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2-11ED 旅立ちの空

 ウミネコが高く鳴いていた。

 ヤアヤアと、声を交わし合い、港の賑わいを称えあう。


「あっという間に賑わいが戻ったな……」


 港湾施設を一望し、感嘆の声を上げるライカ。

 クェルカ港の処理能力以上の、船の数が海に浮いている。


「商人ってーのは理に(さと)いからなー。ブリュナーク討伐のニュースなんて、当日中に大陸中に広まったぜ」


 (もう)け話を(かて)とする商売人の用意は万端だ。

 飛脚をはじめ、伝書バトから狼煙、手旗信号に光信号、果ては、最新型の魔導駆路通信(マイクロフォン)まで。

 時間は金(タイムイズマネー)を体現する人々をナメてはいけない。


「ライカ様、出航の準備が整ったようです!!」


 少し遠くからアーネストが叫ぶ。


「了解だアーニー。すぐに行く」


「忠犬アニ公、ってとこか??」


「……ひとつ言い置く。アーネストを犬扱いすることは今後、禁ずる」


「――あぁん??」


 眉根を釣り上げてセルケトが感情を高ぶらせる。

 ――が、


「……くっハッハッハッハッハ!

 お前ら、ホントに面白れぇな!! 全部本気かよ!?」


 哄笑(こうしょう)をするセルケトに、ライカが首を傾げて言った。


「?? 戯言(ざれごと)(ろう)する意味など無かろう??」


「オイオイ、人生なんて戯言で埋め尽くすモンだろーよ!!」


 ライカには判らなかったが、セルケトの笑いのツボに燃料を投下したらしく、朝の港にウッドエルフの笑いが響く。


「済まない。何が面白いのかわからない。説明して欲しい」


 ライカの更なる燃料投下に、セルケトの笑いが続く。


「セルケト姉さま、乗り遅れますよ?」


 ヘティトの忠告にセルケトが注意を払う。


「……っくはー、いやー笑った!! よし行くか、ライカ。オスターまでは同船ヨロシクな」


 セルケトが促し、ライカを誘う。

 不思議そうな顔をして、ライカはセルケトの後に続いた。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆


!!! オ マ ケ ヤ ス ヒ コ !!!



「見て見て―。血盟騎士団団長(ヒースクリフ)の盾ー」


 その盾は、盾にしては縦長く、曲線と直線によって複雑な十字型を構成し、白の下地に赤の十字が塗ってあった。

 武具屋で好みの変な盾を見つけたヤスヒコが、オークのオークスに見せびらかす。


「ツヨイか、ソれ」


「強い強い。ジャストパリィしまくりよ!!?

 場合によってはシステム的不死イモータルオブジェクトにもなれる。神聖剣も使える!!」


「ソウカ、イイ盾だ」


「ちょっと高いけど、買~(かぁ)おおっと!!」


 大はしゃぎするヤスヒコに対し、オークスは大人なので、スッと流した。


――――――――――――――――


 ヤスヒコ は のろわれてしまった!


・卑怯騎士の大盾

 今はもう無いが、かつて名を馳せた騎士団の団長にまで上り詰めた男の盾。

 ただし彼は実力ではなく陰謀でのし上がった男だった。

 確かに目端は聞き、的確な指示を下せる有能な騎士団長なのだが、

気に入らない者、邪魔な者などを恣意的(しいてき)に最前線に送り、補給も与えず謀殺した。

 一方で本人は、間違っても最前線に出ることは無かったという。

 彼が、最後の騎士団長になったのも、致し方の無いことなのかもしれない。


 防御力:40

 効果 :盾で受けた場合、基本的にどんなダメージでも0にする。

     卑怯騎士の大盾を装備中は、受けるダメージが2倍になる。



~劣等種と呼ばれた少年と、その手を取ったお嬢様と、支離滅裂なことを言う中年勇者の冒険譚~


 第二話 光蜈蚣竜ブリュナーク


             ~fin.

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