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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第7章 その頃のあの人たち
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ユカリの書 第1話 ドリームペンシルに行こう ― 4 ―

 健たちとも合流して、私たちはそのくじ引き会場へ向かい、すぐにたどり着く。


「何が当たるのかな~?」

「1等は車ですか。あ? アレ? もう当たって無くなってるみたいですね」

「1等はないのかよー。でも車か……」

「持ってても維持費がバカにならない。私はいらないと思う」

「当たりの様なハズレってヤツかよ」

「あーっ! 5等があの大きなドリペンちゃんだよーっ!」

「え?」


 お姉様がそう言ったので見てみると、確かにあのショーケースにあった大きなドリペンちゃんと同じだった。


「アレを当てたいねっ!」

「そうですねぇ……。めぼしい物と言えば、温泉旅行券に高級お肉、ユニコーンの角と言ったところですね。2等はもう当たってるみたいですね」

「なんだよー。1等も2等もないくじ引きって、やってて楽しみないじゃんかよぉー」


 その言葉にくじ引き会場の係の人がビクッと反応して、何か思いつめたように遠くの方を見て固まってしまった。


「2等はルビーと黄金の鎧だったみたいですね。すごい防具ですねあれ」

「あんなの誰が使う。ただの見た目だけで弱いだろ」

「おそらく鑑賞用ですよ。戦いに使う事はないでしょうね」

「あんな鎧を付けて戦いに来たら、バカなヤツでしかないな」





「へっくしょいっ!?」

「わぁっ!? ユウくんっ! 急にビックリさせないでよね。こぼすところだったじゃない」

「ごめん、海流お姉ちゃん。えーっと……、なんだろな。コーヒーの粉でも鼻に入った?」





「よぉーしっ! 狙うは5等の大きなドリペンちゃんだよぉっ!」

「お姉様、やっぱりアレが欲しいの?」

「うん、ユカリちゃんを中に入れて遊びたいから」


 やはり私は人形にされるのだな……。


「ぼくは……、なんもねぇ。欲しいと思うの」

「ユニコーンの角は? アレは免許がなくても使える。どんなミックスジュースにでも相性が良い強化材料だから」

「んー、それでもぼくは興味ないや」

「温泉旅行なんか当てれば、両親は喜んでくれそうですね」


「まぁそれはそれとして、誰が最初にいくんだ?」

「じゃんけんで勝った順でいこうよぉ」

「じゃんけんした分で運を使い切ってしまいませんか?」

「あぅ、そうだねぇ。んじゃ、名前順でいこうよ」


 なんでまたそんな思い付きがすぐ出来るのか。でもデメリットもないのでそれに決まった。

 お姉様、健、斎藤、私の順番となった。


「1番、小野寺 花音っ! いきまーすっ!」


 お姉様は気合と共にガラガラと抽選機を廻し始めた。

 ぽろっと出て来たのは黄色の玉だった。

 カラーンカラーン♪ と係員が鐘を鳴らした。


「おめでとうございますっ! 温泉旅行ペアチケットが当たりましたーっ!」

「おぉっ! やったね♪ 当たっちゃったよ~♪」


 お姉様はこちらに向かってピースした。


「おめでとうございますっ! 花音やりましたね!」

「それって家族みんなで温泉行くとなると、後2回当てなきゃいけねーじゃん」


 まぁ確かにそうだ。でも1つでも両親へのプレゼントになるからいい。

 私たちはその間、留守番をしよう。それか旅費を払ってでも付いていけばいい。


「わぁ、3泊4日だってこれ。大恩町(だいおんまち)ってどこ?」

「温泉地として有名な場所。九州にある」

「遠いーね。でもこのチケットがあれば、そこまでの行き帰りの為の旅費になるんだって。リニアモーターカー無料乗車券になるんだー。すごいよこれっ! これじゃぁ私たちが付いて行こうとすると、かなりお金掛かっちゃうね」


 それじゃ留守番の方に決定だな。


「一緒に行くには何がなんでも後2枚当てなきゃいけないぜ。よし、当てるぞぉーっ!」


 健は行きたいのか?

 2番手の健がくじ引きへ挑んだ。

 しかしそんな物欲を持って挑んだら、フラグが建ってしまうのだが。

 結果、白色の玉でハズレだった。


「食品100円割引券だったぜ……」

「じゃぁそれで、チョコぬこを買おうね♪」

「では私ですね。当たりますように……」


 斎藤は謙虚(けんきょ)な気持ちでガラガラを廻し始めた。

 斎藤が狙っているのは温泉旅行だったな。ご両親に当たってほしいところだな。

 そしてぽろっと出たのは緑色の玉だった。あぁ、黄色だったら温泉旅行だったのに。

 ……え? 緑って確か。


「おめでとうございますっ! 5等の大きなドリペンちゃんのぬいぐるみが当たりましたっ!」

「ふぇっ?」「えっ?」「あっ……」

「おぉ、やったじゃん。狙ってたの当てたし」


 お姉様と私が狙っていたのを斎藤が当てた。


「やったじゃん嵐っ! おめでとうっ!」

「いやー、ありがとうございます」


 けれどあんま喜んだ顔をしてなかった。私は斎藤に尋ねてみる事にした。


「欲しいと思ってたもの?」

「いえ……全く……。あっ、そうだ。よかったら花音。これを上げますよ」

「え? いいのぉ? でも嵐がせっかく当てたのに」

「私はこう言うのは余り興味がないので……」


 斎藤は可愛い物よりは、男性が好むのを選ぶからなぁ……。


「んー、でも。せっかく当てたのに悪いよぉ」

「いいのですよ。花音が元気になったお祝いのプレゼントです。タダで手に入れたところをみせてのプレゼントと言うと、ありがたみがなくなりますが……」


 ちょっとまてっ! それは私のアイディアっ!


「そんなことないよぉっ! とても嬉しいよっ! えへへっ♪ 嵐、ありがとぉ♪」


 くぅっ……。私より良い物を……。斎藤、許すまじっ!


 そんな話し合いを聞いていた係員も、抱えて持ってきた大きなドリペンちゃんのぬいぐるみをお姉様に手渡した。


「ちょ、ちょっと重い……」


 お姉様の上半身が全く見えなくなるほどの大きさのドリペンちゃんを、必死に持っている。

 私は自分のカバンをそのドリペンちゃんに近づけた。

 小さいカバンの開き口に、掃除機で吸い込まれていく感じで、シュルルルと入りこんで行く。


「ふぅー、すごく大きかったね。そうそう、後ろにチャックなんかあったよぉ」

「アレは着ぐるみなんかにもなります。中にあるクッションを抜けば、子供が中に入って遊ぶ事ができますよ」


 そう言って係員が説明してくれる。


「へぇー。それじゃぁユカリちゃんを中に入れて、遊ぶ事がちゃんと出来そうだね」


 入れるように改造せずとも、もう私を入れる仕様にされていたか。諦めて入るかもう……。


「じゃぁ最後の1枚、やってくる」


 私は係員にチケットを渡して抽選機の前に立った。

 さて……、何を当てるか。5等の大きなドリペンちゃんのぬいぐるみは当てたし。

 まぁめぼしい物は当ててるから、ユニコーンの角がいいな。

 ユニコーンの角がいいと願い、ガラガラと廻してポロっと出て来たのは、黄色の玉だった。


 ……おいまてこれっ!


「おっ……、おめでとうございますっ! 温泉旅行ペアチケットが当たりましたー……っ!」


 よく出るなこの玉。4等なのかこれ? 中に何個入ってるんだろ。

 あっ、係員の人の顔が引きつっている。当たる物じゃないのに連続で当て過ぎてるのかな?


「やったじゃんっ! ユカリちゃんっ!」

「おめでとうございます。ユカリさん」

「ぼくだけじゃんかよぉー、当たらなかったの!」

「健は日ごろの行いが原因だよぉ。もっと勉強ガンバりなさい!」

「ちぇ……」


 しかしこれは困ったな。4人分がタダとなるが、1人分が自腹となってしまう。

 交通費も宿泊費も1人と言っても、それ相応にお金が掛かってしまうからな。


 ……あぁ、そうか。私が行かなければいいのか。

 小野寺家の家族水入らずに、私が何を加わろうと考えていたのだろう。

 私は居候(いそうろう)の身なのだから。


「でもチケット1枚足りない状態になったな。1人はお金払わないといけないし」

「私はいかない。みんなで行って来て」

「え? そんなのヤダよぉー。ユカリちゃんも一緒じゃなきゃイヤっ!」

「たまには家族水入らずで行ってくればいい。私はその間は実家に戻ってるから」

「ユカリちゃんも私たちの家族なんだから、水入らずになんかならないんだよぉ」

「そうだぜ。今はもうユカリ姉ちゃんは立派な小野寺家の娘だぜ」

「私は居候なのだけれど……」

「ダーメっ! もうユカリちゃんは私のカワイイ妹なんだもん。居候とかじゃないし」


 これじゃ断固として、私の意見は受け入れてくれなさそうだな。

 私がお姉様たちの家族か。そう言ってくれると、とても嬉しい。


「あっ、そだっ! それじゃぁ私の当てた温泉旅行を嵐にあげるよぉ」

「え? いいですよそんな」

「ドリペンちゃんのお礼だよぉ」

「そんな。当たり的には温泉の方が断然価値がありすぎますよ」

「いいのいいのっ。小野寺家と斎藤家の仲なんだし、お母さんたちだって嵐のご両親と行ってみたいと思うよ」

「ぼくもそれに賛成。温泉とか、ぼくはそんな興味なかったし。別に行かなくても平気だから」

「じゃぁあの意気込みはなんだったんだ?」

「健は宿泊先の美味しい食べ物が目当てでしょぉ」

「そうそう。って姉ちゃん酷いよっ! 図星だけどさっ!」


 健のノリツッコミが終わったところで、お姉様は斎藤にそのチケットを渡した。


「……ありがとうございます! 父も母も、とても喜んでくれると思いますよ」

「うんうん。あっ、そうだ! 私たちがお留守番している間、嵐も家に来てお泊まり会とかしようよぉ」

「お泊まり会ですか?」

「私たち小学生だけで、4日間を留守番していいの?」

「え? うーん……。やっぱり誰か保護者居ないとダメかなぁ?」

「そうですねぇ……。1日だけならともかく、4日間を私たちだけって言うのは、何かあった時に困りますね」

「そうだねぇー。どうしようか? 誰か年長の人が居てくれれば出来ると思うんだけど」


 こう言う時に兄さんを思い付いたが、家にそんな長くは居られないだろう。

 それに兄さんと敵対している組織なんかが乗り込んできたら、小野寺家にとても迷惑をかけてしまう。


「……私の舎弟から比較的に無外で、まともな人を連れてくるとか」

「黒堂組から? うーん……、大丈夫かな?」


 なるべくなら身近な者同士だけで居たいところだ。


「まぁこれは後々(のちのち)に良い案を出すしかない。なかったら私の舎弟を連れてくると言う事で」

「そうですね。それにご両親の旅行の日程が同じ日に取れるかと言う事もあります。4日間も仕事を空けるとなると、それなりのまとまった休日が両家で取れなければいけませんし」


「そうかもね。日程が両家がズレるなら、子供な私たちは斎藤家に預かってもらえるかもね。それで嵐も私たちの家で預けてもらう形で、2回お泊まり会が出来るじゃんっ!」

「その案の方がいいんじゃね?」

「それは各家庭事情、それぞれで決まる。近々ある大型連休はゴールデンウィーク。その日くらいしかないから、両家が同じ日に予定を経てる可能性が高い」


「難しいですね……」

「私たちが考えなくても、お母さんたちが誰か用意してくれるかもしれないし。私たちだけで考えないでお母さんたちにもちゃんと話してからにしようよ」

「それもそうですね」


 っと言う事でこの話は一端打ち切りとなった。


「この後どうするんだ?」

「ここのメタモルバトル会場へ行ってみたい」

「あ、それいいですね! 私もここのレベルが高いのを知っています。私も闘ってみたかったんですよね」


「いいねそれっ! よぉーしっ! 頑張ろうーっ!」

「え? 姉ちゃん出るつもりかよ?」

「え? 出ちゃダメなの?」

「まだ昨日と今日だから、無理はしないで大人しくして置いた方がいいと思う」

「そうですね。明日の為に今日の闘いは控えておいた方がいいでしょう」

「えー、つまんないー」

「明日の為ですよ」


 お姉様はそう言われたガックリとうなだれた。


「うぅー、そう言われると仕方ないなぁ……。私の分もガンバって闘って来てよっ!」

「健は?」

「ぼく? ぼくも見学でいいや。姉ちゃんに何かあった時に付いておかないといけないし」

「私はもう大丈夫だよぉ」

「まだ何があるかわからないんだから。それにぼくは闘う気はホントにないしいいんだよ」

「じゃぁお姉様と健は、観客席の方で応援をお願い」

「わかったよ。ガンバってね2人ともっ! 一生懸命応援しているからね」


 そうして私たちは、メタモルバトル会場へと向かって行った。

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