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ユカリの書 第4話 狙われた桜咲小学校 ― 6 ―

 桜咲小学校の戦いの後、全生徒が途中下校となり、私と健も自宅に戻った。

 玄関に入ると、お姉様と杏里お母様が迎えにきた。


「2人ともっ! 大丈夫だったの!」

「大丈夫。どこも怪我はしてない」

「平気だぜ」

「もうっ! 学校からアナタたち2人が、茶の木小学校に乗り込んで喧嘩をしたと聞いたと思ったら、次は桜咲小学校で校舎が破壊される災害が起きたって連絡が入ってきて……。お母さんもう何が何やらわからなくなってきたわよ」

『ごめんなさい……』


 私と健は2人に謝った。


「もう……、取り合えず荷物を部屋に置いたら居間に来なさい。そこで話はゆっくり聴くわね。それとお父さんは途中で出会わなかったの?」

「会ってないけど」

「そう……。花音がこれだから家を離れるに離れられなくてお父さんに頼んだのだけれど、学校に付く前に帰って来ちゃったのね……。連絡を入れないと」


 仕事中のお父様にまで迷惑を掛けてしまったか。

 私たちが部屋に荷物を置いて居間に行くと、お父様もスーツ姿のまま混じってそこに居た。

 どうやら私たちが学校を出たすぐに到着したらしく、居ないと分かるとこっちへ飛んできてたようだ。


 私たちは嘘を付かずに、復讐メンバーを集めるところから全てを話した。

 両親にそれはもう怒られた。アレから解放されるのに2時間もお説教をくらった。

 健にこんな事に巻き込んだ事に誤ったが、健も自ら志願してやってきたメンバー。この事に悔いはないと言ってくれた。


 両親の説教から解放されると、私は自室に入って床に横になった。

 疲れた……。

 でもこんな事より、もっと大変な事がこれから起こると予期している。ガンバらなくてはな。


 ~♪


 スマートフォンがメールを着信したとの音が鳴っている。

 ポケットからスマートフォン取りだして操作すると、送り主は酒呑と名前が表示されている。

 たぶん、今回の結果報告の内容だろう。私は文章を読んで行った。


『今回の戦いは全て撮影できた。それと、桜咲小学校の方の騒動も撮影できた。校舎を破壊し、学生を人質にしたなどの映像もバッチリ撮れたぞ』


 嘘っ!

 私は床から飛びあがってその内容に大喜びした。

 あの映像を全世界に流せれば、大神のイメージはガタ落ち間違いなしだ!


『映像は幾つにも分けて保存してある。記念にユカリちゃんのところにも保存しておこうと思うが、映像を送るか?』


 それはもちろん見てみたい。

 世界に知れ渡る大神の滑稽(こっけい)な姿の映像を私も確認して起きたい。

 私は見たいと書いて連絡を送った。

 すぐに返信は帰って来て、映像記録が添付されている。

 ダウンロードを今か今かと待って、終わるとさっそくその映像を再生して見始めた。


 ……おぉ。とてもよく撮れている。

 大神が先生を吹き飛ばし、茶の木小学校の校舎を吹き飛ばす映像も撮れている。

 その映像に、生徒が大神の火の玉(ファイヤーボール)で焼けている映像もあったけれど、大丈夫だろうか……。

 死傷者0人と私の学校の先生は言っていたが、この映像から見るに大火傷をした学生が1人いるようだけれど。

 大神が事実を隠ぺいしたのか?


 私は酒呑にこの内容の確認のメールを送った。

 返事が返ってそれを読むと安堵した。

 どうやらあの火傷を負った生徒はメタモルフォーゼをしていたらしく、変身を解除した後も後遺症はないとの事だ。


 茶の木小学校の生徒たちには迷惑を掛けてしまったな……。

 私は必ず大神の手から、茶の木小学校を救いだしてやると決意を固めた。


 トントン。


 ふすまをノックするこの強さと間隔は、お姉様だ。


「今、入って大丈夫?」

「大丈夫」


 私は映像を切った。お姉様に大神の竜の姿を見せたら、恐怖でパニックになってしまう。


 お姉様が部屋に入ってくると、少し青ざめていた。また体調が悪くなったのだろう。


「今ね。ユカリちゃんの部屋の前を通ったら、竜の声が部屋からして来てね……」


 しまった。余りの嬉しさに音量に気を使う事を忘れていた。


「ごめんなさい。そのっ……」

「大神と戦った映像があるの?」


 私の手元にあるスマートフォンを見て言った。


「……あります。ただ、お姉様には刺激が強過ぎます」

「うん……」


 お姉様の返事や表情からすると見る気はないようだ。


 私の隣に座ると、私の手をとって握りしめた。


「ごめんね。私のせいでユカリちゃんたちが傷ついちゃったね」

「そんな事ない。私たちは大神が許せないから戦っただけ。例え、お姉様でなくても、あんなのを見せつけられたら、桜咲小学校は敵打ちに出ている」

「私が……。もっとしっかりとして居れば、みんなを止める事が出来たかもしれないのに……。そうしたら……こんなことには……」

「お姉様……。ごめんなさい……。私の勝手で、皆を巻きこんでしまって……」

「ユカリちゃん、もう喧嘩なんてしないでね」

「……」

「お願い、ユカリちゃん。もう、こんな暴力を振る事をもう止めようね……」

「…………」


 それは出来ない。

 もう後には引けないところまで来ているんだ。

 これから自分の大切な物を守る為に、私は戦わなくちゃいけない。


「お願い……。もう誰も傷つくのは嫌だよ……」


 お姉様が泣き始める。


 私はお姉様を傷つけたくない。傷付ける者から守りたい。

 守る為に戦うのに、戦えばお姉様が泣いて傷つく。

 どうすればいいんだ……。


「ユカリちゃん……約束して」

「わかり……ました……」


 私は嘘をついた。今、この場でもお姉様が傷つかずに済むなら……。

 そしてこれから、お姉様をこっそりと守ればいいんだ。

 バレない様に。お姉様に知られずに戦い、守れば傷つく事がない。


「ありがとう。ユカリちゃん。もう……、戦わないで平和にいこう。過去の事は……忘れて、新しくいこうね」

「……はい。平和に……行きます」


 そう……。平和にしよう。お姉様が傷つかない為の平和な世界に。


「私……、部屋に戻って寝るね。凄く疲れちゃった……」

「付き添う。一緒に寝ていい?」

「うん。一緒に寝よう」


 私はお姉様の腕を取って部屋まで行った。





 オレは今、ユカリの部屋の窓に居た。

 アレから警察を()いて、ユカリがどうなったか心配なので見に来た。


 声を掛けようと思った時に、ユカリがお姉様と慕っている花音ってヤツが入って来たから、声を掛け損ねた。

 そして窓から2人の会話が聞こえてきたが……。


「あまいぜ……。ユカリ……」


 どうやらユカリを組織に紹介する前にこの問題を解決しなければ、ユカリにとって大きな障害となり、危険にさらすことになりそうだな。


「……ユカリが言うお姉様なら、荒治療だがイケるだろう。時間もねぇからな。やるか」


 前々から考えていた事だが、実行すると色々とヤバい事でもある。

 しかしこれからは、そんなあまっちょろいもんが通用しねぇ世界にユカリたちは巻き込まれるからな。しかたねぇ……。


 オレはユカリには会わずに準備の為にその場を後にした。

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