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第六楽章 再開

リッシェル来てくれたのね・・・


小声でそう呟いやようなカリーナ王妃、俺の顔を確認した瞬間、今まで、こらえていたものを吐き出すかのように、わんわんと泣き出し俺にしがみついてきた。


{おいおいスレーナ・・・仲良い姉妹のお前がいるのに、君の姉さんはなぜ俺に泣きつくんだ。この異世界での俺とカリーナってそんな親密だったのか?}


テレパシーでスレーナにかたりかけた。なかの良い姉妹が姉の心配をして、会いに来たにもかかわらず、突然のカリーナ王妃の挙動にさすがに違和感を覚えたスレーナは、ぶつぶつと言いながら、天を仰ぎ瞑想し始めた。


俺はその場を取りつくるように泣き崩れしがみついていたカリーナ王妃を優しく背中をさすりながら、安心させようとした。


ちらちらスレーナを見てこの場をどうにか収めたいと考えようとしたとき、瞑想の終わりを告げたように俺の方を向いたスレーナはテレパシーを送ってきた。


{カリーナ王妃に優しくしてあげてリッシェル・・・異世界システム・・・というかストーリーを解析したんだけど・・・うーん・・実はこの異世界なんだけど・・・すこしややこしくなっちゃったのよね・・・}


{何が起きてるんだよスレーナ}


{この異世界システムAIとの詰将棋って話をしたと思うだけど、ダンジョンが一気に8個同時発生といい、こちらが考えていた斜め上を今回もやらかしているみたいなのよね・・・取り合えず・・・カリーナ王妃をこの場で眠らせるから屋敷まで運んでね。}


スレーナは腰にさしている魔法のステッキをつかんでカリーナの方に魔法をかけた。


俺はカリーナに魔法をかけられていると悟られないように、しがみつくカリーナの顔を俺の胸で抱き締めて見せた。


「俺たちが来たから安心しな、カリーナ王妃。すこし休んだ方がいいよ。」

「今でもあなたを愛しているわ・・・リッシェル・・・・」


意味深な言葉を言いながらカリーナは魔法で深い眠りにつく。

俺はお姫様抱っこをしながら、湖のほとりから、離宮ともいえる現在カリーナ親子が住んでいる別邸にスレーナとともに向かった。


別邸に行くまで終始無言のスレーナが、別邸に着くとカリーナ王女は寝室で寝かせた、後別邸の使用人に的確に指示をして、俺たちの休む部屋まで用意させた。


スレーナと俺は空腹のまま、明かりを灯さぬまま部屋の隅にあった、ソファーにドカッと腰を下ろした。

{リッシェル・・・さっきの話の続きだけど・・・・}

という感じでテレパシーで話をした。


どうやら、アナザーモードで魔王を討伐したことにより、異世界が本気を出したようなことを言い出した。


なぜなら、この異世界は神様見習いとはいえ、複数の神様見習いが合同で作った世界であり、それぞれの神の思惑をはらんでいるからである。


今回のスレーナの姉カリーナ王妃は単なるNPC的な役割で以前から俺の知りありだけではないというのである。


{私が呪いを受けて4歳当時からこの姿だったって言ったじゃない。でも、その後の設定があったのよ。その当時8歳の姉カリーナは子供ながら姉として何とかして私の呪いを解呪しようとしたの。でも、無理で、それから10年が過ぎ、カリーナが18歳の時にルイス王と亡くなったルイス王の前妻、そして、リッシェルとパーティを組んで魔王討伐を兼ねて呪いの解呪の旅をしたそうよ。}


{まさか、当時俺は君の姉のカリーナとつき合ってたのか?}


{そのまさかよ。ルイス前王が死去する前、英雄になりたかったルイス王は旅の途中で遭遇した魔物が原因で前妻が亡くなりパーティーは解散。その後、ルイス前王が死去と度重なる不幸がかさなり、それを慰めていたカリーナがルイス王の希望により再婚相手に選ばれたのよ。でも・・・すでに、お腹の中には・・・リッシェルの子がいたことになっているんだから。・・・本当にサスペンス劇場みたいになってるのよね}


{そのことを当時の俺は知っていたのか?}


{慌てないで、リッシェル。あくまでもこの異世界でのストーリー設定なんだから。まー、話を戻すけど、それだけじゃないんだよ。当時、神託が降りた私はカリーナと結婚した後にカリーナが住む場所に、前妻とルイスの間に産まれた子を生贄とするダンジョンが発生するって、結婚する前にルイス王に聞かれちゃったらしいのよね・・・だから、巨万の富を生むことも可能なダンジョン欲しさに・・・前妻を殺して・・・ルイス前王を殺して・・・自作自演で意気消沈したルイス王との結婚を決断するようにして、カリーナ嫁ぐように仕向けたのよ。本来のストーリーなら妹の私が元カレのリッシェルと結婚して、ルイス王がカリーナと再婚するだけの予定なんだけどね。それが、ハードモードだと嫁いだ途端、ダンジョンを発生させたい領地であるこの辺境なところにカリーナ姉様を住まわせたってわけよ。本当に最低な王になりさがっちゃったのよね。}


{それはともかく同じパーティで活動していたとはいえ、許せんな・・・ルイス王}


暗闇に光るスレーナの目


{安心して、既にルイス王はクーデターで死んだらしいよ。}


俺も異世界のストーリー設定とはいえ思わず幼女スレーナの小さな両肩をつかみ暗闇の中で瞳を見ようとした。


{クーデターって、どういうことなんだ!それに本当に死んだのか?}


{いい勘してるわね。まず一つ言っておくわね。あくまでも死んだことになってるけど影武者の可能性もありうるわ。でも、取り合えず、死んだということで、話を進めるわ。さっきも言ったけど、前妻は魔物に襲われて亡くなったといいながらも、実はルイス王が殺したって言ったじゃない。そういうことなのよ。}


{どういうこと?}


{大どんでん返しがいっぱい満載なのよね。ルイス王を襲ったクーデターの一味に前妻との子が絡んでいるみたいなのよね。それも、魔王討伐後のロザーナ皇国であったよう魔物襲撃に乗じたルイス王および王族暗殺。そして、次期ルイス王候補に前妻との子・・・再婚したときに帝国の公爵領に逃がされた王子・・・これも複雑で・・・姉と幽閉されたり・・・あー面倒くさい・・・絶対シナリオ好きな神様見習いがいるのよ}


{まーいいじゃないか。そのようなストーリーで話を戻してくれ。}


{簡単に言うわね。シナリオ好きの神様見習いが私を魔王にしたいのよ!}


はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーと、思わずテレパシーで話していることを忘れ、屋敷中に響き渡る声を出してしまいそうになった。


スレーナはわかっていたようで、「はぁー」と発する瞬間に頭で俺の顎をド突いた。


{声を出さないでよ。詳しく説明するわね。この魔王のリングのせいなのよ。}


そのようにテレパシーで話すと少し沈黙した後にゆっくりとまたテレパシーを送ってきた。


{本来は私にかけられた呪いは魔女の予言によるものなの。予言の内容は4歳で成長が止まる。ってものらいいだけど、通常プレイでストーリーを進めると、魔王が私の家族を殺して魔王の妻になるらしいのよ。それを阻止して呪いを解くにはやはり魔王を殺して、代わりに魔王のリングで魔王になり解呪の方法を知ることができるそうなの。だけど、私の家族を身代わりの魔道具を使って家族を殺したことにして解呪するしかない.そして、魔王になった勇者リッシェルも解呪したスレーナ姫があまりにも美しく、恋に落ちた魔王になった勇者リッシェルが、スレーナ姫と恋に落ちて結ばれる。そして、真の愛の力でこの世界を平和に導く話だったんだけど・・・まず、すでに愛し合ってる二人になってることと、この指輪をした私が魔王代理みたいになっていることから、ストーリーがハードモードになっちゃったみたいなのよね。}


{俺が魔王になるか、君が魔王になるかの違いでも、身代わりの魔道具を使うとはいえ家族を一度は殺さないと解けない呪いって、どんだけロザーナ皇家は恨まれているんだよ}


スレーナはため息をつきながら頭をポリポリとかいた。


{それにハードモードだと、レン王子はカリーナ王妃とリッシェルとの子供でもないんだよね。ルイス王とカリーナとの本当の子供で、リッシェルとの子はルイス城の地下に幽閉されているのよね。幽閉されている女の子を人質に、カリーナはここに住んでいるっても過言じゃないんだよ。それに生贄のレン王子なんだけど、実は女の子なんだよねー。それって言ってなかったけ!}


{ますます、複雑になってきたぞ。女ならルイス王国を継承できないからって生贄にするってことか!もうわからん。で!どうしたいんだよ。}


{ごめんごめん。そんな感じ。もう一度わかりやすく言うね。ダンジョンの生贄として捕まっているレン王子は実は女の子、ルイス王国の跡取りになれないんだ。だから生贄にされたんだよ。ちなみに、カリーナとの間に産まれたのも女の子で、唯一の跡取りになる王子は、カリーナと結婚の際に、帝国の公爵領に養子に出されたんだ。そして、ルイス王暗殺を企てたクーデェターの首謀者は公爵家に関わってるみたいなんだよね。これを今後、ダンジョンと共に攻略していかなければならないのよ}


{なんとなくバカな俺でもわかった気がする。}


暗闇でも目をパチクリするスレーナが分かった。


{本当に!わかってる?ハードモードストリーはリッシェルのハーレム計画を狙っているのよ!それで心を持ったAIである私を試しているのよ!}


俺は座っていたソファーから立ち上がり声に出してしまった。


「神はスレーナを本当に魔王になるか試したいのか・・・」

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