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小悪魔な天使

半年以上振りの更新です・・・!

お待たせしました><

「う、わ……っと、帰ってきた、のかな?」



 ふわりと風に包まれながら地面に着地するも、少しよろけてしまう。辺りを見回せば、太陽の位置もさほど変化もなく、イーラちゃんの言うとおり、時間の流れが違うらしい。後ろを振り向けば、時空の歪みはすでに消えていた。



「なんだか、濃い数時間だったなぁ。」



 溜息混じりに呟いたその言葉に、返事をする者は誰もいない。講義の時間には間に合うが、なんだか出席する気も失せてしまった。 そうだ、図書館へ行こう。この世界に来てから、本を読むことがとても好きになった。ぐっと背筋を伸ばし、目的地へと足を進める。今日はどんな本を読もうか。この世界の常識や、魔法についての知識もついてきた。少し脱線して、恋愛小説なんてものも読んでみようか。



「――あ。」



 図書館につき、奥の奥にある自分の特等席――と勝手に思っているだけだが――まで足を運べば、どうやら先客がいるようだ。それも、見たことのある顔だった。



「あれ、君は……普通科の無詠唱ちゃん。」

「なんですかそれ。」

「だって、僕は君の名前を知らないからね。あの時も結局自己紹介しそびれちゃったし。」



 いつぞやの、天使のような少年は茶化すようにそう呼んだ。誰かに聞かれたら、と思ったが、幸い周りには誰もいないようだ。わざとらしく口先をとがらせ少し不満げな表情を浮かべる彼も絵画のように美しい。



「それで、名前は教えてもらえないのかな?」

「あ、……エナ・ヴォルフです。」

「ふーん、ヴォルフ伯爵の。僕は、そうだな、バルトでいいよ。」



 悪戯っぽい表情でこちらに問いかける天使に、少し間を開けて形式もなく名前を告げた。私の性を聞き、ぽそりと反復したことは、恐らく気のせいではない。だが彼の表情から察するに、特には気にすることではないだろう。



「バルト様。」

「んー……ねぇ、エナ。僕の顔は見たことあるかい?」

「へ?ええ、この間、中庭で。」

「そうじゃないよ。まぁいいや。敬称はいらないよ。」

「え?ですが……。」

「無詠唱のこと、学園に報告してもいーんだよ?」

「バルト君!」

「うん、それでいいよ。」



 この天使の出で立ちを見ればそれなりの家の出だということが推測できる。その為、恐らく偽名であるこの名前にも敬称は必要だろうと、敬称付で呼んだところ、よく分からない質問で帰ってきた。前回の中庭であったことをこの数分で忘れたのだろうか。なんて、考えたものの、質問の意図が違ったらしい。くすくすと愉快気に笑う天使を見ながら小さく首を傾げる。どうやら彼は敬称付が気に食わないらしい。流石に一応貴族令嬢たるもの、あまり親しくない人の、それも位の高そうな方の名前を軽々しく呼ぶものではないと渋る様子を見せる私に、あろうことか脅しをかけて来た。天使に見せたとんだ小悪魔である。間髪入れずに君付けで呼んだ私に、満足そうに頷いた彼は、立ち上がり近づいて来た。


 私より少し背が低く可愛らしい風貌なのに、少し威圧感を感じるような目が私を見つめる。美形に見つめられる気恥ずかしさと、その威圧感に少したじろぎながらおずおずと目を合わせた。



「ねぇ、エナ。この間は聞けなかったけど、今日は教えてね。

――君は、精霊の申し子なのかい?」

ちょっと短めですが、キリの良いところで。

これからまたできる限り更新して参りますので、宜しくお願い致します!

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