表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/22

プロローグ

プロローグ


大学四年生、理系、男、彼女アリ。俺は今までそこそこの人生を送ってきた。親は零細企業の社長だが、いつ倒産してもおかしくない貧乏っぷりだ。偏差値53くらいの高校に進学し、そこそこな二流大学に入学。一人暮らしを始める。学費は奨学金。親の援助は高校までだ。就職は、たまたま面接が得意だったのか激務ではあるものの高収入は保証されている一流企業に内定をもらった。彼女は1年に一回くらいできるが、毎回半年ほどで別れる。イケメンでは無いが、フツメンでも無い上の下くらいの容姿だ。友達もそこそこいて人当たりもそこそこである。


こんなそこそこ幸せな人生を送ってきたおれだが、今イライラしている。4つ年上の兄貴が、親にほぼ勘当され、俺の一人暮らしの部屋に転がりこんできたのだ。俺は1人の時間を何よりも大切にする。1日数時間は、部屋で1人の時間を過ごしたい。何をする訳でも無いが必要な時間だ。彼女と半年ほどしか続かないのは、これが原因かもしれない。彼女が3日も俺の部屋に居るとイライラしてしまうのだ。


兄貴は、一年浪人、ニ回留年の後、就職活動を失敗した。結局今にも潰れそうな会社の社長である父親の紹介で、どこにでもある中小企業に入社する。親父は兄貴を跡継ぎにするのを諦めたようだ。俺に継がせようとしているのか、会社の魅力を俺に熱弁してくる。「お前には経営が向いている」とか初めて言われた。ちなみに俺は理工学部で兄貴は経営学部だ。勘弁しろ。その後、兄貴は働くのが辛いと言い出し退社。実家に居つくが、親父の顔に泥を塗ったと母親に怒られ逆ギレ。母親を殴り、父親にボコられ勘当。そうして友達の家を転々としていたようだが、流石に無理があり、俺の部屋に来やがった。


邪魔だ。本当に邪魔だ。だが母親から父親に内緒で少しの間、兄貴を頼むと電話でお願いされている。兄貴の分の生活費を俺の口座に入れて来た。俺は兄貴をあやまかすべきでは無いと思うので、放り出したいが、親には養育費などの恩がある。どうせ俺の部屋もあと数ヶ月で引き払うし、その後は、社員寮でまた一人暮らしだ。それまで我慢しよう。そしてこのアルバイトもしない兄貴と縁をきろう。また親に頼まれても、仕事が忙しい事にしよう。実際忙しくなるし。


大学四年生になり、就活も終わると暇だ。大学は、卒論のために研究室に行くだけなので、週に1日か2日だ。その大学から帰ると玄関に女物の靴がある。兄貴が女を連れ込んでいやがった。最悪だ、シーツを買い換えなきゃなーと思い兄貴にに文句でも言ってやろうと部屋に入る。遠慮など無い、俺の部屋だ。ワンルームの部屋に入ると、刺された。女にだ。意味がわからんが、多分兄貴がまたしてもクズっぷりを発揮した結果だろう。驚く女と兄貴の顔が見えた。視界が暗くなり、俺のそこそこの人生は、終わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ