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第五楽章 湖畔の夕べ

 ロックスターっていいよね。の一言で王道RPGで出てくる勇者装備を着込んでいるにも関わらず、なぜか、現世でライブハウスで歌っていたような服装をカリーナ王妃に会うのにあえてスレーナは指定した。


「スレーナ!お前のお姉さんに会うのに本当にいいのか?皇様に会うときは王道的な勇者装備の格好してたのに・・・まだ、小屋の右隅にかけてある魔導士ローブか、その横の旅人の服装の方が欧州異世界風でいいんじゃないか?」


俺の今の格好はどう見てものたれ死んだときの格好とさほど変わらないような気がする。


現在の具体的な装備はというと、使い込んだアコーススティックギターを片手にサングラスにТシャツの上にジャケット、そしてデニムのジーンズである。靴はなぜか真っ白なエナメルのローハー・・・・


「ハ~。リッシェルの生声で歌ってほしいわ・・・でも、よく見ると・・・ジャケットよりライダースのダブル・・・いやあえてシングルの革ジャンにして、ロングのウエスタンブーツにした方が・・・う、うん、ストリートならスニーカーにすれば革のパンツを合わせなくてもいいよね。」


「おーい。スレーナさーん。聞こえますか?あなたはいつの間にかおしゃれ泥棒みたいなAI(人工知能)になったんですか?その手に持っているのはバンダナもいいからね?聞こえてますかね。」


スレーナは可愛いほっぺに両手を添えながら目をつむりながら左右に腰を振っていやいやしている。


「だって、リッシェルが言ったじゃない。私色に染めていいって。だから、リッシェルが一番輝けて、かっこよくて、イカした男になってもらいたくて・・・それに、今から、曲がりなりにも私の姉に紹介するんだからね。」


「わかったよ。ありがとう。スレーナ。でも、その手に持っているバンダナはピンクじゃない方がいいな。ハハハ。」


これだけは死守しなければと誓う俺がいた。


少し残念そうなスレーナだけど次に俺の左手を小さな手でつかみ、シルバーアクセサリーのようなごっつい指輪を中指にしてくれた。


「これははめといてね。無限収納魔法の指輪の一種よ。無限にアイテムが収納できるのよ。っていっても、アイテムと認められないと無理だからね。例えば大地とつなっがている山や川なんかはダメ、そして、生きている生命体もだめよ。使っていればそこらへんの区別はつくはずよ。」


「すごいな、この指輪。へー。ほかに何かもあるの。」


「あるけど秘密よ。それにその指輪はあるダンジョンからのお宝なの。まだいくつかあるけど後は今度のお楽しみなんだからね。」とスレーナはいいながら俺にテレパシーを送ってきた。


{リッシェルごめんなさい。この世界のシステムAIに感づかれないようしないとまずいからアイテムやスキルの情報はこれからは基本テレパシーしたいの。それに裏チートをするってブラフじゃにけど宣言して、動きは見られているように誘導したから今後はできるだけ慎重に・・・かつ・・・道化っぽくいきましょう。}


{監視がつく誘導って・・・女の秘密2だね。}


{リッシェル・・・女の秘密2って・・・テレパシー中は心の声がダダ漏れよ・・まったく道化は今じゃなくて通常の会話中にお願いします。}



こんな会話をしているとは知らない人から見れば、二人で何ニヤニヤしているバカカップと思われるだろうな・・・ちなみにこの心の声はテレパシー中ではないことは確かである。


俺が妙に頷いていると、テレパシーでつなげたようなシステム音がした。

{ハジメマシテ・・・サイショ・・ニ・・・チュートリアルヲキキマスカ。マタハ・・・システムメニューヲヒラキマスカ?}


ヤバーイ。何か俺は無意識に意識切り替えた。速攻でスレーナとテレパシーをつないだ。


{スレーナ・・・頭の中で機械の声がいきなり聞こえたんだけど・・・いきなり切ったけど大丈夫かな?}


{魔法の指輪をはめたからかな?ようやくプレーヤーのして目覚めて、システムも認知したようね。ねぇ、リッシェル。私の言うことちゃんと理解して聞いてね。まず、まだ、チュートリアルやシステムメニューやその他のモニターメニューが頭に浮かんでも何もしようとしてはダメよ。まだ、すべての裏チートを施してないからね。それに、一度姉に会ってからでも遅くないだろうしね。ウフフ}


{わかったよ。当分、頭の中も道化に徹するよ。スレーナ}


俺は何事もないようにおどけた顔で、幼女の両手で持ち上げながらぶら下げて両手でブランブランさせて目線を合わせた。


「で?そのスレーナさんは実のお姉さんに会うのに・・・魔法少女張りのコスプレはいかがなものなのかな?その腰にさしているスティックは今にもしゃべりだしそうに動いているのはなぜかな?」


「似合う。コンセプトは清く可愛く悩ましく、夢見る魔法美少女スレーナちゃん。恋に目覚める13歳イヤーン」


「イヤーンって・・・嫌いじゃないけど・・・でもちょっと素直に、好きってみんなの前では言えなくなった気がする・・・それに13歳って見た目はどう見ても5歳ぐらいだろ。この世界でのホントの年齢は?」


「女の子の年齢は聞くのはいけないんだから。でも、この世界の私はリッシェルの年齢より7歳年下なんだからね。」


「俺の年齢は死んだときのままかな?だとすると26歳から7歳ひいて19歳ってところか・・・大人に背伸びしたい年ごろなのね。スレーナは。可愛いよ。」


「もう・・・大人なんだからね。」

{この異世界では呪われてから15年という設定よ}


「へーそうなんだ。カリーナ王妃とは2,3歳ぐらいの姉妹だったよな?スレーナ」

{初めて俺と会ったのはどのくらい前の設定なの?教えといてくれ}


「そうよ。23歳よ。18歳でルイス王と結婚して、今はケン王子は4歳なんだからね。もう、大人の言うこともわかるようになったんだから。それにルイス王には亡くなった前妻との子もいるのよね。」

{わがままし放題のお子ちゃまだけど、神託を受けた王子は運命を受け入れたみたいののよね。それにケン王子は・・・・まだいいかな・・・この話は・・・そういうことで}


「ふーん。そうなんだ。取り合えず、不敬にならないなら、もうそろそろ、スレーナ王妃のいるところに行こう。」{でも、ちょっと気になりますスレーナさん。教えてくれてもいいよ。}


そして、湖畔の近くに小屋から装備を整えスレーナの姉であるカリーナに会いに行く。


まさに懐かしのロックスターを思い浮かべる格好で・・・いいのか異世界って俺自身がツッコミを入れたくなる。


そして、湖のほとりで通信用の魔道具を握りしめたカリーナが小島のダンジョンを見つめ座り込みながら一人、たたずんでいた。



夕日に照らされたカリーナ王妃はとても美しかった。俺は言葉を失い、ただ横顔を見つめ続けてしまった。


幼女スレーナは少し嬉しそうに俺の腰を押して、カリーナ王妃に近づけた。


「きれいでしょー?惚れ治しちゃった?もっと好きになっちゃたかな?どうなの?ねぇ、ねぇ、どう?どうなの?わたしも、呪いが解ければカリーナそっくりなんだからね。えへへへへ。」


俺はカリーナを通して、大人になったスレーナを見ていることに気付いた。


気をよくしたスレーナは子猫に猫じゃらしを見せびらかして遊んでるみたいに俺の反応をうかがっている?


これまでの幼女の姿のスレーナは少し自慢の姉を俺に紹介した。


何故かというと、スレーナが落ち込んでいる姉のカリーナを少しでも気を紛らせようと気遣いをしているのだと思う。いい姉妹だな。この異世界もまんざらでもないと思ってしまった。

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