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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第7章 その頃のあの人たち
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ユカリの書 第1話 ドリームペンシルに行こう ― 2 ―

 直線距離にして約60キロメートルの空を飛んで来た。

 途中で15分の休憩も入れて、1時間ほどでたどり着いた。

 私たちは今、ドリームペンシルの着陸地点から少し離れた休憩所のベンチにいる。


「いやぁー、無事に付いたねぇ」

「花音の体調も良さそうでよかったです」

「これなら明日も普通に飛んで行っても大丈夫そうだぜ」


 お姉様は予定していた通りに坂浜港町で1回休憩を挟んだだけで、ここまで飛んでこれた。

 見た目も普通と変わりない疲労しか見られていないので、これなら明日も大丈夫だろう。


「もうお昼だぜ。なぁ、人形は後にしてなんか食べようぜ」


 時刻は11時半になろうとしてる。まぁそろそろお腹空いて来て食べても問題はないくらいか。


「お腹空いたもぉー」


 もぉー? まぁお姉様は天然なので、こう言う突然意味があるのか無いのかわからない言葉を使う時があるので、気にしないで置いた方がいい。ツッコムとホントきりがない。


「牛ですか?」


 でもツッコミ入れたな斎藤。こう言う時はノッテあげるか。


「牛は胃が4つある。お姉様は4つ分のお腹の空きようか」

「うー、私が食いしん坊みたいじゃんーっ! あぁ、良いにおいがお腹の中に入って来て、早く食べ物入れてくれと苦しめてくるよぉ」


 休憩所には屋台が並んでいて、そこから漂う匂いが食欲を注いでいた。


「どうせでしたら中にあるお店で食べましょう。屋台でしたら明日の遊園地で食べ回るでしょうから」

「うっ、そう言われるとぉ……。うん、そうしようっ! 今はガマンするからっ! 早く中に入ろうよ!」


 お姉様がベンチから立ちあがって行こうと催促(さいそく)するので、私たちはそれに続いた。


「花音。……元気が戻ってよかったですね」

「えぇ、あんなにはしゃぐお姉様。本当に久しぶり」

「あの静かすぎる姉ちゃんがウソのようだぜ」

「なーにーしーてーるーのーっ! おーなーかーすーいーたーのーっ!」


 先を急ぐお姉様がそう声を上げている。

 周りの人がそんなお姉様を見て笑っている。


「また振りまわされる日々が返ってきますね」

「お姉様が元気なら、私はどんなところでも付いて行く」

「ぼくは勘弁してほしいけどな」


 ぐぅ~……。


 そんなハッキリとわかる大きな音がお姉様からしてきた。

 それをお腹を押さえて恥ずかしそうに私たちを見た。


「うぅっ、恥ずかしいよぉー。早くこのお腹のうねりを抑えないとぉっ!」


 あんな大声だして注目を浴びているのに、このお腹の音は恥ずかしがる。相変わらずお姉様の感覚はズレているな。


 このショッピングモールはいくつかのブロックに分かれていて、そのブロックに種類別に店が集まっている。

 私たちはオレンジブロックのフードコーナーを回って行く。


「何にする?」

「普段和食しか食べていませんから、洋食店を希望したいのですが……」

「私はなんでもいいよぉ」

「うーん、中華な気分だったんだけど……」

「私もどれでも構わない」

「えーっ。お姉ちゃん、中華と洋食、どっち取る?」

「そんじゃぁ、チョコ……」

「なめとんのかぁーーーっ!!」

「何っ!?」


 私たちはその突然の怒鳴り声がした方を見た。

 そこには1人の高校生くらいのオレンジ髪をした外国人女子が、お店の前でモメていた。


「これが仕様や言うんかぁ? そんなら店をたたんでこのモールから出ていきやっ! ジブンらみたいなもんがおったら、この立派なモールの威厳(いげん)が損なわれてまうわっ!」

「こ、怖ぇ……何だアレ?」


 その怒鳴り声を上げる人から距離はあるが、その威圧感に健が足をすくませて1歩下がった。


「すごい剣幕(けんまく)。一体何があった?」


 その様子が気になったのでヤジウマになって、その状況を見続ける事にした。

 しかし外国人ながら関西弁が上手い人だな。


「おらぁっ! 店長だせぇっ! あ? 店長やなっ? 聴いとくれっ! コイツはなぁ。タコが1個や2個や入っておらんのはたまにあるから仕方ない事や言ったんやでっ! そんな屁理屈(へりくつ)が許せる思うかいなっ!」


 そのお店はたこ焼き店だった。つまりはたこ焼きの中にタコが入ってないのがあってクレームをつけているのか。

 それだけでここまで威勢よくクレームを付けれるな……。


「造り直すからと言う問題やないんやっ! えぇかっ! アタイが怒ってるんは質に(こだわ)ってない事が許せへんのやっ! 人それぞれに客への対応能力や造る技術も違うもんやろうな。でもな。そんでも最高のパフォーマンスを見せるんがそこで働く仕事人ってもんやろ。コイツはそれを仕様ですとぬかしおって、客であるアタイへの接客をおろそかにもしたんやで。コイツが半年前からここで働いとるって事はアタイも知ってんねんっ! それが成長してこのザマか? 新人ならともかく言わんがこんなんどないな教育してきてんや店長さんはよぉ? そんでこのたこ焼きを焼いたの誰か聴いてもコイツだと言うんやで。ふざけんなやぁーっ! 何を学んで来てるんやどあほっ!」


 そこに騒ぎを駆けつけて男性警備員1名がやってくる。


「何事ですか?」

「おうっ! 正平(しょうへい)さん、お仕事ごくろうさまや。騒がして悪かったわ」


 そう言って女子が警備員に敬礼する。あの様子じゃ知り合い?


「この警備員の正平さんのように、1人ひとりが自分の与えられた役わりをしっかり(にな)っておる。あまっちょろい考えで働くんやないで。自分もその事を理解して、後で店長にこってり絞られたれ。そんでも反省の色が見受けられんようなら、アタイはこの店の風評がどうのこうの関係無しにイチャモンつけるで。毎度チェックしにきたるからな。反省の色が見れてちゃんとしてたら許してやるわ」


 そこまで言うと女子は警備員と一緒に、談話しながらその店の前を去ってく。

 お店の方も店長とその問題となった人が店の奥へ入って行った。


「いやぁー、すごかったねぇ」

「うん」

「周りで食べている人の手が完全に止まってましたよ」

「じゃっ、洋食レストランに行こう。お腹もビックリしてぐるぐる唸ってるよ」

「あー、洋食になったのか。まぁしょうがないな」


 ……チョコとまで聴いていたが、きっとチョコパフェ食べたいだろう。……うん。

 そして私たちは洋食店に入り、オムライスやスパゲティなどの料理を注文して食べた。もちろんチョコパフェも頼んでいた。


 さっきの人の談話などもしながら食事は進んで行った。





 店の外に先に出ていた私たちに、お会計を済ませた斎藤が加わる。


「こんな物を貰いました」

「ん? 何? チケット?」

「このモールの1周年記念でくじ引きをやっているみたいです。1000円以上のお買い物で1枚もらえました」

「おー、それで何枚もらえたんだよ?」

「3枚ですね」


 デザートも頼んだ分も含めて3840円になったからな。


「後1枚あれば、4人で出来たのにぃーっ!」

「おしい。それが分かっていれば200円分にドリンクとか頼んだ」

「まぁこのデパートでドコでも買い物すれば貰えるようなので、何か買った時に1枚は貰えるでしょう」

「私も買いたい物あるから、それで貰えるかもしれない」

「あっ、そうなんだ。何を買おうとしてたの?」

「忘れたのかよ。人形を買いにきたんだろ」

「あーそうだった。でもユカリちゃんがお人形さんを欲しがるなんて珍しいねぇ」

「確かにそうだ。似合わないぜ」


「う、うるさいっ……」

「こらぁ、健。ユカリちゃんだって女の子なんだから、当たり前なんだよ。おかしくないんだから、謝りなさい!」

「うっ……。ごめん、ユカリ姉ちゃん……」

「気にしなくていい。似合わないのは私もわかってる。だから恥ずかしい……」

「そんな恥ずかしくないよ。ユカリちゃんもこう言うのに興味持ってくれるようになって、私も嬉しいよ。それじゃぁ、ドリペンちゃんの人形を買いに行こうっ!」


 お姉様の先導で私たちは、おもちゃ売り場があるエリアブロックへと向かって行く。

 その間にあるメンズ店や時計などが並ぶブロックを通っていた。ここ等へんは私たちには、まだ縁の無い場所だな。


「志村さんっ! ちょいまちぃーっ!」

「アレ? この声って……」


 聞き覚えのある声がしたのでその方向を見た。


「またあの人だねぇ」


 それは先ほど騒ぎを起こしていた外国人の女子だった。

 宝石店から女子が出てきて、お店の前に居た20代くらいの男性へ声を掛けていた。


「すまんっ! テーブルの上に1枚残っとったわ。早めに気ぃついてよかったわぁ」

「まだあったのか……。今度からちゃんと枚数があるか、確認しないといけないな」

「すまんな。ほな後はよろしゅうな」


 書類をその男性に渡して、女子は宝石店の中へ入って行く。

 あの女子……、あんな高級そうな場所に平気で出入りできる人だったんだな。


 男性は書類をしまいつつ、周りを注意深く見まわし始めた。

 その時、私たちと目が合ってしまった。


「……っ!」


 男性は私たちとの視線をすぐに反らしたが、明らかに意識した。

 それは見られたから驚いた感じではなく、まさかと言う驚き方だった。

 見られて驚いた場合はすぐに反応があるのだが、目線が合ってしばらくしてから目が少し見開き、驚いた表情が少し出たからな。

 私の事をじっと見ていたが、顔を知っている人か?


 それにアレだけ注意深くしているとなれば……。兄さん系の同業者か。

 ずっとその人を見ていたら、その男性が私の方に来て止まった。


「余りジロジロと人を見ていると、人によって危ない目に遭いますからから注意した方がいいですよ」

「やはり兄さん関係か……?」


 私のこの質問に笑顔を見せると、そのまま立ち去って行った。


「ふぇ? なんだったの今の人?」

「兄さん関係の人だった。私を見て驚いていたから、そうだと思った」


 っとなると、あの宝石店も裏では何をしているのやら。怪しい店だな。

 あの外国人の女子も、そう言った関係者か。


 ……まぁ余り詮索(せんさく)するのは、今はよそう。

 お姉様たちがいるし、危険な目に合わせられない。


「行こう。兄さん関係ならほっとく」

「そうだねぇ。……アレ? なんだろ、この違和感?」

「どうしました? 花音」

「う~ん……、なんだろ。なぁんか変なんだよ。何が変なのかも自分でも分からないよぉ~」

「変な物食べたんじゃね?」

「食べたのはオムライスにチョコパフェだよ。お腹の調子とか変じゃないんだよ。何かこう、ノドにつっかえてる感があるんだよぉー」


「気持ち悪くて吐きそうになってるとか?」

「チョコパフェなんて食うからだぜ」

「健だって私の少し食べたじゃないーっ! 違うの。うぅー、何このモヤモヤする気持ちーっ!」

「まぁ、気にせず行こう。兄さん関係に関わると、危ないから」

「そうしましょう。花音もこの事は忘れていきましょう」

「うー、なんだろ。なんだか重要な気もするんだけど……」

「チョコぬこ買って上げるから、忘れて」

「え? ホント? わぁーい♪ ねぇ、嵐。あと銀1枚で5枚まで揃うまで来たんだよ」


 当たりくじ付きのお菓子で、金のねこが一枚、銀のねこなら5枚を集めて、チョコぬこの製造会社へ送ると、ぬこの缶詰と言う商品が送られてくる。

 中身は何かは分からないけれど、お姉様は昔から地道に当たり券を集めていた。

 注目対象が大好きなチョコ系に移って、先ほどの話題は忘れてくれたようだ。


 しかし兄さんたち……。こう言うところにも闇ルートを造っているんだな……。

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