17話 お出掛け
更新遅すぎますね。
【人間とは、どんなことにも、すぐ慣れる動物である。
私には、これこそ、人間の最上の定義であると思える。】
- フョードル・ドストエフスキー
・・・俺は気がついたのだ。恐ろしい事に。
人間はどんな事にも慣れてしまう生き物であるという事に。
どんなに刺激的な出来事も毎日体験すれば、だんだん感動は薄れていき、遂には飽きてしまうというという可能性に。
つまりメイド隊が俺の視覚情報に与える感動も、毎日目にすることで少しづつ薄れていってしまうのではないだろうか?
嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!
今俺の中にあるこの熱き情熱を枯らしてしまうのは絶対に嫌だー!
・・・フフフ、俺としたことが少し心が乱れてしまった。まあ無理もないが。
少し冷静になって、俺は思いついた。
“どんな事にも慣れる”
という、人間の長所で有り短所でもある性に対する対策を。
それは、ズバリ・・・慣れなければいい。
・・・言ってることが無茶苦茶なのは自覚している。
まあ要するに毎日見るから飽きるのだ。しかし、たまに見るくらいならば毎回新鮮に感じることができ、半永久的に新鮮な気持ちで楽しめるのではないか?ということだ。
メイド服を着る頻度を減らすのだ。
だが、メイド服を着ない日に家で普段着を着せるのも芸がないし本末転倒な感じがする。
そこで、特製メイド服の主成分である情熱を元手にナース、ポリス、サンタ、バニー、裸エプロン、etc...等の衣装を新たに手に入れ、それらを奴隷たちにローテーションで着回せさせるのはどうだろう?
この方法ならば問題は解決する上に新たな感動を俺に与えてくれるのではないだろうか?
うむ、このアイデア・・・一石二鳥、三鳥どころの騒ぎでは無い。
うむ、早速各種衣装のオーダーメイドの注文せねばなるまいな!!
そうと決まれば早速、ドーラの街の服屋に行くとしよう。
「ちょっと用事ができた。久しぶりに街に行ってくる。」
奴隷達に告げる。
「かしこまりました。すぐに服をご用意します。」
危ない。慣れすぎて、自分が全裸だということを完全に忘れていた。
奴隷達と一緒に家に入り、服を着せてもらう。
「アメリア、留守を頼むよ。」
「はい、行ってらっしゃいませ御主人様。」
「「「「行ってらっしゃいませ御主人様。」」」」
メイド服を仕立ててもらった服屋の近くに転移。
メイド服がかなり高かったためか既にVIP扱いな子供である俺は、入店すると奥の応接室に通された。
「またのご来店ありがとうございます。先日の仕立てに何か不具合でもございましたでしょうか?」
「いや、完璧な仕上がりだった。職人の腕がかなりいいようだ。」
メイド服を仕立てたのは何週間も前なので不具合があればとっくに言いに来ている。店員も承知の上での世間話的な質問だろう。
俺が提案したメイド服のデザイン案は今この店の新たな主力商品となっている。若い使用人が、自らの仕える旦那様に見初められ正妻や側室に成り上がるケースも無くはない。そういった下心がある使用人達に受けがいいらしい。純粋に自分の夫や彼氏を喜ばせる為に買う人もちらほらいる様だ。
かなり高い服なので、平民が買えるのかと疑問に感じて聞いてみると、アメリア達に仕立てたメイド服は絹やレースなどが惜しみなく使ってあるが、一般向けに売っているのはデザインは真似ているが、生地などの材料は一般向けの安価な物に変えているらしい。それでも加工に手間がかかる為、庶民には背伸びしないと買えない値段だ。
もちろんこの店が改造メイド服を売ることについて、発案者である俺の許可はとってある。メイド服の売り上げの何割かを貰おうかと思ったのだが、この店がメイド服を売り出し人気が出れば直ぐに他の店も真似るだろう。割合で貰うのはかわいそうなので、今後この店で俺が注文する時は少し割引くことと、誰よりも優先して仕立てることを条件にしてもらった。
金は魔物の素材で十分稼げるので困らない。融通のきく店が得られる方が俺にとっては有意義だろう。
「今回の要件だが、またオーダーメイドの服を5人分、何種類か頼みたい。新しく服のデザインに考えがある。」
俺がそう告げると店員の目が一瞬鋭く光り「直ぐに紙とペン、生地の見本を持ってまいります。」
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調子に乗って店員とデザインを詰めて居たら昼を過ぎてしまった。途中から店員もノリノリであれこれ服についての談義が盛り上がってしまった。
服の引き取りは、未定だ。前回のメイド服は元々有る服を改造するという案だったが、今回はこの世界には無い服だ。ナースやサンタなどこの世界には居ない。
さて、もう昼もかなり過ぎている。島から出かけたのはまだ午前だったので、服屋にいるうちに昼飯を食べそびれてしまったようだ。カリンちゃんのお店に行こう。この時間なら空いているはずだ。
次話から新しい展開が始るかもしれません。




