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13話 至高

全員の自己紹介が終わった所でとりあえず飯にしよう。


「じゃあ飯にするか。みんな外に出よう。」


外に出て、いつもバーベキューしている場所に向かう。ただ石を円形に並べであるだけの場所だ。



何時ものように魔法で薪に火をつけて、ボックス内の肉や野菜を焼いていく。焼きあがったら自作の木皿に移す。木製フォークと一緒に全員に配り終える。


「よし食べよう。」



肉に豪快にかぶりつく。肉汁が溢れ口の中に肉の味が広がる。やはりサバイバル飯はいい。肉を食べている事を強く実感出来るからだ。


周りを見ると誰も飯に手を付けていない。



「食べないの?早くしないと冷めるよ?」


冷めたらせっかくのバーベキューの意味が無くなる。



「えーと、私達は御主人様が残した残飯を頂けるのではないのでしょうか?」

アメリアが遠慮がちに言う。



6人分なので、かなりの量を焼いたのだ。全部食べられるはずが無い。


「それは君たちの飯だ。冷めないうちに食べて。足りなければ言ってくれ食材は腐るほどあるんだ。」


時間の止まったボックスの中にあるので実際は腐らないが。


早く食べればいいのに、


「で、では、皆さんいただきましょう。」



俺の無駄が嫌い発言を覚えていてくれたのか、皆食べ始める。




「奴隷がこんなにお肉を食べてもいいのでしょうか?こんなたくさんのお肉を食べたのは生まれて初めてです。」


ルシルが小声でシアに話しかけている。



「わかりません。ですが今はお肉に集中しましょう。」


シアは肉から視線を離さずに返答している。



皆余程腹が減っていたのか、あれから新たに2回も肉を焼いた。


食材を渡すと自分達で焼い食べる。俺の分も焼いてくれるし、楽だ。



食器を水魔法で洗いボックスに仕舞ってから気がつく。奴隷達に家事をさせるにしても、家事の為の道具類が一切無い。調理器具も掃除道具も無い。今まで魔法でやっていた為、思いつかなかった。明日ドーラの街で、細々とした物を買い揃えよう。何がいるか分からんから、誰か連れて行くか。いや、奴隷達の服も買い揃え無ければならない。全員で行くか。



食後はやはり風呂だろう。奴隷達は少し薄汚れているようだし、しっかり垢を落とすべきだな。


「風呂に入るから、みんな来て。」



切り立った崖の上にある露天風呂に到着。小さな島なので、家から歩いて1分くらいだ。


いつものように、海水から水を抽出し風呂に注ぐ、魔法で温めちょうどいい温度に調整する。



「体を洗うから服を脱いで」


まず、俺が全裸になり当然の事のようにサラッと言う。俺は七歳児だ、何の問題も無い。


5人の美少女達が夜空の星々にその肢体を惜しげも無くさらけ出す。美しい。


森で見つけた水につけてこすると泡が立つ石鹸のような木の実で、奴隷達の肢体を隈なく洗う。届かない所はしゃがんでもらい、磨き上げる。本当に隈なくである。


うむ、汚れが浮き出る浮き出る。全員2回づつ洗い最後にお湯で洗い流す。



「じゃあ、洗って。」



当然のように木の実を渡し両手を広げる。


洗い方を指示して、手だけで洗う方法以外の洗い方を全員に伝授する。



余は満足じゃ。



風呂に入る。6人で入ると少し狭い。背中にアメリアの果実を感じる。右腕にはシア、左腕にルシル、両足にチャムとチャイだ。今この世界は俺を中心に回っている。至高の時だ。今なら悟りが開ける気がする。



「最高だ。」


思わずつぶやく。



「はい、まさかお風呂に入れるとは思いませんでした。初めて入りましたがとても気持ちがいいです。お風呂は貴族や豪商の方々しか入る事が出来ない贅沢と聞いていましたし。」



なんだかんだ、奴隷達のリーダーのようになっているアメリアが俺の呟きに返事をする。


風呂に入れるのは使用人がたくさんいるか魔法使いを召し抱えている金持ちだけだろう。



「うちでは毎日だ。みんな俺の奴隷でいる限り毎日風呂に入り、体は常に清潔に保つように。」


俺がいなければ風呂が用意出来ない。遠回しに毎日一緒に風呂に入る事を宣言する。



「そろそろ逆上せてきたな。出ようか。」







家に戻り、寝る準備をする。と言っても、ハンモックは一つしか無い。動物の毛皮を床にひき、皆で一緒に雑魚寝だ。


風呂上がりに元の汚い奴隷の服を着せる訳にはいかない。何故か俺も含めて皆生まれたままの姿である。仕方のない事だ。明日街に買い物に行くまでの辛抱である。仕方のない事なのだ。



「明日は街に買い物に行く。皆疲れているだろう。今日は自然に起きるまでゆっくり寝よう。」


俺も今日は疲れた。なかなか濃い一日だった。アメリアに抱きついて、その果実に顔を埋めて、目を閉じる。すぐに意識が落ちていく。



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※奴隷視点





「すぅ〜すぅ〜すぅ〜」




アメリア「寝てしまいましたね、御主人様。」


小さな声でアメリアが話す。



シア「かなり魔法を使ってましたしね。」


シアが返す。



ルシル「 凄かったですよね。御主人様の魔法。あんな凄い魔法初めて見ました。」


ルシルの言葉に2人とも頷く。



アメリア「私達の御主人様は大魔法使いのようです。どこかの貴族に召し抱えられていらっしゃるのでしょうか?」



シア「それなら、無人島で独り暮らしなど出来ないでしょう。この家も、生活感がありますし。ここに住んでらっしゃるのでしょう。」



ルシル「私達の傷痕も綺麗に治してくださいましたし、一体御主人様は何者なのでしょうか?」



シア「ご飯も、たくさんいただけましたし。悪い人では無いと思います。と言うか、かなり当たりな御主人様だと思います。」



奴隷の運命は主人が握っている。その命さえ主人の自由なのだ。当然待遇は主人によって変わってくる。そういう意味で奴隷達の間では、待遇のいい主人を当たりと呼んでいるのだ。



アメリア「普通の当たり御主人様でも、良くて残飯を頂けて屋根のある所で寝られるくらいです。御主人様と同じ物を食べ、ましてやお風呂にまで入らせて頂けるなんて、あり得ません。これは現実なのでしょうか?」



シア「私もまだ、現実か夢か判断に困っています。正直、奴隷になる前の生活より贅沢です。風呂など一生縁のない物と思ってました。」



ルシル「お風呂いいですよね。あの木の実の泡でお肌もスベスベになりましたし。毎日入れるなんて夢みたいです。」



アメリア「えぇ、私達は本当に幸運です。絶望感しか無かった昨日までと世界の色が違ってみえます。」


3人ともノルンを見る。



「すぅ〜すぅ〜すぅ〜」



ルシル「御主人様ってかなり可愛くないですか?顔も愛くるしいですし。」



シア「そうですね。顔も良くて、将来有望。おまけに大魔法使い、末恐ろしいくらい完璧です。」



アメリア「ちょっとエッチですけどね。」


アメリアがクスクス笑いながら自分の胸に顔を埋めて寝ているノルンを見る。


ルシル「た、確かにエッチです。」


ルシルが風呂での出来事を思い出したのか赤面する。


シア「英雄色を好むと言いますし・・・まだ子供ですが。やはり末恐ろしい。」



3人は今の幸せを分かち合いながらノルンに精一杯尽くす事を決意した。そして深夜まで話し込み、親睦を深めるのであった。


ちなみにチャムとチャイはノルンよりも早く寝た。まだ10才なので仕方の無い事だ。

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