表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あなたのアイデア形にします

作者: みかた

 あなたのアイデアを形にします。

 新進気鋭のラノベ作家、之走権蔵(ゆきばしりごんぞう)先生が読者の皆さんから頂いたアイデアを元に次回作を作ろうと挑戦しています!

 『アイデアはあるけどストーリーにまで起こすことができない……』と思ったことはありませんか? そんな悩みを先生が解決してくれるかもしれません!

 ジャンル、設定、時代背景などは不問! 大雑把な設定から細かく考えたアイデア(※注)まで、どんなものでも構いません! 『先生にこんなものを書いてほしい!』というのでも構いません! 先生があなたの希望、妄想を形に致します!

 締め切りは――

(※注 先生が小説にする段階で、設定等を変えることがございます。あらかじめご了承ください。)


◆◆◆


 ネタが尽きた。某小説投稿サイトで小説を書き始めていくうちに、徐々にファンが増えていき書籍化するにまで至ったが、その1作目が完結を迎えていざ次の作品をとなった今、完全に手が止まっていた。そう、早くもネタが尽きたのだ。

 そもそも俺ってアレンジするのは大の得意だけど、設定やアイデアを0から作っていくのは凄く苦手なんだよ。科学かなんかでも『0から1は作れない』みたいなこと言ってるだろ? あれだよ、あれ。

 と言うわけで読者からアイデアをいただこうと思い立ち、募集をかけてみた。文面は冒頭の通りだ。◆で区切ったところのやつ。

 そしたら毎日数件ずつではあるが便りが届くではないか。滑り出しは概ね順調と言っていいだろう。毎日ありがたく拝見させてもらってます。

 さて、では今日きたものを1つずつ吟味していこう。どれどれ?


 『魔法も魔物も近代兵器も存在する世界。

 魔物はとても強力で、近代兵器を用いても倒せるのがやっと。


 主人公はそんな世界の、どこかのド田舎に生まれた少年。

 魔法という、魔物を倒せる才能を持っていた彼は村の人のために魔物討伐を請け負っていた。

 田舎なので魔法に対する知識や常識はなく、ちょっと珍しいけどすごいこととは思っていない。いわゆる勘違いチートもの?


 田舎暮らしは早めに終わらせて、学園ものを考えています。憧れの学園生活にドキドキしながら、非常識な力で周りから浮いてしまうとか。

 ハーレム展開にするかどうかは先生に任せます! よろしくお願いします!』


 なるほど。いかにも最近の大量生産系ラノベって感じの内容だな。それが読者に求められているからありがちなものになるんだろうし、悪いとかどうこう言う気はない。好きにすれば? というくらいだ。

 だけどどうせ書くなら何かの後追いじゃなくて、これぞ自分の作品だ! って思えるものを書きたい。

 まあせっかく考えてくれたんだし、ちょっと自分なりに手を加えてみよう。


 『魔法も魔物も近代兵器も存在する世界。

 魔物はとても強力で、近代兵器を用いても倒せるのがやっと。


 主人公はそんな世界のどこかのド田舎に生まれた少年。

 魔法という、魔物を倒せる才能を持っていた彼は積極的に魔物討伐を行い――天狗になっていた。


 ある日学園の魔術師が村へやって来ると、腕試しにと攻撃を仕掛け、ボコボコに返り討ちにあう。天狗の鼻はポッキリとへし折られてしまった。

 彼は相手の強さに恐れをなして村から逃亡してしまう。

 そう、主人公は自分より強い敵が現れると、泣きながら尻尾巻いて逃げる小物だったのだ!』


 これはないわ。主人公が致命的にダサすぎる。ない。ないわー。

 もし、仮に、万が一書いたとしてまず出オチ感が半端ない。絶対に続けられなさそう。短編としても無理だわ。

 ということなので本当に申し訳ないが、これはボツとさせてもらおう。


 とまあこんな風に、頂いたもの全てを作品として作ることはできないが、少なくとも1つ1つどういうものにしようか検討していこうと思う。さて次。


 『ちゃんとした設定とかは考えてないのですが……。

 ゾンビものなんてどうでしょうか? ゾンビを敵として描くのもありですけど、ゾンビが主人公もしくは仲間? みたいなのも見てみたいです!

 今季のアニメでもやってるし、便乗するにはもってこいだと思います!』


 なるほど。今季のアニメっていうのがおじさんちょっと分からないんだけど(すっとぼけ)、ゾンビものというか、パニック? ホラー? みたいなものは書いたことないし良い機会かもしれない。

 うーん、ゾンビものか……。俺だったら……。


 『ある日、どこからともなくゾンビが現れた。彼らに噛まれた者はみな一様にゾンビとなり、その勢力は急激に広まっていく。

 最初の感染地である四国は瞬く間にゾンビ化が進み、死者の国、死国となった――

 四国だけに――


 これは、ゾンビとなった主人公が、仲間のゾンビと共に全国制覇を目指す物語である』


 どうしよう、意味が分からない。

 まずなんだよ死国って! もうここから理解できないわ! 主人公がゾンビだとか、全国制覇とかも気にはなるけど、死国のインパクトが強すぎて全然頭に入らないんだよ!

 我ながらなんてものを作ってしまったんだ……。自分で考えておいて、何1つ理解できねえ。

 もう次だ次! あ、今日は次で最後か。どれどれ?


 『先生のヒーローものが見たいというか……ぶっちゃけ、魔法少女ものなんてどうでしょうか!? リリカルな感じの、近未来兵器っぽいものと魔法少女を融合したものって大好物なんですよね、俺!

 なのでどうか検討だけでもしてみてください! よろしくお願いします!!1』


 なるほど、SFと魔法少女か……。どちらもいずれは書いてみたいジャンルの1つだったんだよな。魔法少女をジャンルと言って良いのかは分からんが。

 とにかく、そうだなあ……。俺が考えるとしたら……。


 『第三次戦争で核が使われ、地球は放射能で汚染された――


 人々は放射能で死に至る者と環境に適応する者とに2分された。

 さらに後者の中からはその遺伝子を急激に書き換えていき、魔法という特殊な能力と、それと引き換えに成長しない身体を得る者が現れ、その者たちはのちに魔法少女と呼ばれるようになった。

 そして、生き残った者全員に共通して言えることは、繁殖に男性を必要としなくなっていたことだ。

 これが、世界から男の性が絶滅した瞬間であった――


 魔法少女たちは、放射能に耐えきれず異形と化した元人類を駆逐しながら、お互いに愛を深めて命を繋いでいく。

 これは、そんな物語――』


 どんな物語!? これどんな物語なんだよ!?

 ゾンビのやつも意味が分からなかったが、これはもっと意味が分からない。男性が必要ないって、百合!? なんで百合要素入れた!? 別に普通の環境でもよかったんじゃないか!?

 あと魔物の正体が人間って、意外と重い話だな! 他にツッコミどころがありすぎて、スルーしそうになっぞ! 気付けたのが奇跡なレベルになってるぞ!?


 ダメだ……。なんで俺はいつもいつも、出オチ感フル装備な話しか考えられないんだ……。もうダメダメだ……。

 この話はもちろん………………。

 ち、ちょっと保留にしておこうかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ