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9話 冒険者

冒険者という職業は基本人手不足なので、犯罪者や奴隷以外は誰でも登録できる。


街中の雑用依頼から、魔物の討伐まで様々な以来があり、数多く寄せらる依頼を冒険者ギルドが管理し、冒険者に斡旋する。


世界を周るには、冒険者の肩書きは便利だろう。身分証明にもなるし、金を稼ぐこともできる。





さて、まずは冒険者登録とボックス内の獲物を売りに冒険者ギルドに行くか、冒険者ギルドでは、素材の買い取り所が併設している。相場よりも1割ほど安いが、面倒な値段交渉もなく冒険者が狩った獲物をスムーズに売れるようになっているそうだ。別に冒険者で無くとも獲物は売れる。




冒険者ギルドの場所を人に聞きながら歩く。この街は雑多だが活気に溢れており、悪くない。スラムもあるそうだが、多少のスラム街は食いっぱぐれた者達の最後の受け皿として必要だろう。むしろ健全だ。



門から真っ直ぐ伸びる大道りを街の中心部の方角へ向かいゆるい坂道を歩く。中心まで半分くらいの所に冒険者ギルドはあるらしい。


街の中心には領主の館があり、高級住宅や高級商店が軒を連ねている。大雑把に、中心から同心円上に離れるにつれて、治安が悪くなる。



冒険者ギルドに着いた。かなり大きな二階建ての建物だ。周りで一番でかい。外観は、屋根の上に飛んでいる竜が描かれた旗が靡いている。質実剛健といった感じで、気のせいか、柱や梁も他の建物より太く立派に見える。



中に入ると、左手に受付があり、右手の壁にはには依頼の内容が書かれた紙が数多く貼ってある。今も10人くらいの冒険者が依頼を吟味している。


その他は、無造作に木製の机や椅子が置いてある区画があり、酒場兼パーティーを組んでいる冒険者達がミーティングする場所のようだ。今も2組のパーティーらしき冒険者達が固まって酒を飲みながら話し込んでいる。荒くれ者の多いイメージの冒険者だが、性質の悪い酔っ払いは、昼間ということもあり、今はいないようだ。



俺は真っ直ぐ受付に向かう。受付にいるのは美人な女の子だ。受付は10列程作れる長さがあるが、今は時間帯的に忙しくないのか受付嬢は2人しかいない。制服の様な服を着ており、なかなかよいではないか。




一瞬で吟味し、栗毛のロング、クール系の美人で真面目そうな人間族の女の子、年齢は17才くらいだろうか?を選択する。


「冒険者ギルド、ドーラ支部へようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか」



よく教育されているのか、こんなボロボロの服を着た7歳児にも営業スマイルで丁寧だ。前世ぶりに綺麗な女の子との会話に少しドキドキしてしまう。



「こんにちわ。冒険者の登録をお願いします。」


あくまで冷静を装う。


「わかりました。冒険者の登録ですね。登録の前に冒険者についてご説明致しますか?」


もちろん聞いておく。



「お願いします。」



「では、ご説明します。冒険者は掲示板に貼ってある様々な依頼書の内容を達成することが仕事になります。


依頼書には依頼者、受注可能ランク、依頼の内容、期限、報酬が書いてあります。


受注可能ランクについては、そのランク以上の冒険者しか受注できません。冒険者ランクはSランクからEランクまであります。始めはEランクからになります。ランクは、冒険者ギルドへの貢献度をギルドが独自に考慮して上がります。


1度受注した依頼を放棄すると、違約金を払っていただく事があります。払わない場合は、冒険者としての活動は出来ないように連絡用の魔導具で、全ギルドに通達します。一ヶ月以内に払う意思が確認出来ない場合は拘束し一時的に奴隷の身分になっていただき、料金に応じた労働を課します。その後、奴隷から解放します。


また依頼書に書いてある報酬は冒険者としての税金が引かれた値になっているので、冒険者として稼いだお金に関して他に税金を収める必要はなくなります。


依頼の内容によっては命の危険があります。死亡、怪我については自己責任となります。


その他、わからない事ができましたら、その都度遠慮なくご質問ください。


では、登録いたしますか?」




当たり前だ。


「お願いします。」


「では、お名前と拠点、開示できる範囲で特技を教えてください。」


え、そんなけ?

なんかもっと出身地とか種族とかいろいろ聞かれるのかと思った。


受付嬢は俺の表情から何を考えているのか察したようで、


「危険な仕事である冒険者の情報は、冒険者自身が秘匿する場合が多いですし、仮に教えていただいた個人情報はギルド側も秘匿します。ギルドは信用が命ですので。あと死亡率も高いです。管理の観点から情報は少ない方がいいのです。」


つ、冷たい。クールな美人に言われると・・なんだ、その・・・悪くない。


名前と特技は弓と魔法を少しと小声で言い、拠点は決まっていないと伝える。


魔法は、隠そうかと思ったが力を隠し過ぎて、逆に動きづらくなるのも馬鹿らしい。ギルドは冒険者の情報を漏らしたりしないらしいし、ある程度は仕方ないだろう。まあ目立つつもりも無いが。



受付嬢は魔法と言った所で整った眉をピクリとさせたが、

「拠点は決まり次第教えてください。」と言い。登録作業をする。プロっぽい。





「では、こちらが冒険者カードになります。紛失や盗難には気をつけてください。再発行には、大銀貨一枚かかります。これで登録は完了です。依頼を受けるときは、掲示板の依頼書を受付までお持ちください。」


そう言って、金属製のカードを差し出す。そこにはノルンという名前と、登録地ドーラという文字、右上に大きくEと刻まれている。裏面は冒険者ギルドの屋根にあった旗と同じ竜が描かれていた。たぶん冒険者ギルドのトレードマークなのだろう。


金属製なので壊れることは無いと思うが、無くさないようにポケットにしまうふりをしてボックスにいれる。




礼をいいギルドに併設されている買い取り所へ行く。そこで少し獲物を売って金にするつもりだ。


買い取り所は、パーテーションに区切られた大小様々なスペースがたくさんある。



受付で買い取りをお願いし、1番小さいスペースに向かう。背負っている籠いっぱいに入るくらいの量の獲物をボックスから籠の中に出し、机に並べていく。魔物の素材もあるがやめておく。俺は慎重なのだ。



鑑定が終わると職員が番号札を渡してくる。札を受付に渡すと、銀貨3枚と大銅貨4枚がもらえた。初めて貨幣を握った、ちょっと感動だ。買い取りの詳細などは、わからないが面倒な交渉もなく非常に素早かった。これからも利用しよう。



ちなみに貨幣価値は、


鉄貨は十円くらい

銅貨が百円

大銅貨が千円

銀貨が一万円

大銀貨が十万円

金貨が百万円

白金貨が一千万円である。


庶民は基本、銀貨までしか使わない。銀貨が5枚あれば庶民の四人家族が一ヶ月ギリギリ生活できる程度である。


さあ、街デビュー初日だし街を散策して土地勘をつけよう。いざというときに土地勘が無いと焦る。

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