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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第4章 茶の木小学校の出来事
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ユウの書 第3話 大神グループとの決闘 ― 3 ―

「待て! 森井っ! 俺のこれを何とかしてから行けっ! 森井ーっ! って、アレ? 体が……なっ? なんだこれっ!?」


 森井は三宅なんて眼中なく僕の事を追いかけてくる。


「コロスコロスコロスコロスコローーーーーーースッ!!!!!!」

「そんな言葉しか知らないのか? この単細胞な脳みそヤロウめっ!」


 しばらく挑発しながら走り回る事、数分。

 今まで追いかけて来た森井が息を大きく切らせながら止まった。


「ハァー、ハァーッ! くそうっ! 逃げてばかりいないで戦いやがれ! ハァーッ! ハァーッ!」

「ふふーん♪ 戦わずとも、自滅に向かって行ってるんだから、戦う必要性なんてないけどね」

「じ、自滅だと?」

「気が付いてないの? 竜タイプはタフで有名だけど。この数分走っただけで、それだけ息を切らせている理由を思い付かないのかな?」

「い、息だとぉ? さっきから苦しいがぁ……。何かしやがったのかぁ?」

「……自分で考えたら?」


 ヒント与えてやったのに、考える事をしないで聞くばかり。

 僕は呆れて、今度は追いつけない程のスピードで森井の前から逃げた。


「あっ! くそうっ! 待ちやがれぇっ! ハァーッ! ハァーッ! くそうっ! なんて速さだぁ……。ハァーッ! こう言う時、回復系が出来るヤツが居ればぁ……。ハァーッ! 3人目はドラゴンタイプにしないで、回復役にすればよかったのにぃ。ハァー、走り過ぎたせいか、息が苦しいぞぉ……。ハァー、ハァー……」


 っと僕は逃げたふりして、実は逃げてはいない。木の陰に隠れて、森井の様子を(うかが)っていた。


 あの人……、本当に気が付いてないのかな?


 森井を刺した小剣には、毒を塗りこんでいたんだ。使った毒は、体を麻痺させる神経毒だ。

 毒にも競技用の指定がある為、一瞬で相手を死に至らしめる程の強力な毒は使えない。

 その毒でさえランク付けされている為、僕が使った毒はDランクに入る毒だ。

 森井にその毒塗りの小剣を刺したはずなんだけど、平気で動いてきたから弱すぎる毒なのかと思っていた。


 けれどあの疲労から見て、効いてはいたんだけど怒りで我を失って、無理やり動いていたんだろうな。

 麻痺している体に無理やり動いていたら、そりゃ疲れるっての。

 疲労がたまって限界を迎えたら、メタモルフォーゼは自然に溶ける。そうすれば勝ちではあるが……。

 そろそろ麻痺も治ってくる頃だろう。

 それに三宅がそろそろ動き出せるくらいだろうからな。

 森井にはここで退場を願いたい。


 僕は弓を取り出すと、神経毒の入った瓶の液を矢じりにたらりと垂らした。

 アースドラゴンは体中に鱗を纏い、それはもう頑丈で矢なんか弾き飛ばされる。

 矢で刺さるとすれば脚関節の裏。先ほど、小剣を刺した場所だ。今も血がどくどく出ている。

 今ここで狙える箇所は、後ろ足の左間接だ。

 距離は13メートルくらいか。普段30メートルの的を狙って練習しているから、これくらいの距離、小さい的でも当てられるな。


「ふぅー……」


 呼吸を整え、的に集中する。的が動いている分、やはり少し難しいな。


「……――――ガアアアァァァッ!!」

「えっ!?」


 僕は森井とは違う方向から聞こえて来た、その声に反応して振り返った。

 目の前に火の玉(ファイヤーボール)が迫って来ていた。


 しまったっ! 前方に集中し過ぎて気が付かなかったっ!


「ヤバッ!」


 僕はそれを必死に避けた。

 しかし木にぶつかった火の玉(ファイヤーボール)が大爆発を起こし、その爆風に僕は巻き込まれて吹っ飛んだ。


「ぐはっ!?」


 木へ思いっきり叩きつけられた。


 くそっ、痛む体に(むち)を打って立ち上がろうとする。


「おっと、立ちあがるんじゃねぇ!」

「ぐあああぁぁぁっ!?」


 体の上に三宅がのしかかってきた重さと、その脚爪が体に食い込んだ痛みで悲鳴を上げた。

 くそぉ……、予想していたより三宅の復活が早かった……。いや、森井と遊びすぎた僕の計算違いか? ……竜タイプに麻痺薬は効きにくいと言う事はないと思うんだけどな。


「さんざんやってくれたな。オマエ」

「三宅っ!? やったのか?」

「まだだ。だが、これからたっぷり傷めつけてやるぜ」


 騒ぎを聞きつけて駆けつけて来た森井が、僕の事を見て大笑いする。


「はーはっはっはっ! 形勢逆転(けいせいぎゃくてん)だなぁ。さんざん卑怯なことしやがってぇ。ズタズタに引き裂いてやるぞぉ」

「待て! 俺が先だ!」

「なんだとぉ?」

「俺がコイツを捕まえたんだ。それに、最初の話し合いで俺はコイツ。オマエはあの女をやりたいと言っていただろ。なんでこっちに来たんだ?」

「それはコイツがムカつくからだぁ。いいからおいどんにもコイツをやらせろぉ!」


 そう言って森井は僕の頭を踏みつぶしてきた。


「勝手に手を出してんじゃねぇ!」

「うるせぇーっ! さっさとどきやがれぇ!」

「隊長の命令にさららうんじゃ――――っ!」


 ブシュッ!

 その時、三宅の翼膜に矢が飛んできて刺さった。


「イッテエエエエェェェェッ!? なんだいきなりっ!」


 そして間髪入れて矢が次々と飛んでくる。


 三宅は最初の3本をその翼膜に次々受けたが、飛んでくる方向がわかったところで、飛んでくる矢を打ち払った。

 そして矢が飛んで来た先を見て驚いた。


「なっ!? オマエはっ!?」


 そこに居たのは僕だった。


「ウソだっ!? だってオマエはっ!」


 そう言って2人は三宅の足元を見た。


「あっ!?」

「なっ!? ま、丸太っ!?」

「忍法、変わり身の術。忍者マスターの必殺技だよ。有名な技なんだけど、知らなかったの? 油断しすぎ……呆れる程に……」


 2人がさんざん揉めている間に、僕は偽物とすり替わっていた。

 すり替わるのに時間が掛かる技なんだけど、それだけ余裕のある時間を口喧嘩してくれたので楽々できたなぁ……。


「このヤロウっ! よくも俺の翼をぉーっ!」


 翼は両方に傷を付ける事が出来た。

 飛ぼうにも痛みが走って、そう上手くは飛びまわれないだろう。

 だから木々の間を上手くすりぬけながらと言う高度な飛び方は、完全にできなくなっただろうな。


「じゃあね。バイバイ、オバカさんたち」


 僕は煙玉を取り出して、地面へ投げつけた。

 そして煙が晴れる頃にはその場から消えていた。


「くそうっ! 出てこい! 卑怯者めがっ!」

「ドコにいやがるぅーっ! 姿を現せっ!」


 そんな事言われて出てくるかっての。

 相手を(だま)し、地の利を知り、それを活かしてこその忍びだし。

 次なる手は何にするかな。


 森井はそろそろ限界だろうから、始末しておきたいところだけどな。

 竜を2体同時に相手はさすがに手負いでも分が悪い。

 まずは2人を引き離して……。


「祐定」

「うわおぅっ!?」


 トツゼン横から声を掛けられた拍子で悲鳴を上げてしまった。


「むっ! そこだなっ! くらえぇっ!」


 やっばっ! 居場所がバレたっ! 火の玉(ファイヤーボール)が迫って来ているっ!


「やばっ! って、あわわっ!?」


 僕は地面に引きずり込まれた。っと思ったら、地面からポンっと飛び出て来た。


 なんだと思ったら、目の前には平沢が居た。

 そして先ほど居た場所とは全く違う場所に僕は居た。


「平沢の影渡りかよぉー……。びっくりさせないでよ」


 影渡りは相手を掴んで引きづり込んで、違う影に放り出す事もできる。


「すまん。それより、錦戸のヤツはやったぞ」

「おぉ、やったのか! 吏子ちゃんは?」

「まだ大丈夫だ。かなりダメージは残っているが、十分に動き回れる」


 そう言う平沢も、かなりボロボロだな。


「よし、こっちの2人はまだ生き残っているが、痛手を負っている。それじゃぁ3人で森井を仕留めるよ。あと少しで倒せるくらいに疲労しているから、一瞬で決着をつけられる。吏子ちゃんを連れて来てくれないか?」

「わかった。待っててくれ」


 そう言って平沢は影の中へ潜って行った。


「あわわわっ!?」


 吏子ちゃんが影からポンっと出てきて、お尻から地面へパタンと落ちた。


「か、影渡りって初めて入ったけど、なんか変な感じだよぉ……」


 立ち上がって手でお尻をさする吏子ちゃん。前屈(まえかが)みで揺れる胸が凄い状態で見えた。その凄さに慌てて目を反らしてしまう。


「……? どうしたのユウくん」

「いや……そのさ……」


 影から平沢がスゥーっと出てくる。


「えっと……。吏子ちゃん、平沢。御苦労さま。大変だったろ」

「すごく強かったよぉー。それよりもユウくんがガンバったんじゃない。相手は2人だし、よく竜タイプ2人と戦えるよぉ……」

「まともな戦い方はしてないけどね。それより次の作戦なんだけどね……」


 僕は考えた作戦を吏子ちゃんと平沢に伝える。


「それじゃ、最後の総仕上げだ! いくぞみんなっ!」

「うん、ガンバろうっ!」

「やってやるぜ!」


 そう言った平沢は、影の中へ潜り込んで行った。

 まっ、今回の作戦は(いた)って単純だ。


「おうあぁっ!?」


 平沢が入った影からポンっと出て来たのは、森井だった。


「かかれーっ!!」

「そぉーれーっ!!」

「う、うわあああああーーーーーっ!?」


 そう。突然影渡りで引きづり込んで、出て来た森井を3人で奇襲して袋叩きだ。

 反撃をする事もままならずにボロカスに叩きのめされ、あっという間に気を失って変身が解けた。下手に暴れる前に倒せると思ったが、上手くいったな。


「う、ウソだ……。おいどんが負けるだなんて……」

「さて、残るは1人だぜ」

「それじゃぁ、片づけに行きますかね」


 僕らは平沢の影渡りで、三宅が居る近くまで移動した。

 三宅を発見すると、3人で囲むように散らばった。


「オ、オマエラっ!? 森井はドコに行ったんだっ!? アレは影渡りだなっ! オマエの仕業だなっ!」

「そうだぜ。そして3人でボッコボコにしてやったよ」

「残るは三宅、オマエ1人だけだよ」

「な、なんだとっ!?」

「さぁ、今までさんざん悪事を働いた分、痛い目に合わせてあげるよ。覚悟しろっ!!」

「ひ、ひぃっ!?」


 飛べなくなったフライドラゴンは、そりゃもう恰好(かっこう)餌食(えじき)だった。


 どってどってと走って逃げる三宅の前に、ゴーストらしく平沢が突然現れて脅かしたり、吏子ちゃんは鉄球を上空から振り下ろして叩きつけたり、僕は毒を再び注入してやったり。


 とにかく今までの鬱憤(うっぷん)を解消する為にやりたい放題だった。

 降参を申し込んできても聞こえなかったと言う感じで戦い続け、今までみんなが受けた辛さをその身を持って味わっていただいた。

 三宅の体力が無くなって変身が解けるまで傷めつけた。


 そして大神グループの惨敗と言う形で戦いは終わった。

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