素晴らしい来世に期待!
ある日、人間より遥かに強大な存在が現れて人類に宣言した。
「皆様に真実をお伝えします! 人間には来世と言うものがあります!」
人々はその強大な存在の言うことに耳を傾ける。
「ここで重要なのは今世でどのような行いをすれば来世が幸せになるかですが……」
人々は語り合う。
きっと、善い行いをした者だけが来世で幸せに生きることが出来るのだ……と。
何せ、悪人の来世が幸福であることなど耐えられないから。
そんな事を話していると強大な存在が答えた。
「サボればサボっただけ来世が良くなるんです! お分かりですか? 怠惰に生きている者のみが幸せな来世を得られるんです!」
その翌日からは大変だった。
何せ、人類の半数は彼の者の宣言を信じ切って労働を辞めたのだ。
残りの半分は必死に働いていたが、それも段々と馬鹿らしくなってきたのか少しずつ働くのをやめる者が増えていった。
そして、やがて、誰もが働くのをやめて怠惰に過ごしていった。
皆、餓死をするその瞬間まで穏やかな表情のままだった。
何せ、来世の幸せを約束されていたのだから。
さて、強大な存在こと悪魔は死にゆく人々を見て思わず呟いた。
「マジかぁ……人類」
戦争でも疫病でも滅びなかった宿敵である種族が静かに滅びていくのを見つめながら悪魔はため息をつく。
あまりにも滅びない人類に嫌気がさして、半ばヤケクソで作戦も何もなく思い付きを口にしただけなのに……。
「どんだけ働きたくないんだよ。人類」
呆気なく消滅した宿敵に手向けの言葉を告げる、悪魔の顔はあくまで複雑だった。




