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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第8章 子琵パーキングエリアの出来事
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ユウの書 第1話 ソフトクリーム ― 5 ―

「ねぇユウ、そろそろそれ食べさせてよ」

「ん? はい。どうぞ」


 李奈がおねだりするのでバニラあずきを向けて上げた。


「んっ……ペロッ」


 李奈は舌を出して、僕のをペロッとなめとった。


「えっ?」「あらっ」


 シアと高埜さんが僕たちの様子を見て驚いていた。


「へぇー、美味しいわね。またバニラとは違った甘みになるのねぇ」

「ワタシも食べたいの~」

「はい、どうぞ」


 今度は杏子ちゃんの方に差し出す。


「あ~ん……。はむっ」


 杏子ちゃんは口を開けて僕のにかぶりつく。


「あずき味のほんのりとした甘みがあって美味しいの~」

「ユウっ! そっちの溶け始めてるっ! ヤバいわよっ!」

「えっ? うぉっ!? た、垂れ始めてるっ!」

「あぁ、もう! もったいないっ! レロッ!」


 李奈は僕に寄って来て、バニラチョコ味のソフトクリームを溶けて垂れ始めている部分から、下から上にかけてなめとっていく。


「ワタシも~」

「はいはい」


 李奈は一端口に入ったのを味わっている最中に、杏子ちゃんの方に向ける。


「はむっ、あむっ、むぐむぐぅ~」


 杏子ちゃんの場合は舌が短いので、しゃぶり付くようにするんだよなぁ。


「あっ、杏子ちゃんってば。鼻に付いちゃってるよ」

「ふぇ?」


 僕はハンカチを取り出して、杏子ちゃんの鼻に付いたソフトクリームを取ってあげる。


「えへへ、ありがとうなの♪」


 僕も溶け始めてる部分へパクっと食べた。


「ユウくんっ! そ、それを食べますのっ!?」

「んぁ? シアも食べたいの? はい」


 僕はシアの方へ腕を伸ばしてバニラチョコ味を近づけて上げた。


「い、いえっ、その……。か、間接キスと言うものじゃありませんか? それって……」

「え? あー……。まぁ、そうだね」


 そう言えば全く気にしてなかった。


「アタシたちって、普段から食べ物を廻し食いしてるせいで、そんなの気にした事ないわね」

「そうなの。お兄ちゃん、そのあずきの、もう一口食べたいの。イチゴの方も食べていいから」

「気に行ったのなら全部食べちゃってもいいよ」

「ホント? それじゃぁ残ったイチゴはお兄ちゃんにあげるの」

「ありがとう」


 そう言って僕たちが食べていた物を交換した。


「そ、そんな簡単にしてしまうものですか……」

「李奈ちゃんとはした事あるけど……。男子とやるのはすごいよね」

「家族みたいな付き合いしてるからよ。シアはそう言うのしてないの?」

「え、えぇ……。していませんわ。おかずも全て別々ですから、相手の口が触れた物を食べると言うのは、全く経験がありませんし……。例え家族と言えど」

「ん~、そういわれてみれば。小野寺家ではそういうのありませんね。鍋の時もとりわけ用のさい箸やおたまを使って、口が付いた状態ではないわ」


 高埜さんは、自分が持っている紅芋味をシアに向けた。


「おいしいわよぉ。シアちゃんも食べてみて。ねっ♪」

「え? えぇっ!? 小百合お姉ちゃんのをっ?」

「ほぉら、初体験♪」


 高埜さんがシアの口元まですぅーっとゆっくり持っていく。

 シアも逃げていいのか逃げちゃダメなのか戸惑って、ワタワタと首をこちらに向けたり、ソフトクリームに向けたりと困惑している。


「あ~ん♪」

「あ、あー……っん」


 高埜さんのトドメの言葉によって、近づけられたソフトクリームを口を開けて出迎えるシア。


「どう?」

「そ、それも美味しいですわね。バニラとは違う甘みがまた格別ですね」

「んふふ~♪ 交換する?」

「えっ? えーっとぉ……」

「シアお姉ちゃん、あずきも食べて見るといいのっ!」


 そう言って杏子ちゃんが、もう大分コーンに近くなったソフトクリームを差し出してくる。


「え? そ、それをですか? ユ、ユウくんが食べていたあずきを……」


 顔を赤くして躊躇(ちゅうちょ)するシア。

 友達とはいえ、やっぱり抵抗あるだろうに。


「あっ、やべ。溶ける溶けるっ!」


 イチゴ味を食べていたら、バニラチョコが溶けているのを発見して僕はそっちを食べる。ただでさえ1本でも溶けてきて大変なのに、余計にあるとさらに忙しいぞこれ。


「もうヤバいわねこれ。ぺろっ」


 李奈も一緒になってバニラチョコを食べてもらう。そうやって交互に食べたお蔭で、大分溶けてヤバくなっていた部分も減って、残りはコーン部分だけになっていく。


「あ、あんな大胆に……」

「まぁっ~! ユウさんは子供ながらやりますね」

「わ、私も見ていてヤキモチやいちゃうよ……」

「ん? おっ、あぁっ!? 吏子ちゃん、垂れてるってっ!」

「え? あっ!?」


 コーンのそこがふやけて溶けていて、そこから漏れ出したバニラがポタポタと吏子ちゃんの胸の上に落ちていた。


「や、やだぁ、シミになっちゃうよー」

「はい、これを使ってくださいっ!」


 そう言って高埜さんが(ふところ)から手拭いを出して吏子ちゃんに渡す。


「すみません。お借りしますぅ!」


 吏子ちゃんはせっせと服の上のバニラを拭いていく。


「なんかブラまでしみちゃってるっぽい。なんか湿ってるの……。ベタベタになっちゃうし、匂いが付いたままになっちゃう」


 吏子ちゃんのあの胸からソフトクリームのバニラの香りが漂ってくると、どえらい事になりそうだな。


「1回トイレにいってしっかり拭いてきたらどう?」

「そうするね。あ、李奈ちゃん。この残り食べちゃっていいよ」


 そう言って李奈に危機的状況になってるバニラの残りを渡してくる。


「んー、さすがに食べすぎよ。ユウが食べたら?」

「え? ユウくんに……?」

「え? さすがに僕も食べすぎてる感があるんだけど」

「男なんだから体重とか気にしないでしょっ! 女の子を太らせる気?」

「わかったってば。じゃぁ変わりに杏子ちゃんのを持ってよ。李奈も食べたかったでしょ。もうこれも残り少ないからいいでしょ」

「そうね。それじゃそっちをもらうわ」


 両手がふさがっている僕は、同じく両手持ちになっている李奈と器用にバニラとイチゴを取り換える。

 吏子ちゃんのバニラがかなりヤバいので、バニラチョコより先に僕はせっせと食べていく。


「わ、私が食べたのを……、ユウくんが……」

「あっ、ごめんね。えっと……、いただきます」

「う、ううんっ! 良いよ別に……。ワタシはちょっとトイレ行って来るね」


 吏子ちゃんは顔を赤くして、ささっとその場から居なくなってしまった。


「ねぇねぇ、シアお姉ちゃんもお兄ちゃんに食べてもらったら?」

「えっ!? えっとぉー……」

「杏子ちゃん。他人が口付けた物を食べるのを嫌な人もいるんだから、そんな無理に勧めちゃダメだよ」

「えー、でもさっき高埜お姉ちゃんのは食べたの……」

「2人は家族間の付き合いがあるからだよ。僕らだってそうだろ」

「お兄ちゃんは吏子お姉ちゃんのを食べたの」

「まぁ付き合いも長いから平気っていうか……」


 少しは抵抗というか恥ずかしいと思ったけど、吏子ちゃんのだから美味しくいただけました。

 まぁ僕でも李奈と杏子ちゃんのを食べるのと違って、吏子ちゃんだと少しは意識するぞ。


「それじゃぁお兄ちゃんは、シアお姉ちゃんの食べたソフトクリームは食べられないの?」

「え? んー、それは……」


 そう言われてシアが持っているソフトクリームのバニラ味を見た。

 溶けている部分をシアが丁度なめとっているところだった。

 それを見られて少し恥ずかしかったのか、目線が合うと頬を赤く染めて目を反らした。

 あの部分を僕が食べるのか……。


「シアお姉ちゃんの、食べたいとは思わないの?」


 な、なんだろうなこれ。僕の回答になんか全員目がこちらを向いてるんだけど。

 えっと、この場は……。


「む、無理だって。例えるなら平沢が食べていたソフトクリームを、杏子ちゃんは食べたいと思うか?」

「嫌なの」

「そ、即答……。えっとね。それと同じで、慣れた人同士で食べれるのが廻し食いなんだよ。僕もシアと1ヶ月もまだ経ってない付き合いだし」

「そっかー」


 すまん平沢。例えにオマエを使って……。別に嫌われているわけじゃないんだよ。


「吏子ちゃんとは入学当初から付き合いがあるし、よく一緒にて互いをよく知りあっているから食べれるからさ。杏子ちゃんも吏子ちゃんのなら食べられるでしょ」

「うん、食べれるの。そう言うものなんだー」


 そうこうしているうちに、なんとか溶けて危険になっていたバニラを食べ終わり、次に残ったバニラチョコ味へ挑む事となった。

 シアも高埜さんと交換したのか、手に持っているソフトクリームが変わっていた。


「あ、食べ終わったわね。それじゃユウ。やっぱ全部は無理だわ。残り食べてよ」

「うへぇー……」


 李奈がイチゴ味のコーンがちょっとかじられた状態のを僕に渡してくる。

 1本おまけでラッキーと思っていたけど、結局僕が大量に食べる事になって辛い状態だった。

 みんなの持っているソフトクリームもう残り少なかったので、廻し食いなどはせずに自分が持っている物を最後まで食べていった。

 トイレに行っていた吏子ちゃんも帰ってきた。

 もう少しここで休んでから行く事にして、僕たちは雑談し始める。

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