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第4話 ホッパーと召喚者


事件は千絵美の推理通りに解決した。ユージンの情報網により、犯人は宝石を粉末にして持ち運び、別の場所で魔法を使って元の姿に戻していたことが判明したのだ。

街の人々は、魔法に頼りきった捜査では決して解けなかった事件が解決したことに驚き、千絵美とユージンに感謝の言葉を述べた。

ユージンの研究室に戻った千絵美は、達成感に満たされ、ソファに深く座り込む。


「ユージン。今回の依頼はこれで終わり?」

「ああ。だが、次の依頼もすぐに来るだろう」


彼は千絵美の隣に座ると、静かにそう告げた。その表情は相変わらず無感情だが、どこか満足しているように見えた。

「ねえ、ユージン。なんで私のコードネームを『ホッパー』にしたの?」

千絵美の問いかけに、ユージンはわずかに目を丸くした。


「ホッパー。飛び跳ねる者、という意味だ。

君は、まるでバッタのように、私の想像を超えて次々と謎を解き明かしていく。…だから、君の能力に最もふさわしいと思った」


彼の言葉には、千絵美の能力への純粋な賞賛が込められていた。初めて彼の口から聞いた「ホッパー」という言葉は、彼女にとって特別な響きを持った。



─────

翌朝、千絵美はユージンに連れられて、王宮へと向かっていた。


「どうして王宮に?次の依頼の調査?」

「いや。君の存在を、この国の王に報告する必要がある。私は君を、この国の『正式な協力者』として認めてもらうつもりだ」


ユージンの言葉に、千絵美は驚きを隠せない。彼がそこまで自分のことを考えてくれていたとは想像していなかったからだ。

王宮の謁見の間は、想像を絶するほど豪華絢爛だった。玉座に座る国王の姿に、千絵美は思わず息をのむ。


「……ユージンよ。貴公が呼び出したという『異邦人』は、本当に我らの役に立つのか?」


国王は、千絵美を値踏みするように見つめ、そう尋ねた。

ユージンは国王の言葉に臆することなく、堂々と答えた。


「陛下。彼女は、魔法では解けない謎を解き明かすことができる。彼女の存在は、この国に新たな光をもたらすでしょう」


その言葉は、まるでユージンが千絵美の能力を信じ、そして彼女を守ろうとしているように聞こえた。

千絵美は、ユージンの隣で、彼の背中を見つめた。最初は冷たく、どこか無機質だと思っていた彼の背中は、今はとても頼もしく見えた。


「…ホッパー。これが、君のこの世界での新たな居場所だ」


ユージンが静かにそう告げたとき、千絵美の胸の中に、温かい光が灯った。

それは、探偵としての使命感でも、元の世界への帰還を願う気持ちでもない。


ただ、彼のために、この世界で生きていきたい、という、新しい感情の始まりだった。




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