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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第7章 その頃のあの人たち
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ユカリの書 第2話 ユカリたちの戦い ― 1 ―

 私たちはメタモルバトル会場の受付で手続きを済ませて、選手控室で順番を待っている。

 対戦相手はランダム対戦で決めた。

 ランダム対戦は公式試合での対戦成績や、持っている武器のランクなどをデータ化して、1番自分に近い強さの人をランダムに選んでくれるものだ。

 もちろん指名で相手を選ぶ事はできるが、それで相手が弱すぎてつまらなかったり、断られる事も多いので、顔見知りや有名人でなければ指名で選ばれる事はそうそうにない。


「年下の羽澄さんか。今回は大人の相手ではありませんでしたね……。どんな方でしょうかね」


 斎藤の実力であれば大人と当たっても申し分のないのだけれど、それでもその年下の女の子とレベル的に同じとなると、その選ばれた子はただものじゃないな。

 どんな試合が見れるか楽しみだな。


「私はいつごろ決まるんだ……」


 そして私の対戦相手はまだ決まっていない。

 自分とレベル的に近い相手が居なかった事で、控え状態になってしまっている。


 さすがに今の実力は、そこら辺にいるような相手のレベルではないな。

 大神へ勝負を挑む前にそこらのメタモルバトル広場で、普通の人たちと戦っていたが本当に歯ごたえの無い戦いばかりだった。

 もし私の対戦相手がしばらくしても決まらなかったら、普通の実力でもいいから相手をしよう。使うミックスジュースを弱体化させたハンデなどして戦えば面白くなるな。


『試合待ち番号23番の方。羽澄 吏子様。斎藤 嵐様。準備控室へお越しください』


「ガンバって。相手は誰であろうと油断してはダメ」

「もちろんですよ。それでは行ってきます!」


 私は斎藤を見送った。ガンバれっ! 斎藤っ!




 さて……。やっと私の番ですか。

 やはり人気がある場所だけあって、順番待ちも長かったですね。


「あ、あの。対戦相手の斎藤さん……ですか?」


 私の前に女の子がやってきた。


「はい、そうです? えっと……アナタが羽澄さんですか?」


 その女の子はとても9歳とは思えない胸の大きな女の子だった。


「そうです。よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いしますね」


 私たちは互いに挨拶をする。

 子供ながらとても礼儀正しい子ですね。

 可愛い顔でスタイルも良い子だから、モデルとかの仕事とかやっていそうだった。


 私たちの前の対戦相手の試合が終わり、私たちは闘技場へと上がる。


「らーーーーんっ! ファイトーーーーッ!」


 たくさんの人の歓声の中から、ひと際大きくて目立つ花音の声が聞こえた。

 すぐに見つかって花音と健に向かって手を振った。


『それでは両者、メタモルフォーゼしてください』


 アナウンスの指示に従って、私はミックスジュースを飲んだ。

 もちろん使った物は、いつも得意としているタカの鳥人スタイル。

 武器は和弓を取り出した。

 時と場合によってアーチェリーにも切り替える為、マジックリングには両方入れてある。


 対戦相手の羽澄さんを見てみると、ゴスロリの衣装を身にまとったヒューマンタイプ。

 手には円盤の盾とハンドガンを持っていた。


 ヒューマンタイプとなると、花音と同じ格闘家と見た目で区別が付かないけれど、衣装によっては使用したメタモルフォーゼの能力を上げてくれる為、基本的にその能力に合った物を着る事が多い。


 ゴスロリ……。っと言う事は、相手はサイキック系のメタモルフォーゼといったところでしょうね。

 しかしサイキック系と言っても種類は豊富。どんな技を使ってくるかは、戦うまではわかりませんね……。


「アレ? ドコかで見た事あるような……」


 対戦相手の羽澄さんが私の姿を見て、疑問を持ったみたいだった。


「あっ! 茶の木小学校で大神と戦った時に見た、タカの頭の女性の人っ!」

「おや? そう言われるとなると……。アナタは茶の木小学校の生徒でしたか?」

「はい、そうです。茶の木小学校の生徒です」

「そうでしたか……。茶の木小学校の生徒の方々にはとてもご迷惑おかけしました。今この場所でなんですけれど、申し訳ありません」

「い、いえ。そんな……」


『両者、準備はよろしいですか?』


 っと、おしゃべりはここまでにしないと、後がつっかえてしまいますね。

 私たちは審判(しんぱん)に向かって準備が整ったと合図を送った。


『それでは、メタモルバトルっ! ファイトっ!』


 その試合合図と共にまずは矢を1本、相手に向かって放ってみた。

 相手はその矢を盾で素早く防ぐ。

 反射神経は良いですね。


 相手もハンドガンをこちらに向けて撃ってきた。

 3発の弾が一瞬で飛んでくる。。その攻撃にすばやく上に飛んで避けた。

 1回の引きがねで3発分を撃てる、3点バースト式のハンドガンでしたか。


 なら私も3つの矢を同時に射る技をお見せしてあげましょう。

 3つの矢を和弓のツルにかけて、相手に向かって同時に放った。


「えぇっ!?」


 予想外の攻撃に盾で受け止めつつ、必死に避けた。

 盾に1本弾かれ、1本は完全に避けられて、残った1本が相手の左肩をかすめた。


「いつっ!」


 私は立て続けに空から矢を3本同時に放っていく。

 相手も盾でなんとか防ぎ、ハンドガンで反撃を繰り返して行く。

 こうして対戦すると、相手も接近戦よりは遠距離と中距離での戦い方をするスタイルのようですね。私へ近づこうと言う戦い方はしていない。


 カチッ。


「あっ……」


 羽澄さんの弾が切れた音がした。

 ならリロードをするでしょう。その瞬間の隙を私は見逃しません。矢を急所へ当てましょう。

 っと思ったら羽澄さんは、ハンドガンをマジックリングに戻して、変わりに同じハンドガンを手に取った。


 2丁拳銃使いでもありましたかね?

 ハンドガンをこうして使い続けるとなれば、メタモルフォーゼはガンマンでしょうか?

 ガンマンの特殊能力と言えば、銃などのリロードがとても速くて隙がなかったり、弾の命中率も格段に良くなったりする。

 時には跳弾(ちょうだん)などを駆使する攻撃も得意とする。


 相手がガンマンだとしても、なぜ衣装がゴスロリなのでしょうか?

 リロード時間をより短縮する為に武器を切り替える方法を使う人はいる。

 しかしガンマンであれば、リロードする方がとても効率的でもある。


 何かありますね……。

 それでしたらこちらも次の手を打つとしましょう。そろそろ効果が表れてくる頃でしょうからね。


「あっ……、アレ? 体がしびれて……」


 羽澄さんの様子が変わった。


「これ……、毒っ!?」


 すぐに気が付いたようですね。 

 あの肩をかすめた矢にはしびれ薬を塗った矢を使用していた。

 効果が現れ、相手の動きが鈍くなってきた時が狙っていた本当のチャンスですっ!


 矢を当たれば爆発する矢に変えて、私は相手に向かって放った。


「や、やっばぁーっ!?」


 焦った羽澄さんの目の前に、銀色の球体が突然現れた。

 なんだアレは?

 その球体が爆発矢と当たって、羽澄さんへの直撃を免れた。


 私は一端飛ぶ事を止めて、地面に降りた。

 羽澄さんの様子と、その突然現れた球体の分析をする為に観察をする。


「いっけぇーっ!」


 浮遊している銀色の球体は、私の方へ向かって勢いよく飛んで来た。

 それをしゃがんで避ける。

 その球体は勢いを止める事なく、旋回して再び私の方へと飛んでくる。


 これはサイコキネシスか?

 物体を操る超能力系の技。そして球体を自在に操るとなれば……。

 サイキックボールマスターと言うメタモルフォーゼですね。

 球体状の物であればなんでも手で触れる事なく、自在に浮かばせて動かす事が出来る超能力技を持っている。


 その人の力量によるが、球体であればとても大きくて重たい物でも自在に操れる。

 あの鉄球も重さは15キログラムはありそうですね。

 あんな物を勢いよく当てられたら、ひとたまりもありません。


 動きを止める方法はあるにはありますが……。

 ある程度、球体としての形で無くなれば、それを操る事ができなくなります。

 ヘコませたり、大きな穴などが開いたり、操れる範囲外に行ければ動かす事はできない。

 ただあの爆発矢を受けても原形をとどめているとなると、形を変える事は難しいですね。


 飛んでくる鉄球を避けながら、何か対策を取ろうと必死に考える。


「むぅ、しょうがないかぁ……。とっておきのやっちゃうよぉっ!」


 そう言って何か入った袋を取り出して、私の方に向かって中身を床にばらまいた。

 アレは……、パチンコ玉っ!


「マズイっ!」


 私が予想した攻撃が的中した。

 その小さなパチンコ玉が次々と弾丸のようにで飛んでくる。


「くっ! このっ!」


 それはまさに敵陣に囲まれながらの集中砲火。

 飛んで必死に避けたり、盾を取り出して防ごうとしても、あらゆるところに散らばったパチンコ玉が四方八方から飛んで来くる。


「死角はないですよぉーっ!」


 相手の毒によるしびれも治ってきたのか、すでにしっかりと立ち上がっている。

 私へと銃を向けた。


 銃と一緒にこのパチンコ玉の攻撃。さらにあの鉄球が上空から襲ってくる為に、空にも逃げれないと言う連携攻撃に太刀打ちができなかった。


 ダ、ダメだ……。

 ダメージを受け過ぎて、もう体力的に限界か……。

 膝をついた瞬間、体が熱くなって変身が解けるのがわかった。

 私は敗北したのだった……。

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