プロローグ
処女作です
目標は書き手のエゴを出さないようにすることかな?(謎)
どんなに努力しても報われないことがある。
勉強したらいい大学に受かるだろう、スポーツに真摯に向き合い良き師を探せば才能が無くてもある程度のところまでは上り詰められるだろう。
しかし宝くじはどうだろう、どんなに努力しても空回り極々低確率な可能性を信じるしかない。
宝くじで当てなくても勉強を必死でこなし会社を経営して成功すれば同等の金は稼げるだろう、しかし宝くじを当ててまで欲しいものがその頃まで存在する可能性はどうだろうか。
俺、四十崎雄には1つ年上の幼馴染がいる。
その幼馴染、藍星輝夜のために俺はかれこれ1年半この病室に通っているわけだが彼女が起きることはない。
奇跡を待つしか無いのだ。
「輝夜、今日も雄くんが来てくれたのよ。最近は……」
輝夜の母親は毎日輝夜に1日の間にあった出来事を話す。
輝夜は一人娘ということもあり溺愛されていた。
特徴のかぐや姫カットの髪型は母親の趣味で大きな瞳に端正な顔立ちも相まって見るものを引きつけるものがある。
「美人薄命ってこのことを言うのだろうな。」
輝夜の母親に届かないよう小さな声でつぶやいてみるが胸が痛む。
「お前あんなに強気だったろ。俺に一方的にバカにされるのが癪なら今すぐ起き上がって言い返してみろよ。」
プライドが高かった輝夜は雄と些細なことで何度も喧嘩をした。
喧嘩して絶交して仲直りして、小さな頃から一番近くにいた輝夜に雄は少しずつ惹かれていった。
「あと三ヶ月で付き合ってから二年目だって言うのにな。」
この先起きたとしても輝夜からしてみればたった三ヶ月間の彼氏で過去のものになってしまうことが怖い。
目覚めて欲しい、目覚めて欲しくない、そんな複雑な感情が入り混じる。
「輝夜、今日はもう帰るな。明日も同じ頃に来るからさ。」
いつからだろう、輝夜が俺の鎖のように思えてきたのは。
かつて誰よりも自由だった少女は今では俺の枷、そう思ってしまう自分がどうしようもなく嫌いだ。
「それでも輝夜を失う痛みを感じなくなるよりはマシか。」
「女優の玉木雛さんとIT社長が昨年12月に籍を入れていたことが今日事務所より発表されました。」
家に帰ってつけたテレビからは話題の人気女優の結婚報道が流れる。
「いいよなぁ、類稀な美貌を持ってイケメンで金持ちの器量良し結婚、富も名声も得て万人が羨む美女との結婚。」
こんなにも多くを持ってる者がさらなる幸せを掴めると言うのにどうして俺には奇跡の一つも起きないんだ。
わかっているこの二人だって努力の上で幸せのチャンスを掴んだのだろう。
ならば俺にも、俺にも努力で輝夜を救える方法を、奇跡を起こすチャンスを。
「あれ、なんか急に眠く……。」