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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第9章 ユートピア遊園地の平和な一時
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ユウの書 第1話 畳がえし ― 5 ―

「あぁ、ドキドキしてきましたわ。人生初のジェットコースターですわ!」

「なんやジブン、初めてやったんか?」

「えぇ。でもいつもホーリーエンジェルで空を飛びまわっていますから、大丈夫だと思っていますけど」

「あまいな。コイツはそないなあまっちょろいもんやないで。こりゃ小田桐ちゃんの泣きべそが拝められそうやな。アタイが勝ったわ」

「そういうケーニックさんは、これまでどのような経験をしていきましたの?」

「ふっふっふっ。アタイはアメリカにある、地上最高速のジェットコースターに乗って」

「あっ、富士山ですわ。綺麗ですわねぇ」

「話し聴けやジブンっ! まぁ日本の宝、富士山がめっちゃ綺麗やから許すけどなっ!」


「いつかあの富士山の頂上にも行ってみたいですわねぇ」

「日本におるといつでも行ける気分になってもうて、中々行かなくなるんよねぇ」

「ですわねぇ。でも世界遺産登録された富士山に、父の実家の家族が登りたいと言っていますので、近いうちにワタクシも一緒に登りに行くと思いますわよ」

「なんやそっちもかい。アタイのパパも一緒の事を言っとったわ」

「ケーニックさんのお父さんはアメリカ人ですわね。それでお母さんは日本人」

「せや。そっちと同じなんや」

「そうですわね。だからなのかアナタとは、他人には思えずについ突っかかってしいますのよ」

「アタイも同じや。キャラかぶりなヤツがおるなぁって思ってな。アタイのアイデンティティが薄れるわ」

「アナタの話し方で十分目立ちますわよ。なんなのですの? どうしてそのような話し方になったのですか?」

「アタイのママは関西人で漫才師なんや」

「ま、漫才師? どんな経緯(いきさつ)で出会って結婚できるんですかそれって……?」


 ガコンッ!


「あっ、そないな事言ってる間にきたでっ!」

「ついに来るのですね……」

「あ、頭からまっ逆さは初めての経験や、なああああぁぁぁぁーーーーーーっ!?」

「きゃああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」

「ど、どやああああぁぁぁぁーーーーっ!! 泣いとるかジブンーーーーっ!?」

「泣いていませんわよーーーーっ!! これくらいまだまだ序の口ですわよーーーーっ!!」

「せやったら次で泣くでジブンっ!」

「覚悟はできていますわーーーーっ!!」


 ガコンッ!


「おおぉぉぉぉっ!?」

「きゃああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」




 おー、畳がぐるぐる回りだしたな。

 あの畳がえしはその名の通り、畳が返される。

 今まで上向きに固定された状態が外れて、重力の勢いに任せてブラブラと縦に規則性なく回転させられてしまう。

 その重力感覚は縦横無尽。予想不可能な回転をしてくる為に、乗っている人は何が何やらの恐怖に(おちい)る乗り物だ。

 それに怖くて足に力を入れて気張るところを、寝ていてふんばりの効かない状態だから、余計に怖くなる。

 今にも放り出されそうな感覚になって、さらなる恐怖を与えてくる。


 いやー、楽しいなこれ。

 僕もこんな感覚になるのは初めてだから、ワクワクしてくる。


「は、放してっ! いやあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

「あああぁぁぁっ、アカンはこれえええええぇぇぇぇぇぇっ!?」

「キャアアアァァァーーーーっ! エキサイティングですわーーーーーっ!?」


 あははっ。シアたちのものすごい絶叫の声が聞こえてくる。


「ちょっ、まてそれっ! 千切れちまうぞそれっ!? 大丈夫かよっ!」

「ブラがずれてはずれちゃったよーーーーっ!! イヤァーーーーーーっ!!」


 吏子ちゃんが危機的状況に陥ってるなありゃ。必死に胸を押さえて耐えていた。


「あははははっ!! すごいのぉーーーーっ!」

「ユウっ! 変なところ見ないでわぷっ!?」


 隣通しで見られると嫌だと言っていたけど、僕の後に居る李奈がぐるぐると廻った時に、向かい合わせになって見えてしまう。それに体は逆さま状態になっているから、余計におかしい光景に見えてるんだけど。


 李奈のポニーテールが顔にぺしっと当たったり、ぶわーっと上に持ちあがったりしている。

 僕もよく振り向きざまにべちっとやられていたなー。あははっ。


「っていうかユウっ! なんで絶叫上げてないのよーーーっ!? 怖くないわけーーーっ!!」

「あははー」


 怖いと言う感覚はなくて、楽しい感覚が勝っているな。

 身も感覚も全て乗り物へ任せて振りまわされていく。


「あー、富士山がキレイだなー」

「何冷静になってるのよユウーーーーっ!!」

「悟りの境地なのぉおおおーーーーっ!!」

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