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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第6章 ユウの変わり者な日常
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ユウの書 第2話 ユウの企み ― 2 ―

「……ユートピア遊園地かぁ。変更できるかな?」


 僕は手をタオルで拭いて、スマートフォンを取り出して操作する。


 アプリケーションのフライテルを起動した。

 フライテルは通信会社の社名で、遠くの人とネット回線を繋いで基本無料で会話が出来る。

 それにグループを作って多人数での同時会話が出来る。

 カメラさえあればそれに映し出された映像を相手の画面にも映し出し、顔や風景を見ながら話が出来るけれど、これには有料会員の人がグループのホストになってないと出来ない。

 海外出勤が多い父さんとはよくこれで母さんと一緒に会話している。時間が合う時には一緒に食事もしている。

 僕たちには切っても切れない大事な物で、有料会員になっている。


 そのフライテルで李奈たちを集めた。

 すぐに応答に出て来たのは李奈だった。

 映像通信が出来る事もあって、スマートフォンのカメラ機能で自分も映りながら会話に入って来ていた。


『どうしたのユウ? って、このメンバーを見ると明日の事かしら?』

「そうだよ」

『私は李奈ちゃんと一緒にいますよぉ』


 李奈の画面から吏子ちゃんが一緒に映っていた。

 背景を見るとドコかのメタモルバトル会場の控室っぽいな。


『杏子なの。どうしたのお兄ちゃん?』


 杏子ちゃんは自分の部屋だな。大好きな可愛い人形がいっぱい映っている。


『ういーっす。どうした?』


 平沢も通話に入ってきた。平沢はどっかの外か。


 やっぱり休日は友達と外に遊びに出ていたりするんだろうな。

 僕のように仕事の手伝いなんてしてないで……。っとそんな事よりも。


「うん。明日の事でちょっと相談があって」

『もしかして来れなくなったの?』

「そう言うのじゃないけど。話はシアも含めてから言うよ」

『そう』

『ズガガガガガ…………。デストローーーーーーイッ!!( ギュイィーーーーーーンッ!!)』


 李奈たちの画面から戦闘している音が聞こえてくる。


『なぁ、李奈たちもメタモルバトルしてんのか? 俺は今、坂浜港町の海上闘技場なんだけど。そっちはドコに居る? 近くだったら俺と合流して、一緒にバトルしないか?』

『え? んー……、アタシたちはここで戦うわ。吏子ちゃんはどうしたい?』

『私? 私はどっちでもいいけど……』

『そっか。まぁ移動するのが面倒だから止めるわ』


 どうやら3人は昨日の大神グループとの戦いの事もあって、自主トレーニングに(はげ)んでいるらしいな。


『小田桐です。通話に出るのに遅れて申し訳ありません』

「お、これで全員か」

『なにしてたの? シアもメタモルバトルとかしてたりして?』

『いえ、習い事をしていた最中です。今も手を止めて通話しておりますので、長引く話しはできません。申し訳ありません』

「そうだったんだ。ごめんよ。それじゃさっそく要件(ようけん)なんだけど、遊園地の場所をユートピア遊園地に変更出来ないかな?」


『ユートピア遊園地?』

『場所的には遠くになったの。それにあそこは休日はとても混むの』

『どうしたんだ? 風のシンフォニー遊園地が閉鎖(へいさ)でもされたか?』

「いやぁ。ちょっと僕の知り合いの人がそこの遊園地で、ライブコンサートするみたいなんだよ。だからよかったらそのライブコンサートを応援しに行きたいと思ったんだ」

『ライブコンサート? あっ! 海流お姉ちゃんがやるの?』


 李奈は(さっ)しがいいなぁ。


『誰ですの?』

『小さい頃からアタシと杏子、ユウともよくお世話になってるお姉ちゃんなのよ。今はアイドル活動をしている人よ』

『なっ……なっ……、おいっ! 海流って、ウソだろっ!?』


 平沢の声が荒々しくなった。そう言えば平沢って……。


『祐定っ! 蒼井 海流がユートピア遊園地でライブコンサートするって本当かっ!? そんな情報、俺のところには入ってないぞっ!』

「いやぁ、本当だけど。だって直接本人に聴いたし」

『待ってろっ! 今ネットで調べるっ!』


 そう言って平沢がフライテルの通話を保留した。ネットで検索し始めたのだろう。


『……平沢くんって、アイドルオタク?』

「そ、そうなんだよね……」

『アタシもそんな事実は知らなかったわ……』

『ワタシもなの』

『え? 2人とも知らなかったの? 私は知ってたけど……』


「まぁ、李奈たちは付き合いそんな無いからね。それより吏子ちゃんはなんで知ってたんだ?」

『私もグラビアモデルだし……。それで私の写真集にサインなんかして上げたりしたから』

「そっか。アイドルだけじゃないのか。平沢は……」

『ユウくんはアイドルオタクでしょうか?』

「ん? 僕は有名な人ぐらいしか知らないし、コンサートとか行きたいとか思わないけどね。でも海流お姉ちゃんが出るなら、応援して上げたいよ」

『ワタシも応援してあげたいの!』


 杏子ちゃんは将来、海流お姉ちゃんみたいにアイドルになりたいって言って1番懐いている。


『そうねぇ。アタシは別に場所が変わっても構わないわよ。そのコンサートを応援してあげたいのもあるし』

『ワタクシも構いませんわ。アイドルコンサートと言う物を見るのも初体験ですわ』

「乗り物が人気だから少々時間をかけて並ぶ事になるけど、いいかな?」

『けど乗り物は風のシンフォニーより、ものすごいのがあるわよ』


『構いませんわよ。実はそこの遊園地にある世界一大きなオバケ屋敷も興味ありましたの。いつか行ってみたいとも思っていましたし。オバケ屋敷にも行っても良いですか?』

『アタシは断然構わないわよ』

『そうなのっ! ワタシもあのオバケ屋敷入って見たかったのっ!』

『え、えぇー……。お、オバケ屋敷……』

『無理なら別行動して良いわよ』

『うぅ……、わかったよ。それでいいなら私も行くよ』


 4人は行ってくれるようだ。よかった。これなら海流お姉ちゃんの応援に行けそうだ。

 平沢なら絶対に行くって言ってくれるし。

 その時、平沢の保留が解除された。


『マジだった……。俺とした事がうかつだった。情報公開が3日前に更新されたスケジュールだったようだ。最近は何もなかったから油断して、他のアイドルのスケジュールばかり見ていたのが失敗だったぁーっ!』


 画面の向こうの平沢が頭を抱えて(うな)っている。

 その様子にシアたちが呆れていた。


『おい、祐定! 明日はユートピア遊園地に変更するのか? 俺はそれで構わないぜ!』

「まぁ意見を求める前からOKだとは思ってたよ。場所はユートピア遊園地に変更になったから、よろしく」

『よっしゃっ! 蒼井 海流を歌をまた生で聴けるぜっ! って、あぁっ! チケットとか必要になるか? い、今からでも予約入れなきゃ席取れないんじゃないか?』

「遊園地の会場を使うから、遊園地の入場料だけで見れるんじゃないかな? 席は早い物勝ちで座る形式で」

『そ、そうか! なら大丈夫だな。あー、今から家に帰って、ハッピにアイロン掛けて干しておかないといけないな』


『平沢……。アンタってかなりのアイドルオタクだったのね』

『えっ? あっ……』

『オタゲーとかできそうなの』

『あっ、ワタクシはそろそろ切りますわね。それでは、また明日。楽しみにしていますわね。もしまた何か変更がございましたら、メールに内容を送ってください』


 そう言ってシアは通話グループから抜けて行った。


『えっ? あっ! これはっ!? しまったっ! 小田桐さんっ! あのっ! 小田桐さーーーーんっ!』

『アタシたちも切るわね。じゃあね。また明日』

『あ、あはは……。平沢くん。ファイトだよ』

『ワタシも~。またなの~』


 そう言って3人とも通話が切れた。


「じゃ、じゃぁ、僕も。また明日ね」

『ゆ、祐定っ! お、俺はっ! どうしたらい――――っ!』


 ピッ♪ っと通話を切った。

 平沢よ……。周りを見てから行動と発言をしような……。


 さてと……。それじゃぁこの事を海流お姉ちゃんに……。


「……んー、内緒にして応援するドッキリサプライズにするか」


 むふふふっ、とイタズラを思い付いたドキドキを胸に秘め、僕は海流お姉ちゃんに近づいた。


「海流お姉ちゃん、明日のライブコンサート、ガンバってね!」

「え? うん、ガンバるわよっ! ねぇ、ユウくん、この振付なんだけど、ユウくんから見ておかしく見えてない?」


 そう言ってお昼休みはしばらく、海流お姉ちゃんの稽古(けいこ)を見て過ごした。

 明日、ちゃんと成功するようにと僕は願いながら、海流お姉ちゃんの練習に付き合った。

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