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 レオニスは似合わない可愛い包みを抱えたまま、閑散とした道を歩く。


 包みはとても軽く、持って歩くに特に苦になる重さではない。


 けれどもこれを抱えていると時折奥歯を食いしばるほどの激情が込み上げる。

 まるで罰を背負わされて歩かされるような重たい足取りになるのは、いまだに自分の中にある深い傷が横たわっているからだろう。

 深いうつろとなっている傷はいつまで経っても癒えてくれない。


 おそらく癒えることなど一生来ない。

 生きるためにどうにか折り合いをつけ、重ねていく時間が傷を埋もれさせることはあろうとも、この傷はずっと自分の中にあるものだろうとレオニスは理解している。


 と、ふと包み紙がグシャグシャになるほどに強く手を握りしめていたことに気がついて、レオニスはそっと手を緩めた。


 グシャグシャにしてしまった包み紙をどうにか少しでも伸ばそうと手のひらで撫で付け、それから小さく息をつく。


 強く握りしめて壊れるような代物が入っていなくてよかった。


 レオニスはため息をもう一度つくと、自分の頬を軽く引っ張った。

 きっと今の自分は随分と厳しい顔をしていたことだろう。


 そんな自分を戒めるために少し強く頬をつねった後、改めて歩き出す。

 向かう場所は領都の郊外にある小さな一軒家だ。


「ーー……ただいま」


 一軒家の扉を叩き、そう声をかける。

 その声に家の中の者が反応し、パタパタと足音を響かせた。


「おかえりなさいませ、旦那様」


 扉を開けて出てきたのはひとりの女性だ。

 簡素なワンピースを纏い、長い栗毛をひとつにひっつめた素朴な女性はレオニスを迎えると、穏やかな微笑みのまま家の奥へと呼びかける。


「ルル、旦那様がお帰りになったわよ」

「本当?」


 女性の声に家の奥から応えたのは幼い少女の声だった。


 レオニスは家に上がり、プレゼントの包みを抱えたまま家の奥へと向かう。

 そこにいたのはベッドの上で身を起こした小柄な少女だ。


 痩せ細り、青白い顔をした少女はレオニスの顔を見るなり破顔して、両手を伸ばした。


「おかえりなさい!」

「ああ、ただいま、ルル。土産がある。気にいるといいんだが」


 弾む声で両手を伸ばす少女をレオニスは抱きしめて、それから抱えていた包みを少女へと渡す。


 ルルと呼ばれた少女が嬉しそうにレオニスから渡された包みを受け取り、リボンを解いた。

 中に入っていたのは少女が一抱えするほどの大きなウサギのぬいぐるみだ。


「わあ……可愛いウサちゃん!」

「あらあら……良かったわね。ちゃんとお礼を言わないとダメよ」

「あ、そうだった。ありがとう!」


 女性の言葉にルルが慌ててレオニスにそう告げる。

 その言葉にレオニスは笑みを返し、ルルの頭を優しく撫でるのだった。

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