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ミックスジュース! ~姿を変える魔法の飲み物~  作者: 加熱扇風機
第4章 茶の木小学校の出来事
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ユウの書 第1話 いつもの朝が…… ― 2 ―

 ここを通るいつもの人たちも、普段は居ない人が僕の隣に居るのか、興味津津で見ながら通っていく。


「おはよう。ユウく……。って、えぇっ!? なんで小田桐さんがいるの?」


 バレーボール部の朝練に普通の子たちより早く登校する吏子ちゃんも、この光景を見て疑問になって足を止めていた。


「おはよう。あはは。まぁ、これから一緒に登校するんだよ」

「はぁ……? えぇっ!? なんでっ!? いいなーっ! あっ、じゃなくて……。なんでそんな事になったの?」

「そういや、なんで僕なんかと登校しようとしたの? 他に仲良くしてる子がいるじゃないか。その人たちとは登校しないの?」

「そ、それは……ですね」


 ケーキを食べようとしていた手を止めて、なんか考え始めた。


「こ、この登校ルートが1番よさそうと思ったからです。この森を含め、登校ルートは安全そうでしたので」

「まぁ、確かに良いところだし、僕たちの登校ルートは安全だね」


 森の中とはいえ、人気があるので人通りはとても多い方だ。目に見える間隔で人の行き交いがある程だ。

 学校まで行く道も人やお店も多いので子供1人でも心配もいらない。

 グラビアモデルをやってる吏子ちゃんが部活の朝練の為に、1人で学校を登校しても人の目があって安全な道なのだ。

 吏子ちゃん1人が人気のない処で歩いていたら、チカンだとか誘拐に遭いそうだからな……。


「えぇ、そうです。それに、他の方々だと家と学校の方では逆方向でもありましたから」

「そうなんだ。…………あれ? 小田桐さんの家の方が、学校に近いよな……。1回こっちまで来てない?」

「いいではないですか! ワタクシと一緒に登校したくないのですか?」


 身を乗り出して説得してくるので、僕はわかったわかったと首を縦にふった。


「う、羨ましい……」

「吏子ちゃん? あっ、こんな事していたら部活に送れちゃうよ」

「あっ、そうだった! あ、えーっと……じゃ、じゃあね……」


 吏子ちゃんは名残惜しそうにその場を後にした。

 部活をやっていなければ、吏子ちゃんも李奈たちと同じように、ここでノンビリとしていきたいだろうなぁ。


「あの方は学校でも有名な方ですわね。ここでいつも御一緒になりますの?」

「ん? そうだよ。この森の向かい側に家があるからね。1年生の時に一緒のクラスになって、その時に虐められていたのを助けたのが切っ掛けに友達になったなぁ。3年までは一緒のクラスだったんだけどねぇ……」

「あの体型ですと、色々と虐めに遭いそうですわね」


「そうなんだよ。だから李奈と一緒に守っていたんだけど、僕が特級組になってから、李奈ばかりに負担掛かるようになっちゃったよ。李奈もアレで男子にモテるから、吏子ちゃんと一緒に居るといつもからかわれるんだよ。好きな子ほど虐めるって言うのが男子なんだよ。困った物だよ本当に……」


「そう言うアナタも男の子ではありませんか」

「僕は好きな人なら守る方だよ。虐めて傷つける事はしたくない」

「でしたら……。吏子さんと李奈さん、どちらか好きですの?」

「ん? ははっ、どっちも友達として好きだよ。小田桐さん、恋する方の好きだと思った?」

「えっ!? えぇ……。そう思っていたのですけれど……」


「それは僕もまだよくわかってないよ。父さんと母さんや海斗兄ちゃんのを見ていると、あぁ言う物が恋って言うのだろうけれどねぇ。まぁ、僕たちはまだ子供なんだからさ。まだ恋とか理解が出来てないから早いと思うよ。だから好きってところまでなら良いと思うんだけど……。これさ、こう言う風に話すとオマエは変って良く言われるんだよね……」


「……まぁ、本当に変わっていますわね」

「でしょー。こんな変わり者な僕には、どんな人が好きになってくれるんだろうね?」

「…………」

「あ、おかわりいる?」


 僕はティーポットを手にって、空になりつつある小田桐さんのコップに紅茶を注いでいく。

 小田桐さんはありがとうと言って、その温かな紅茶を飲んで一息付く。


「ふぅ……。落ち付きますわねぇ……。あら? 来ましたわね」


 そう言った小田桐さんの視線の方を向くと、李奈と杏子ちゃんがこちらに向かって来ているのが見えた。

 李奈が僕たちのところに付く前に小田桐さんを見つけたようで、杏子ちゃんと何だ何だと話し合いながらこっちに来ていた。


「おはよう。ユウ、それと小田桐さん。なんで小田桐さんがいるの?」

「おはようございます。あっ、美味しそうなの食べてる……」


 杏子ちゃんが僕の食べかけに目が行ったようだ。


「杏子ちゃん食べる? 食べかけで悪いけど」

「いいの? お兄ちゃん」

「いいよ。朝から重いよ丸ごと1個は……。朝ごはんだって食べてるのに」

「あ、杏子いいなぁ。アタシも食べたい」

「なら、半分こするの」

「もう半分になっている物をさらに半分って……。母さんに頼んで出してこようか?」

「いいわよ別に。それ、お店で出してる高いヤツだってわかってるから悪いわよ」


 李奈たちは僕を挟んで向かい合って座った。


「で、ユウ。なんで小田桐さんがいるの?」

「なんでも一緒に登校したいと今朝早くから家に来たんだよ」

「一緒に? なんでまた?」


 事の経緯(いきさつ)を小田桐さんも加わって話していく僕たち。


「――――それで、2人は一緒に登校してもいいかな?」


 話し終えると李奈と杏子ちゃんは互いに見あってから、何も会話せずとも同じ答えを出した。


「別にいいわよ」「一緒でいいの」


 その2人の回答に、小田桐さんがとても喜んだ。


「ありがとうございます! これから、よろしくお願いしたしますわ」

「こっちこそ、よろしくね。小田桐さん」

「よろしくお願いします。小田桐お姉ちゃん」

「……あの、やっぱりワタクシ、小田桐じゃないとダメでしょうか?」

「え?」

「ダメってことはないわよ。ただ、名前で呼んでもいいの?」

「そうなんだよねぇ。周りがいつも小田桐さんや、小田桐様とか言ってるからさぁ……」


 クラスで小田桐さんを囲む人たちも全員、小田桐様と呼んでいる。


「確かに周りはワタクシの事を小田桐の方で呼びますわ。格式ある家柄の名である以上、そういつも呼ばれていますわ。けどワタクシ、木花くんの様に『ユウくん』みたいに愛称で呼んで頂ける友達でありたいのです」

「あー、なるほど。そう言う事だったら、今度から名前で呼ぶよ。シンシアさんでいいのかな?」

「さん付けもいりませんわよ。愛称がシアでありますから、シアと呼び捨てにしてください」

「シ、シアですか?」

「嫌ですか? ワタクシを愛称で呼ぶのは?」

「い、いやいや。ただ、ちょっと意外な展開になってきててさ」

「あの小田桐さんをシアって呼び捨てにする日が来るとは思わなかったわ」

「ワタシは別に平気だよ。シアお姉ちゃん。ワタシの事は杏子ちゃんって呼んでほしいの」


 人見知りがなくて、誰にも愛想がいい杏子ちゃんは、アンジェお姉さん時みたいにすぐに受け入れたなぁ。


「杏子ちゃん。よろしくお願いします」


 元気よく自分の名前を呼ばれて満足顔のシアが、杏子ちゃんにニッコリとほほ笑む。


「ワタクシはアナタの事、李奈ちゃんと呼んでよろしいですか?」

「り、李奈ちゃん……」


 そう呼ばれて固まる李奈。


「嫌でしたか?」

「そー……ね。普通、そんな風に呼ばれる事が無い人だと思ってた人から、急にちゃん付けにされたら、違和感があったのよ……。いっそ呼び捨てにしてほしいわ」

「わかったわ。李奈、これでいいかしら?」

「うん、なんかそっちの方がしっくりくる。なら、アタシもシアって言うから、よろしくね」

「よろしくお願いしますわ。それでユウくん。ユウくんはどう呼ばれますか?」

「え? もうそのユウくんでいいんじゃないの? 普通に使い始めてるし」

「お好きな呼ばれ方があれば、それで行こうと思いますが……」

「なら、お兄ちゃんをユウお兄ちゃんって呼んでみたりとか?」


「なんだそれ?」

「ユウお兄ちゃん」

「ちょっ、シアってば……。同じ年なのにお兄様はないでしょうが」

「ダメですか? ユウお兄さん」

「いや、ダメでしょ普通。そんなので学校で呼ばれたら、周りからなんて思われるやら」

「萌えませんか? ユウお兄様」

「どんどん呼び方まで……。でも、シアが萌えってのを知ってるとは思わなかったよ」


「知ろうとしなくても、知ってしまいますわよ。アレだけオタクな方たちが、萌え萌えと言っていれば、萌えの意味や何が萌えか、わかってしまいますわ。ワタクシなんてメタモルフォーゼの時、金髪天使っ()萌え~っといつも言われておりますし」


「アタシは虎娘萌えって言われるわね」

「ワタシはウサギロリッ子萌え~って言われるの」

 なんの話をし始めているんだ3人とも……。

「ユウくんの萌えのツボって、なんなのですか?」

「僕ぅ!? 別にそんなのないって……」

「幼馴染ポニーテール属性萌えとかないわけ?」

「義理妹属性萌えはないの?」

「金髪ロング清楚系お嬢様萌えは?」

「なんで自分らの持ってるステータスの萌えを聞くかな君たちは?」


 あははーっと笑ってごまかす3人。

 はぁ、絶対にからかわれたな僕。


 李奈たちもまだシアと会ってそんなに時間も少ないけれど、なんか息が合って来ているみたいだし。


 昨日のアンジェお姉さんとシア見たいな事にはならないか。

 アレはなんでなんだろうか? アンジェお姉さんが突っかかるからなのかな?

 ま、これから一緒にいるようになるんだから、仲がよくてよかった。


「……あ、あぁっ!? 李奈たちのティーカップ出すの忘れてたっ!」


 自然と体が覚えていた行動だったので、いつもと違う環境なのですっかり忘れていた。


「やっと気が付いたわね」

「ごめんっ! ちょっと待っててよ。ティーポットの方も温め直してくるよ」


 僕はキッチンへ李奈たちが使うティーカップを取りに行った。




「それでシア。ユウの事を好きになって狙いに来た訳?」

「お姉ちゃん、ストレートなの」

「あら、本当ですわね。こうもハッキリと(きも)()わって言われると清々しいですわ」

「ユウって結構昔からモテるのよ。でも本人あんなのだから、誰かと付き合うとか今までなかったし、告白されても付き合ったりしないのよ」

「そうですか。李奈が来る前にもそんな話をしましたけれど、また独特な感性をしていましたわ。でも、アレはアレで興味がありますわね」


「でもさぁ、そう言って置いて告白した子たちとも今でも仲良くやってるのよ。アレを見ると複数の彼女と付き合ってるハーレムって言わないかしら?」

「誰にでも優しくするので、独占するのが難しそうな方ですわね。その優しさが残酷でもあり、魅力でもある罪な殿方ですわね」


「そうね。シアも厄介な人を好きになったものねぇ」

「そう言う李奈自身はユウくんの事好きですの?」


「……好きな方だと思うけど、アタシもハッキリしてないわ。ただ、幼馴染で好きでいてるのか、恋見たいな好きなのかがね。ユウと同じ状態なのよ」

「だったらユウくんも李奈に対してそう言う気持ちでいるのかもしれませんわね」


「お姉ちゃんたちは微妙なバランスの中でいつもいるの。良い雰囲気にはなってる時もあるけど、結局その後の進展とかないの」

「そういう杏子ちゃんは、ユウくんの事を好きじゃないのかしら?」

「好きなの。でも、ワタシはまだ子供だから、その好きが大人になって結婚したいくらい好きなのかまだわからないの」


「また杏子ちゃんもユウくんと同じ事を言うのですね」

「類は類を呼ぶの」

「でしたら、こうしてユウくんの元に居る人たちは、みんな同じ気持ちなのですのね」

「アタシにこんな事聞くけど、シアだってユウの事好きでこう言う風に来たんでしょ。気持ち的にどうなのよ。告白するわけ?」


「それはまだありませんわ。今はまだ興味があるってところでしょう。今まで出会った人の中では、ユウくんは特殊です。不思議な魅力のある人ですわ。それ故に、もうちょっと見定めてからと思っています」


「昨日の事があったから、こうして来た訳?」

「違いますわ。ユウくんに興味を持ち始めたのは、もっと前からですの」

「どんなキッカケがあったの?」

「えぇ、それは今年の始業式の日の事ですわ……」

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