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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第4章 茶の木小学校の出来事
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ユウの書 第3話 大神グループとの決闘 ― 1 ―

 放課後。

 僕たちはとどろ山の待ち合わせ場所である小屋の前までやってきた。この小屋がこの広大なとどろ山バトルフィールドの中心的な場所で、使う人はまずここに集まる。


 先に僕たち来たのか、まだ大神グループは見当たらなかった。


「なるほど。祐定が言う通りのフィールドだな」


 とりあえず来る前に、フィールドの下見をする事にした。


「影渡り出来るくらいに十分に濃い影も多い。奇襲(きしゅう)し放題だなこりゃ」

「この斜面が多いのは、確かにキツイですわね」

「そうだね。あっ、見て見て。これ海斗兄ちゃんがやったヤツなんだけど、まだこの岩に傷が残ってるよ」


 そう言って僕が指差した方には、岩に刃物の傷が残っている。


「バトルの痕跡(こんせき)が残ってるって……。ウィッチフィールドを使用しなかったのですか?」

「つい使い忘れちゃって」


 ウィッチフィールドは、その空間の物にも影響が及ぶ。

 例えばフィールド内に木があってその木が切り倒されたり、燃やされたとする。

 しかしフィールドを解除すれば、木は最初の元の姿に元通りに戻る。これはメタモルフォーゼを解いた時と同じ現象が起こっていると推測(すいそく)されている。

 なので、いくら物を壊してもウィッチフィールド内では全然問題が無い。安心して全力で戦う事が出来る。その結果、使い忘れると飛んでも無い事になるから気をつけないといけない。


「僕と海斗兄ちゃんがやったってことは、内緒にしておいてね。被害は大した物じゃなけど」

「全く……。気を付けてくださいな」

「ん? なんだこれ……?」


 平沢が何かを蹴っ飛ばして、それを拾った。


「なんだ。鏡か」

「っ!? その鏡って……。よく見せてくださいな!」


 シアが平沢から鏡を受け取ると、マジマジとそれを見た。


「ウィッチミラーですわね。なんでこんなところにあるのかしら?」


 ウィッチミラーだったのか。

 その道具はこの様な観戦するのに難しい広くて障害物が多いフィールドには、このウィッチミラーがとても役立つ。

 見たいと思った場所をその鏡で映し出してくれると言うすぐれものな道具だ。

 しかしウィッチミラーはドコでも見れるわけではなく、ウィッチフィールド内だけしかその映像を映し出すことしかできない。

 つまりは異空間の中を映し出す鏡と言う事だ。

 どこでもウィッチミラーで見れるようであれば、たちまち覗きの犯罪続出な危ない道具になっているだろうなこれ……。

 ウィッチフィールドの影響を受け付けない数少ないアイテムの1つだ。


「まだ綺麗ですわね。小屋の中にあったのでしょうか?」

「そんなもの置いてあったら、とっくに盗まれてないかしら?」


 そうだなぁ。あの小屋って鍵もかかってないし、中にあるのは確か質素なテーブルとイスぐらいしかなかったと思う。

 このウィッチミラーってとても高価な物だから、あんな小屋に野放しにされていたらすでに誰かが持って行ってネコババもおかしくはない。


「誰かが落としていったのかもね」

「なら、後で警察に届けて上げましょう」


 そう言ってシアがカバンへしまおうと思った時、僕は(ひらめ)いた。


「ねぇ、シア。その鏡でこの戦いを携帯の動画で撮っておいてよ」

「え? 動画で?」

「そうだよ。アイツらを倒した映像を証拠に持っていれば、言いわけされて無かった事にされても、証拠があるからできないだろ」

「確かにそうですわね」

「おいおい、人の物を勝手に使っちまっていいのかよ?」


「別に減る物じゃないし。それにこんな高い物を拾って警察に届けるんだから、そのお礼に1回ぐらい使ってもいいでしょ。普通なら盗まれてもおかしくない物なんだから」

「そうですわよ。しかし、なんでこんなところに落ちていたのでしょうかね?」

「前にここでバトルした人が観戦に使ってて、忘れていっちゃったのかな?」

「それしかないでしょ。ここはそうしなきゃ、観戦も難しい場所だしさ」

「あ、来たのっ!」


 杏子ちゃんが指差した方を見ると、8羽の鳥が飛んでくる。

 こちらに着陸すると鳥は、マジックリングから変身解除薬を取り出して飲んだ。

 元の姿に戻ると大神グループは、こちらにズカズカとやってくる。


「へっ、逃げずに来たようだな」

「フィールドってここかぁ? なんか木とか岩とかいっぱいあるぞぉ」

「設備が人によって整えられてない自然のフィールドだからね。それでそっちは誰が出るの? 三宅と森井は絶対出ると思ってるけど、最後の1人は?」


 フィールドを変えたいなどと言われないよう、話を淡々と進めるように促していく。

 こんな遠いところまで態々飛んで来たのに、今さら他の場所に行くのも面倒と思っているだろう。

 僕たちが有利に戦える環境を指定して、そして変えられない環境にする事。

 それが狙い目でこんな山奥までにしたんだからな。


「んあ? 俺と森井、それと錦戸(にしきど)だ」


 最後の3人目は、錦戸って人か。

 戦闘データが全くないから実力も加えて、何を使ってくるかわからないな。


「それじゃぁ、早く始めようか。山の中だから、暗くなると帰りが危ないし」

「ガンバってください」

「負けるんじゃないわよっ!」

「ガンバるのっ!」


 このフィールドは半径2キロメートルにもなる程広大な闘技場だ。なので参加者以外は森の奥へ行ってしまい見えなくなってしまう。

 李奈が大丈夫か心配になるな。

 こんな山奥で木が生い茂っている場所だ。虫が出ないなんて事はない。

 無理に付いてこなくても良いと言ったんだけど、やっぱり付いてきた。


 残された僕たちは緊迫した空気に包まれる。


「さってと。そんじゃぁ、ちゃちゃっとミックスジュースを作っちゃうかな」


 そんな空気をぶち壊しにする能天気な僕の言葉に、みんなが呆れていた。


 カバンからウィッチポットを取り出して、今回使うミックスジュースを造る準備をした。


「ちょっとまてよっ! 今から造るのかよっ!」

「うん。ここの場所見てさ、あのメタモルフォーゼが1番いいなって思って決めたよ」

「今から造るとか……。なんなんだアイツは……」


 ウィッチポットの中に(あわ)、白菜、レンコン、柿、トノサマガエル、イモリなどなどを分量を量って入れて行く。


「相変わらず手際がいいよな祐定は……」

「ふふーん♪ もう数えきれないくらいに造ってきたからね。さぁ、それじゃ演奏開始だよっ!」


 そしてウィッチポットのドラムを叩き始めた。

 曲名は『Magic faint love』でこれも上級者向けの曲だ。


 ドドッダドダッ♪ ドドドタドダッ♪


 静かな山の森の中で、僕のドラムの音が響き渡る。


 ボンッ!


 っと白い煙を上げて製作成功。

 煮沸殺菌した(びん)へとミックスジュースを入れて行く。

 今回は1回分を量を入れて造った。


「ふんっ、何を造ったかは知らないが、俺たちのメタモルフォーゼに叶う訳ないな。なんたって取って置きのを使うのだからな」

「そうだぞぉっ。オマエらがどんなもの使って来ても、おいどんたには勝てないぞぉ」

「はいはい」


 アッチの言葉を無視して、僕は後片付けをしている。


 ピカッ!


 闘技場の外に出た人がウィッチフィールドを発動させたようで、辺りが一瞬光に包まれた。


「準備はできたみたいだね」

「それじゃ、ちゃっちゃと始めようぜ」


 僕らはミックスジュースを飲んで、それぞれのメタモルフォーゼを終えた。


 吏子ちゃんはヒューマンタイプのサイキックボールマスターと言う物になっている。

 着ている服装はゴスロリの衣装だった。あの衣装は魔力を増す能力があるヤツだな。

 このメタモルフォーゼの特殊能力は、ボール状の物をサイコキネシスで操って動かす事が出来る。

 武器はボーリングの玉ぐらいの大きさの鉄球を2個、それを振りまわして相手に当てるのだからかなり強い。


 平沢はカオスゴーストを選んだみたいだ。

 影から影へ自在に移り渡り、相手の裏に回って奇襲攻撃できたりする。

 また薄く消えている間は物理攻撃が通り抜けて効かないと言う特殊能力も持っている。

 ただ、その間は自分も攻撃したりすることはできない。無敵と思われるその特殊能力は、水の中に潜ってるみたいな物で、長く続けられない程に疲れる。

 でも平沢って無茶苦茶スタミナあるヤツだから、この特殊能力を何度も行える程に凄い根性持ちでもあるんだよなぁ。


 そして僕の造ったミックスジュースは、ヒューマンタイプの忍者マスターだ。

 今回は忍者の隠密や素早さを生かす為に、アンジェお姉さんのルビーと黄金の鎧は使わない。

 確かに防御性能はいいのだけれど、それをみんなの前で使ったら恥ずかしいのもあるからな。


 さて、僕たちの準備はそれぞれ整った。

 しかし相手はまだミックスジュースすら飲んでなかった。


「何やってんだよ。早くしろよ」

「くっ、くっくっくっ、やはり幼稚な変身をしたものだな」

「目に物見せてやるぞぉっ! 兄貴から受け取った竜の力をっ!」


「え?」「竜だってっ!?」


 そう言って3人がメタモルフォーゼした姿は、本物の竜の姿だった。


 三宅は緑色した両腕が翼のドラゴン。フライドラゴンと言われるヤツだな。


 森井は4つ足のドラゴンで翼が無い。

 その四肢は走るのに適した感じに、普通よく見る竜より足が太く長めだ。

 鼻の上辺りサイの角のみたいなのがある。アレはアースドラゴンと呼ばれているな。


 そして錦戸は2本足で立ち、手が物を持つのに適した形になっており、武器を構えている竜だった。ヨッシードラゴンと言われている。


 いやー、まさか3人とも竜で来るとは……。予想外なんだけど。


「マジかよ! 3人とも竜だなんて!」

「あーはっはっはっ! 兄貴は大神グループ強化の為に、我々に竜タイプのミックスジュースを配布するようになったのだっ! 初のお披露目を兄貴の前で使えなかったのは残念だが、この初陣は兄貴へ大神グループの勇士をお伝えするぞ!」


 相手は竜タイプ3種類。

 空中戦を得意とするフライドラゴン。地上戦を駆け巡るアースドラゴン。臨機応変な戦いを見せるヨッシードラゴン。

 この戦い方から勝利へ導ける、こちらの戦い方を考える。


「……よしっ」


 あんまり当初考えていた作戦より、変わらない結論に達した。


「ユウくん、どうやって戦うの? あんなのに勝てるの?」

「お、俺も祐定の作戦に従うぜ。あんなの戦っても無理だ絶対! なんとか考えはないのかよ?」

「作戦はある。まずはヨッシードラゴンを中心的に2人で狙って戦ってほしい」

「おい、他のヤツらはいいのかよ?」


「フライドラゴンはこの木々が邪魔して、飛び回るのに苦労するだろう。アースドラゴンも障害物に隠れながら戦えば、大きな攻撃は出来ない。その2人の攻撃を警戒しつつ、最初に狙うのはヨッシードラゴンでいい。僕は2人が戦いやすいように、フライドラゴンとアースドラゴンの妨害に回るよ」


「祐定1人で大丈夫かよ?」


「倒すチャンスがあれば倒しにいくけど、あくまでも妨害だから無理して戦わない。ようは2人から引き離せればいい。竜と言えど、2人で戦えば倒せるよ。特に平沢はゴーストタイプなのだから、吏子ちゃんに注意を反らして、ここぞと言う時に致命的ダメージを与えるんだ」


「ユウくん……、大丈夫なのかな……」

「僕は信じているよ。みんなの事をっ!」

「さっきからひそひそと何をやってやがる。さっさと始めるぞっ!」

「あぁ、構わないよ。メタモルバトルファイトだっ!」

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