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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第4章 茶の木小学校の出来事
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ユウの書 第2話 アクティブシア ― 1 ―

 茶の木小学校にたどり着いた僕たちは、李奈たちとは廊下で別れて、僕とシアはクラスへと入っていく。


「おはよう~」「おはようございます」


 そう言って教室に入る僕たちに、クラスメイト全員の目線が僕たちに向けられていた。


「ん? なんでしょうか?」

「まぁ、理由はわかるんだけど。委員長、僕たちを見る理由は何?」


 僕はすぐそばに居たメガネと三つ網と言う如何(いか)にもクラス委員長してますと言う小富士さんに声をかけた。もちろん、小富士さんはこのクラス委員長になった。

 そのせいか呼び方も委員長がしっくりしていて、僕はそう呼んでいる。


「ユウくんが小田桐さんと一緒に登校してきているのをみんな見ていました。いつも車でもっと早く来る小田桐さんなのに、2人一緒に来たのが不思議な光景と見ていて……」

「やーっぱそれだよね。これだと問題は大神だけれど……。まだ居ないようでよかった」

「それでしたら、今後はユウくんと一緒に学校に来ますわよ」


 そのシアの言葉にクラス中がざわついた。


「ちょっと待て祐定っ! なんだって!? 小田桐さんと一緒に来るだとっ!?」


 1番やっかいな大神が現れて騒ぎ出したかと思ったが、このクラスで1番仲良くしてくれる平沢が僕の元に駆け寄ってきた。


「どうしてなんだっ!? 何があったんだっ!? もしかしてつ、つっ、付き合うとかそういうのとかじゃないだろうなっ!?」


「お、おおおお、おちつけっ! くびっ! くるしっ! し、しまるっ!」


 (えり)を掴まれてブンブンと揺らされる。や、やばいっ! 苦しいっ!

 そう言えば平沢もシアの事を好きなんだった! 大神ばっかで平沢の事を忘れていたっ!


「別に友達なのですから、一緒に登校する約束しても、おかしくはないと思いますわよ」


 シアが平沢を(たしな)めるように腕を引っ張っている。


「あっ、す、すみません!」


 シアに説得されてすぐに僕から手を離して後ろに1歩下がった。

「平沢くんでこんなになるのでしたら、大神さんだと何があるやら怖いですね」

「ま、まぁな……。あー、もう……。マジで首がしまってたよ」

「悪いな祐定。だが、大神だったら今の比じゃないぜ。絶対に」

「覚悟はして来たさ。だけど平沢がけし掛けてくるのは予想外だったよ」

「いやー、マジですまん」


 乱れた服を整えて自分の席に向かい、ランドセルをおろした。

 平沢は僕の机の向かい側に立って机に寄り掛かって質問してきた。


「なぁ、一体何があったんだ? どうして急に一緒に登校なんかしようとかになったんだ?」

「まぁ、色々あったんだ。説明すると長い」

「くそうっ! 祐定の事を友と思った俺は裏切られた思いだぜ! オマエは李奈か吏子ちゃんとくっ付くと思っていたのによ。まさか俺と一緒の人物を好きになって、恋によって友情は切り裂かれる事になるなんてよ!」

「その事を大きな声で口走ると……」

「えっ? あっ……」


 慌てて自分が言った事に気が付いた平沢だった。


「ワタクシの事が好きなのですか……」


 自分のランドセルを置いたシアが、僕のところにやってきていた。どうやら聴かれたようだ。


「いや、その、あのっ!? えーっとっ!」

「申し訳ありません。ワタクシは、平沢くんとはお付き合いできません。ごめんなさい」

「ガッ――――――っな!!!?」


 そのシアの言葉に石造の様に硬直する平沢。

 クラスメイトの前でふられるだなんて、なんて災難なんだ。同情するぞ平沢。


「少し時間もありますし、まだ大神さんも居ませんから話をしませんか?」

「え? あぁ、別に良いけど」

「それでユウくん。もし大神さんが居た場合、どう説得するつもりでしたの?」

「ん? あぁ、大神か。それだったら道で偶然に会って登校する事になったと言うよ。それでも収まりきらなかったら、大神に見合った女性を紹介するつもりだったし」

「大神さんに見合った女性?」


「うん。僕の父さんってあらゆる国の財閥(ざいばつ)や権力者とも繋がりがあって、それで僕もその家の歳の近い子たちとはペンフレンド仲間なんだ。そのペンフレンドの中にも、大神みたいな敵対戦力がいるらしくてさ。そいつらとくっ付けば、気が合うんじゃないかなってね。大神って地位や権力、家柄が裕福な女の子でないと食いつかないだろ? 体や見た目だけだったら、今頃吏子ちゃんを狙っていてもおかしくないのにシアばかりだしさ。まぁ、もし紹介した人と気が合わなくてダメだったら、その関係が悪くなってくれれば大神の敵を増やせるし」


「また突拍子の無い方法を思い付きますね」

「ペンフレンドの中には大神を気に食わない人がいて、もし僕らに何かあったら助けてくれるって言ってくれてるよ。国を追い出されるような事あれば、衣食住を自分たちで見積もってくれるって、とっても協力的な関係を築いてるから、きっと助けになってくれるよ」


「木花家も、しっかりと力を(たくわ)えていますのね」

「そりゃそうだよ。あの森を守るのに理不尽な権力に屈しないように色々としてきているんだから。普通の一般家庭だったら、もう即刻(そっこく)立ち退きされてるって」

「小田桐家は、大神家の傘下ではありませんが手も足もでません。もし共闘するのなら、木花家とも連携を取りたいものですね」

「もし仲間になってくれるなら是非したいよ」


 今朝、大神の事で色々ともめ事が起きると思ったが、小田桐家の様な大きな勢力と協力関係を持てるならと思って、シアと仲良くしようと決めたんだから。


「それは是非お願いします。小田桐家も時代が過ぎるごとに力も失ってきました。大神家にも狙われ、傘下に加わるように言われた時、家を守る為に母は独断で外国の勢力との繋がりを持つようになりましたわ。そして母はイギリスの貴族の父と子を造り、結婚して海外勢力の力を持って傘下になる事を免れましたの。けれど、日本古来より伝統を守ってきた名家である小田桐家の恥の歴史だと言われます。そのような血がワタクシには流れていますの」


 そう言って自分の手を見るシア。


「小田桐家の不名誉な血だと親族には言われて嫌われています。それでも小田桐家が助かるのなら……、ワタクシは例え(けな)されようとも家を守りたいのです」

「……もしかして僕と接触を図ってきたのも、そう言う理由もあるのかな?」

「前から木花家との関係はマークはしていましたわ。それでユウくんとの仲を利用しよう考えてしまい、申し訳ありません」

「そっか。別に気にしなくていいよ。仲間になってくれるなら、こっちとしても心強いよ」

「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」


 その時、教室の前のドアが開いた。

 大神が来たかっ! っと思ったら小林先生が入ってくる。


「みんなおはよう。出席を取るぞ。ほら、座った座った!」


 小林先生の声にみんなが大人しくしたがって、自分たちの席に座って行く。

 え? もうそんな時間になっていたのか……。

 大神の姿は……。見当たらないけど遅刻か? 休みか?


「ではまた」


 シアも大神を探して居ない事に疑問な顔をしていたが、自分の席へと向かって行く。


「おーい、平沢。早く座った方がいいぞ」

「え? あ、あぁ……」


 ずっとその場で固まっていた平沢も、僕の後ろの席へと座った。


「出席を取る前に伝える事がある。大神はしばらく休校するそうだ」


 その言葉にみんながざわつく。中にはよっしゃと喜んでる人もいる。特に後ろの席の人。


「理由は昨日の事もあるだろうが、大神は意識不明の状態にあると言う事だ。何があったか詳しく理由は聞かされていないが命には別条はなく、しばらくすれば回復するだろうと言う事だ」


 あの大神が意識不明? 本当に何があったんだろうか……。みんなもざわめいている。


「以上だ。ほら、静かにしなさい。……それじゃ出席を取るぞ。相川さん」

「はい」


 いつもの出席が始まる。


 まぁ大神だしな。バカな事して父親に怒られて、ボッコボコにされたとかそんなものかな。


「なぁ、祐定」


 後ろから身を乗り出して僕に話しかけてくる平沢。


「聴くつもりはなかったんだけどさ。近くに居たから聴いちまったけど、オマエの家ってそんな大層なものなのか?」

「ん? まぁ……、そうだね。普通の家柄じゃないってことは確かだよ」

「そうだったのか……。まぁ、この学校に来る人は家が裕福だったり、なんかの名家だったりする人が多く来るけど、祐定は俺と一緒で一般のヤツかと思ったのに」

「あんまり偉いとかそんなのない家だけどね。でも、そんな何かある家柄の僕は嫌いになった?」

「いや、そう言うんじゃないから心配すんな。祐定は良いヤツの部類だから仲良くするぜ。大神みたいなヤツらが嫌いだけだ」


「木花くん」

「あっ、はいっ!」

「小富士さん」

「はい」


 おしゃべりしていた僕を見て小林先生が眉を吊り上げたが、とりあえず見逃してくれた。


「そっか。ありがとう」

「色々と問題を抱えてる見たいだな。なんかあったら俺も助けるからな。一般人出の俺なんかがやれる事なんて多かが知れたものだろうけどさ」

「そんなことないって。ありがとう平沢」

「あぁ、俺に出来る事あれば頼ってくれよな。それで物は相談なんだがな」

「相談?」

「祐定は今、小田桐さんとかなりお近づきになってるじゃないか。俺もお近づきになりたいなぁって思ってさ」

「平沢……。さっきふられたばかりだろう」


「それは俺がまだ小田桐さんにそんな認知されてないからだ。もっと俺の事を知って、俺の魅力を知ってくれていれば、ステキに思って付き合いを始めてくれるかもしれないじゃないか」

「……まぁ、それもそうだよな。1回出会った事がある人と付き合える対象かと言えば、付き合えないな。一目ぼれなんかあるけど、アレって冷める人が大半だよねぇ」

「だろ。だからさ、俺の事を小田桐さんに紹介してくれよ。俺も祐定の友達なら、小田桐さんとも友達になってもいいだろ?」

「別に構わないけど、それだったら前々から自分から友達になるようにアタックしておけばよかっただろ」

「あの大神が周りにいて出来るか?」

「あー……、無理だな」


「で、大神にも対抗できるのが祐定だろ。しかも今、大神は意識不明と言う学校に居ない中の絶好のチャンスじゃないかよっ! 祐定は小田桐さんとは、家同士の間柄で繋がったんだろ? 別に恋人とかそう言うのになったわけじゃないんだったら、俺を紹介してくれ」

「紹介せずとも友達になってと言えばいいんじゃないか? 大丈夫だと思うよ」

「あんなふられ方した後に友達になってと堂々と言えるかよ。俺は祐定の友達だから小田桐さんと祐定がいる中に俺が居られる。友達の友達は友達って言うだろ。頼むよ」


 まぁ……、確かにそうかもな。


「わかったよ。紹介はするけど、その後の対処は平沢に任せるよ」

「おう、任せておけって」

「平沢くん」

「はいーっ! じゃ、よろしくな」


 平沢はそう言うと自分の席へとちゃんと戻って行く。


 全く……。なんて言うか、今年に入ってから色々とあるなぁ。

 今まで普通の学生生活を送って来ていたのに、特級組に入ってからトラブルばかりだ。


 木花家、小田桐家、大神家、まだ他にもこの日本には権力と力を持つ名家が多い。

 殆どが大神家の傘下や繋がりを持ち、木花家や小田桐家なんかの大神家と敵対、交友を計らない家は肩身の狭い暮らしをしている。

 しかしそれでも、大神による独裁国家に屈する事はせず、出来る限りの自分たちの理想の元、自由を貫いて行っている。


 いつかは僕も大神家と色々と遣り合うんだろうなって思っていた。

 でもまさか小学校から遣り合うとはなぁ……。

 なんでまたみんな同じ年なんだろうな。

 全くっ……。これも運命ってやつなのかな。

 きっと、これだけ運命が組み合わさったのなら、何かが起こるんだろうな。

 木花家として生まれた定めに対して、僕は覚悟を決めて行かないとな。

 その為に自分自身に力を、周りの仲間との連携を大切にしていこう。

 僕の名の祐定は、友情の名を取って付けられた名前。ならその名に恥じないよう、僕は仲間との力を合わせる事に精一杯の力を振って行くかな。


「なぁ、平沢」


 後ろを振り返さず、聞こえる程度で話しかける。


「ん? なんだ祐定」

「本当に何かあった時、よろしく頼むよ」

「え? あぁ。わかったぜ。任せておけよ」


 一般と言っている平沢にも平沢にしかできない事もある。その時は助けになってほしい。

 こう言った小さな繋がり1つ1つも、大事にして行こう。

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