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漢の涙

人物紹介



挿絵(By みてみん)

はばたき


残忍三女と呼ばれる口入れ屋の一味の三姉妹の次女。この物語のもう一人の主人公。



挿絵(By みてみん)

毒島豚蔵


口入れ屋をも操る悪の親玉。自分の身を守る事に執着しこれまでも数々の悪行を行なってきた。

残忍三女の宿に身をおく高柳。一方口入れ屋は急いである屋敷に向かっていた。


悪代官屋敷


口入れ屋「お代官様、どうぞ。今回の儲けで御座います!」


悪代官・毒島豚蔵「うほっ!これはこれは大漁であったな!ほれ、お前の取り分だ口入れ屋。」


そう言うと毒島は小判を4枚投げた。


口入れ屋「有り難く頂戴致して。実はご報告があります......申し訳ありません‼私めの部下が浪人を一人始末し損ないまして!」


悪代官・毒島豚蔵「何ぃ❗貴様その男にばれてないだろうな?」


口入れ屋「あの、はっきりは分かりませんが恐らく怪しまれている程度かと‼」


毒島「愚か者❗貴様、万が一にも生かしておいてはならんと何度も申したであろう‼ばれればお前だけではない、この私の悪評も知られてしまうのだぞ!そうなれば私はせっ、せっ、切腹❗いや、あるいは打ち首獄門‼わかっておるのかあぁ貴様あ!」


口入れ屋「ひい!ですがご安心下さい!既に手は打ってあります!」


毒島「何だと?どういう事だ?」


口入れ屋「はい、私の持ち宿の残忍三女の巣にその浪人を誘い込むことに成功致しました!残忍三女の宿に入って出てきた剣豪は一人もおりません。奴はもうお仕舞いですよ!」


毒島「なるほど‼そう言うことか‼気が利いておるではないか!のう、口入れ屋。」


口入れ屋「はい、毒島様。」


毒島「御主も悪よのう‼」


口入れ屋「いやいや、代官様には及びますまい‼」


毒島、口入れ屋「ぬわ、ぬわ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬわ、ぬわーはっはッはッは‼」



挿絵(By みてみん)



残忍三女の宿


長女・ゆめと三女・つぐねの歌や舞をひとしきり楽しむ高柳。楽しい時間が過ぎていた。


高柳「いや、何と美しい歌や舞だ、素晴らしかった!」


ゆめ「おきに召しまして嬉しい限りですわ。」


つぐね「お侍様、こちらへ来て一緒に踊りましょうよ❤」


そう言うとつぐねが高柳の袖を引く。


高柳「いやいや、私は...ところで次女のはばたき殿の姿が見えぬようだが...?」


ゆめ「あぁ、あの娘なら今食事の支度をしているところですわ!ほら、あの娘たらああいう性格だから歌や躍りは苦手なんですよ!お侍様はあの娘がおきに召しまして?」


高柳「あ、いやその、なんだ...つまりは...そうかな?」


つぐね「えぇー‼はばたきお姉さまだけずるーい!ねぇ私の事は?」


高柳「ゴクリッ。」


ゆめ「それではそろそろ食事をお持ちいたしますわ!」


ゆめが手を叩くと座敷に食事を持ったはばたきが入ってきた。はばたきは手際よくそれらを並べるとそっと軽くお辞儀をして座敷を出ていった。


ゆめ「ごめんなさいね、あの娘接客がなってなくて。」


高柳「いや、これは豪勢な食事ではないか!いただかせてもらう。」


パクパク、モグモグ


高柳「うまい、旨すぎる!」


ゆめ「あの娘が愛を込めてお作りしましたのよ、お侍様には特別にね❤」


高柳「はっ、はばたき殿の愛が...ゴクリッ。」


つぐね「そうですわ、きっと人一倍の愛がね!」


その時高柳は便所に用をたすために立ち上がった。そして座敷を出る。


ゆめ「ふふふ、効いてきたわよ、可愛そうだけど仕方ないわよね!」


つぐね「私とても好みだったのに残念ですわ。」


便所


高柳「便所はここか」


はばたき「お侍様❗」


高柳「おぉ、これははばたき殿‼こんなところで如何なされた?」


はばたき「お願いですから何も聞かずにこのままお帰り下さい!」


高柳「!?私のことが嫌いなのか?...そうだよな...」


はばたき「さ、最後にお侍様のお名前を教えていただけませんか?......」


高柳「?...あっ私、いや、拙者の名前は高柳またろうと申す!」


はばたき「またろう様...。どうかもう二度とここへは来ないで下さい!このまちもできれば...遠くへなるべく遠く...」


高柳「...何か事情があるようだな、また会えるかな?」


はばたき「......これが最後です...。」


悲しそうな顔をするとはばたきはそう言った。高柳はショックと悲しみを堪えながらも


高柳「そなたのためならばなにも聞くまい。そなたの作ってくれた馳走、今まで食べた何よりも旨かった!」


はばたき「またろう様....どうかお元気で。」


高柳「御主も...はばたき殿。」


涙をこらえつつ宿をあとにする高柳であった。高柳にははばたきが泣いているように見えた。しかし男高柳は何も聞かずに立ち去ったのである。



挿絵(By みてみん)


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