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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第7章 その頃のあの人たち
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ユカリの書 第2話 ユカリたちの戦い ― 4 ―

 控室に戻ると斎藤たちが出迎えくれた。


「やりましたねっ! ユカリさんっ!」

「まぁね。今回はミックスジュースの相性がよかった。侍でもイケたかもしれないけれど、下手な物を使っていたら、相手に攻撃が通っていたかどうかがわからなかった」

「ホンマやでぇ。まさかユカリちゃんがボイス系を使うなんて思わんかったわぁ。ユカリちゃんって、色んなもんを使って行くタイプなんか?」

「基本的には得意な物を使って行くけれど。時と場合によって臨機応変に変えて行く」


「すごいわぁ。まだそんな歳でもないのに、色んなメタモルフォーゼをこんな上手く扱いこなせるなんてなぁ。それに思ってもみなかった行動を取ったり、同時に違う攻撃をしてきたりと、今まで戦った中にはそんな風に戦えるヤツはおらんかったで」

「アンジェお姉さんもおつかれさま。残念だったわね」


「まぁーなぁー……。あの防御結界を破壊せないかんからと、特殊な魔法剣を使うしかなかったからなぁ。でもアタイって接近戦よりは遠距離攻撃派やし、あんな風に突然殴られるなんてパターンなかったから、回避もできんかったで」


「武器が交差した時に感じた接近戦慣れしてない感じから、こうした意表をついた攻撃をすれば、相手が怯んで隙が出来ると思った」

「うわぁー、マジかぁ……。いやぁー、ユカリちゃんに1歩も2歩も先こされとったんやね。まいったわっ!」


「本当にすごいわね。私たちと同じ歳に見えないわ……」

「え? 同じって……」

「私はこう見えても9歳で4年生だ。年下にいつも見られる」

「そうだったんだぁ。えっと……ごめんなさい」

「別に気にしなくていい。もう慣れた」


 むしろ私はそのスタイルで来る事を誤ってほしい……。私なんて将来さえ危ういというのに……。くそう……。そのスタイルが(うらや)ましい……。憎いーーーーっ!


 ~♪ ~~♪


 バカな考えをしてると、私のスマートフォンが鳴りだした。

 通話相手は健か。


「ちょっと失礼」


 私はみんなから少し離れて通話に出た。


「健か? どうした?」

『あー、ユカリお姉ちゃん。またお姉ちゃんが発作起こしちゃってさ。体が痛い痛いって……』

「えぇっ!? お姉様の容態は?」

『前みたいに怯えてはいないんだけど、痛いのを誤魔化す為にまた走り回っちゃってさ……』


 昨日の夜にも発作が起きた。

 そしてあの痛みによる苦痛から逃れるために、お姉様が急に庭に出て走り回ったのにはビックリしたな……。いつもなら体を丸めてガクガクと震えているだけなのに……。

 お姉様なりに元気に成りたい為に思い付いた方法なのだろう。


「それでお姉様はドコに?」

『ごめん。追いかけてはいたんだけど追い付けなくなっちゃって見失っちゃった……。もうぼくたちは会場には居ないから』

「そっか。わかった……。まぁお姉様に連絡を入れれば場所はすぐに分かるから。取り合えず健は私たちとまず合流して。今居る場所は?」

『えっと……。今屋上の方にいるんだけど……』

「わかった。すぐにそっちに向かうから」


 私は通話をきった。


「何かありましたか?」

「お姉様が発作を起こした」

「本当ですか? それならすぐに行きましょう」

「あぁ。私たちはこれで失礼する」

「せやかぁ。せっかくやったし、もうちょっと色んな事しゃべりたかったけど、しゃーないか」

「また勝負しましょうね」

「えぇ、それではまた」


 アンジェシカたちと別れて、健がいる屋上まで急いだ。

 健をすぐに見つけて声をかけた。


「健、お姉様は見つかった?」

「あ、ユカリ姉ちゃん。うん、今そこでドリペンちゃんと一緒だよ」


 そう言って健が指差した方を見ると、お姉様がドリペンちゃんの着ぐるみと一緒に写真を撮っているところだった。


「よかった……。大丈夫そうか」

「しかしあんな発作が急に出たりしたら、遊園地で大丈夫か?」

「大丈夫だと思うけれど……。また起きたらこうして何か気分がまぎれる事をすればいいし」

「そうですね。ずっと発作を気にして引きこもっているよりは、こうして外出を多くしていきたいですね」


 斎藤も賛成派に周ったので、明日の遊園地へ行く事は大丈夫だろう。


「ありがとうございました。あっ、みんなーっ! ねーねぇ、みんなも一緒に写真撮ろうよぉーっ!」


 私たちを見つけたお姉様がこちらへ来いと手招きしている。

 ふむ……。お姉様との思い出造りにやるか。


「元気そうですね。アレなら大丈夫でしょう」

「そうだね。あ、ぼくは写真はいいや」


 ナゼか恥ずかしそうにしている健。


「そんなこと言わずに一緒に取るぞ」

「え? ちょっと待ってよユカリ姉ちゃんっ! ひ、引っ張らないでってばっ!」


 健を引きずってお姉様と一緒にドリペンちゃんを囲んだ。


「それでは撮りますね。はい、チーズっ!」


 パシャッ!


 係員の人がお姉様のスマートフォンで写真を撮った。


「ありがとうございましたぁ♪」


 お姉様は上機嫌でスマートフォンを返してもらうのと同時に、フウセンも一緒に受け取った。


「ちょうどいいタイミングで来たね。あっ、フウセンもらったら?」


 ドリペンちゃんがフウセンを持って、周りに居た子供たちへとくばっていた。


「いや、フウセンはいい。それよりお姉様。体調は大丈夫?」

「うん、もう平気。いやぁー、痛かったー。やっぱりあの痛みはしばらくは続くんだねぇ」

「精神的に安定してくれてよかったですよ。あんな暗い花音を見てるのが辛かったですからね」

「えへへー。これも涼さんのお陰だよぉ。もぉー涼さんっ! ありがとうだよぉーっ!」


 お姉様がフウセンを持つ手をブンブンと振りまわしている。


「それじゃぁ痛みも引いたし、次は何しよっか?」


 私は広場の時計を見た。時刻は午後2時半になったところか……。


「なぁ。やる事もやったし……。そろそろ帰らないか?」

「そうですね。明日の為に今日疲れてはいけませんからね。花音も早めに帰って体を休ませておかないと」

「えー、私はまだ大丈夫だよぉ。もっと遊ぼうよぉ」

「ダメ。お姉様も病み上がりなんだから……。私も帰る方に賛成する」

「むぅー、まぁ明日いっぱい遊ぶもんね。わかったよ。それじゃぁ帰ろっか」


 そして私たちは帰宅する事にした。

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