菫はいつも通り誘った。
「ごめん。今日はもう約束作ってる」
「え、誰と!まさか、彼氏!」とふーちゃんは大袈裟に驚いた。
「そんな冗談やめなよ。子っちゃんもきっと彼氏作れるわよ」
「いや、そんなのありえない、ありえない。どうせ後輩か友達との約束でしょう。」手を軽く振りながら、ふーちゃんは言った。
「まぁ、ふーちゃんの言う通りなんだけど」
「ほら!じゃ、誰との約束?友達?イケてるんだったら今度私にも紹介して」
菫は大きなため息をついた。ふーちゃんはこういう人って誰でも分かってるけど、やっぱり...
「それで、結局誰と一緒にご飯食べるつもりなの?」
「同じサークルの後輩」
「そっかーじゃ、私たち先に行くね」
「うん。じゃ、また」
私が弱々しく手を振ってる間に、あの二人は立ち去った。その後、私はまだ一人になった。深呼吸してから、私は荷物を手に持って、部屋から出た。ドアを通った瞬間、私の背中に何かに触れられた感じがした。ゾクゾクして気持ち悪かった。後ろを振り向くと、美咲がドアの横に立っていた。
「先輩、こんにちは」彼女は手を振りながら言った。いや、それはただ手を振ったんじゃない。それはきっと『私がいたずらしたんだよ』という証明を見せるためのものだった。こいつは...
後輩の割には生意気なんだよ。
「食堂に行きましょ~う!」と美咲は気軽に誘った。
この子は反省という気持ちはないのか?
最初は拗ねた表情をみせた私だが、その後すぐ頷いて、私たちは食堂へ向かって、二人で昼ご飯を済ませた。食事が始まった時には沈黙だったが、それに多分耐えられなかった美咲は口を開いて、雑談をし始めた。その間に冗談も入れてた。私にとって、美咲が言った冗談の半分くらいは面白くはなかったけれど、私は流れで笑った。別に笑いたいわけでもないのに、私には笑うという選択肢しかなかった。それは決して『美咲は私後輩だから可哀そう』という理由じゃなくて、誰に対しても同じ扱いをしている。美咲は誰とでも同じ、『社会の人間』だから、同じく『仮面』の中に隠れるべきの私であった。
食事が終わって、私と美咲はまた次の教室にそれぞれ向かった。けれど、お互い離れる前に、美咲は訊ねた。
「先輩、今日の授業は何時までですか。また帰りも一緒に行きましょう」
「いいよ。私は五時ぐらいに終わる」と私はあっさりと答えた。
「あぁ、じゃ、やめておきます。私今日は六時までですし」
「待ってるよ。私も講義のあと、ちょっと用事あるし、多分時でちょうど終わると思う。玄関前で待つけど、いい?」
それを聞いた美咲は、明るい顔で私をじっと見た。まるで長い間会ってない飼い主とまた再会できた犬のようだった。
「はい!全然大丈夫です!じゃ、またあとで」
気合が入った美咲は元気よくてを振りながら、私の目に届かないところへ行った。あぁ、私は一体何をしてるんだ...
自分で自分の予定を壊してどうする。ごめんね、まだ『君』と時間を過ごせなくて。大丈夫。人間なんて他人にすぐ飽きる生き物だから、少しの間経ったらまだ一緒にいられる。『君』は人間と違って永遠に私の元から離れないからね、孤独?
昼の講義が終わり、五時になった。
「帰ろう、子っちゃん!」と、私は優しい声で誘われた。
「ごめん。もう約束がある」
「えぇ、また!まさか、またさっきの昼の後輩?!」と、ふーちゃんは大冝座に驚いた。さすがあの明るくて、目立ちたがり屋の双葉富美加。小さな私のことも大きなリアクションを取ってうるさくしようとする。私には無理なこと。
「もしそうだったら、どう思う?」
「別に何ともないけど...ただ、あんなに人と関わるのがいやな人が急に会ったばかりの後輩と仲良くするなんて、子っちゃんらしくないっていうか...」
「確かにそうわね。だって、私とふーちゃんになれるには一年ぐらいかかった」
「まぁ、人は変わるものでしょう?」と私は苦笑いしながら言った。
「あ!また珍しいセリフ!」またまた、ふーちゃんは大冝座。
私はただ小さな作り笑いをし、誤魔化そうとした。
「じゃ、私たち先に行くね。子っちゃんまた明日」
「バイバイ子っちゃん!」
それから、私今日もう二度とあの二人に会う事にはなかった。そして、私再び一人になってしまった。
荷物を片付けた後、私は教室から出て、お手洗いへ向かった。出た瞬間、足に何か引っかかって、もう少しで転ぶところだった。けれど私を押さえてくれた手がお腹の上に感じた。頭を振り向いて見ると、ニヤニヤしてる表情を顔に描いた美咲がいた。何で?!
私はそんな簡単にドジるタイプじゃないし、歩く時目の前に何かがあったら、それに気付く。けれど、そういうものがあるって言う気配はなかった。それはきっと、私は転んだんじゃなく、転ばせた何かがいるから。それか、私を転ばせた誰か。
その手から逃げ出し、バランスをとった私は、きちんと立ってから彼女に尋ねた。
「お前、何でここにいんだよ?まだ授業あるんじゃなかったの?」
「あ、五時ぐらいになってから逃げちゃいました」
美咲は目を軽く瞑って、手を頭の裏に置き、罪のないような顔して盗み笑いをした。この子は一体何のために大学に入ったんだ?バカにしてんのか?舐めてんのか?先輩に対しても全然尊敬ないし、本当に生意気だな。
「だからって...私、もう帰る」私は頭は振らして逆方向へ歩き始めた。
「ちょっと、先輩、待ってください!」という叫び声が耳に入った瞬間、走り音が後ろから聞こえてきた。「怒らせてしまいましたか?ごめんなさい」
何その誤り方?どうせ全然反省してないでしょう。
私は彼女も見ずに、無口で歩き続けた。
「あぁ、もう先輩、怒らないでください~先輩何かいじめやすい顔してるからつい...」
何その『つい?』私はお前の先輩何だぞ。少しは尊敬しろ!まぁ、そんな事はっきり言えたら、こんな状態にはならなかったかも。私も本当に『臆病者』だ。
「もう先輩、許してください!私が悪いかったです!ごめんなさい!」
私は一瞬だけ足を止めて、彼女を睨んだ。それからまた歩き続けた。
「先輩、いつまで怒ってるつもりですか?私まだ子供だから許してくださいよ~」
それを言いながら、美咲は私の頭をポンポンと優しく撫でた。あ、気持ち悪い。もう、うんざり。
「あぁ、もう分かったから触んな!」と彼女のて振りながら怒鳴った。
私はスキンシップが嫌い!
「やったー!先輩、大好き~♡」
それを聞いた瞬間背中から暖かい気持ちが広がった。力いっぱいの両腕が私の肩に抱えて、重い。これは間違えない。『ハグ』というものだ。
「触んなって言ったでしょう!」
嫌だ、嫌だ、嫌だ!
私はそう叫んでも多分この人、私を本気にしない。昔からそうだった。みんなはこういうこと普通だと思ってる。変だと思わない。気持ち悪いと感じない。なぜだ。たかが女同士だからの理由でこんな事をしても不自然と思ってないから、私のリアクション見たらみんなはただ大冝座としか言わない。人って本当に気味が悪い生き物だ。
この人はもう、私の今日の予定を壊した。また壊す気なの?どれだけ壊したら気が済むの、君は?私の人生まで壊す気か?