2-11ED 旅立ちの空
ウミネコが高く鳴いていた。
ヤアヤアと、声を交わし合い、港の賑わいを称えあう。
「あっという間に賑わいが戻ったな……」
港湾施設を一望し、感嘆の声を上げるライカ。
クェルカ港の処理能力以上の、船の数が海に浮いている。
「商人ってーのは理に聡いからなー。ブリュナーク討伐のニュースなんて、当日中に大陸中に広まったぜ」
儲け話を糧とする商売人の用意は万端だ。
飛脚をはじめ、伝書バトから狼煙、手旗信号に光信号、果ては、最新型の魔導駆路通信まで。
時間は金を体現する人々をナメてはいけない。
「ライカ様、出航の準備が整ったようです!!」
少し遠くからアーネストが叫ぶ。
「了解だアーニー。すぐに行く」
「忠犬アニ公、ってとこか??」
「……ひとつ言い置く。アーネストを犬扱いすることは今後、禁ずる」
「――あぁん??」
眉根を釣り上げてセルケトが感情を高ぶらせる。
――が、
「……くっハッハッハッハッハ!
お前ら、ホントに面白れぇな!! 全部本気かよ!?」
哄笑をするセルケトに、ライカが首を傾げて言った。
「?? 戯言を弄する意味など無かろう??」
「オイオイ、人生なんて戯言で埋め尽くすモンだろーよ!!」
ライカには判らなかったが、セルケトの笑いのツボに燃料を投下したらしく、朝の港にウッドエルフの笑いが響く。
「済まない。何が面白いのかわからない。説明して欲しい」
ライカの更なる燃料投下に、セルケトの笑いが続く。
「セルケト姉さま、乗り遅れますよ?」
ヘティトの忠告にセルケトが注意を払う。
「……っくはー、いやー笑った!! よし行くか、ライカ。オスターまでは同船ヨロシクな」
セルケトが促し、ライカを誘う。
不思議そうな顔をして、ライカはセルケトの後に続いた。
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!!! オ マ ケ ヤ ス ヒ コ !!!
「見て見て―。血盟騎士団団長の盾ー」
その盾は、盾にしては縦長く、曲線と直線によって複雑な十字型を構成し、白の下地に赤の十字が塗ってあった。
武具屋で好みの変な盾を見つけたヤスヒコが、オークのオークスに見せびらかす。
「ツヨイか、ソれ」
「強い強い。ジャストパリィしまくりよ!!?
場合によってはシステム的不死にもなれる。神聖剣も使える!!」
「ソウカ、イイ盾だ」
「ちょっと高いけど、買~おおっと!!」
大はしゃぎするヤスヒコに対し、オークスは大人なので、スッと流した。
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ヤスヒコ は のろわれてしまった!
・卑怯騎士の大盾
今はもう無いが、かつて名を馳せた騎士団の団長にまで上り詰めた男の盾。
ただし彼は実力ではなく陰謀でのし上がった男だった。
確かに目端は聞き、的確な指示を下せる有能な騎士団長なのだが、
気に入らない者、邪魔な者などを恣意的に最前線に送り、補給も与えず謀殺した。
一方で本人は、間違っても最前線に出ることは無かったという。
彼が、最後の騎士団長になったのも、致し方の無いことなのかもしれない。
防御力:40
効果 :盾で受けた場合、基本的にどんなダメージでも0にする。
卑怯騎士の大盾を装備中は、受けるダメージが2倍になる。
~劣等種と呼ばれた少年と、その手を取ったお嬢様と、支離滅裂なことを言う中年勇者の冒険譚~
第二話 光蜈蚣竜ブリュナーク
~fin.




