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俺の落ちこぼれた人生に拍手を  作者: 小野寺のウサギ
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絶望的で最悪な日

玄関の扉が閉まる音を確認して、自宅電話の棚の下にある籠の中を漁った。二つの電源コードを結び合わせた縄を取り出し、低い椅子を自室の扉へと運ぶ。あと、もう少しかぁと考えながらコードを扉の上に引っ掛けて、輪に首を通す。部屋に俺が深呼吸する音が響く。


「そうだ、あいつにまだ結果話してないんやった。まぁ、ええか別に。」


お母さん、お父さん、友悟、俺は今、自殺しようとしています。

理由は簡単、高校に上がれるけど、まぁあれだ、不良やギャルしかいなさそうなバカの集まりに行かされそうになったから。あそこには中学俺を軽く虐められてたいじめっ子がいるからでもある。一年中あのクラスに行けばそれこそ世界の終わりだ。お母さんもそれに頭を抱えている。


「小学だったころはそんなことなかったというのに、やっぱり中学から自由にしたのが間違いだった。」


なんて毎晩毎晩呟いているのを何回も目撃している。自分自身も夜眠れなく、寝不足の上、目の下に真っ黒なクマができている。外に出ると俺を見たり、指を指しながらヒソヒソ話してる。

そもそもなんでこうなったかと言うと、かなり長くなりそうでそうでもないような。


俺、綿狸幸村はベルギーという小さなヨーロッパの国に生まれた純日本人。両親が仕事の問題でここに来て以来、生活しているとのこと。俺にはニ歳離れた弟がいる。彼の名は友悟。昔からお人よしでやるやる性格だ、そろそろそういうの直した方がいいと思っていた。

俺は勿論学校に通っていたが、外国学校と日本人学校を分けて学んだ。平日は外国、土曜日は日本人の方だった。俺は早生まれの為、外国学校より日本人学校の方が勉強が進んでいた。幼稚園の頃から勉強をやらされていたのもあるが、それのお陰で小学は成績優秀だった。更に、俺は習い事を沢山していた、ギター、音楽、ドラム、水泳、テニスなど。俺の周りに人がいつも沢山いた毎日でかなり充実していたと思う。

全てが変わったのは俺が中学に上がったとき、お母さんも俺のこと信用して自由にしてくれた。それがすべての始まりで終わりだった。怠け者の俺は勉強をサボってどんどん成績も落ちて行って、中学三年に遂にバカ集団に行かされる羽目に。外国だと受験などなく、一年中の成果で結果が出る。俺は正直留年されると思っていたが、これは予想外中の予想外だった。まぁ、勉強をサボった分、絵が上手くなったのが唯一の誇り。友達にはそのことは話していない。転校でもお母さんは考えたけど、学校の方で話し合って留年という形にしてくれた。


まぁ、これが大体の話。深呼吸の音が止まり、椅子を蹴る所タイミング悪く弟が玄関の扉を開ける音がしたので早くコードをタンスの中に放り投げた。


「お兄ちゃん帰ったよー。何処なの?」


嗚呼、


「部屋や。今日もテニスお疲れさん。」


今日も自殺できなかった。

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