大安
万に善い日とされる大安。
私はその日に宝くじを買ってみた。
「当たるといいなー」
宝くじを家にある神棚に飾って、とりあえず祈っておく。
「当たるかな」
「きっと当たるよ」
夫が、私が宝くじをお供えしているのを見て、そう言ってきた。
「きっと当たるよ。言葉は言霊。声に出すことで、ちゃんとかなうんだよ」
私がそう言い返すと、夫がすかさず言った。
「いいけどさ、これ連番10枚組だろ。かならず1枚は当たるだろ」
「いいじゃないの、ちょっとぐらい夢見ても」
「1等か、まあ、当たるとすればだいたい1000万枚に一枚だったはずさ。当たるように願っておくけどね」
夫がそういったが、当選発表の日、私は新聞をもって夫と見ていた。
「3等50万円だって」
「いや、当たるもんだな。どうする」
「50万円で、なにができるかしら…」
「さあ、とりあえずは旅行でもしてみようか」
夫がそういったので、私は、昔から行きたかった欧州旅行をすることになった。