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夢宙時空  作者: 星秤
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第一宙 第一夢 夢境之棋

祁翔は、夢を愛し、夢を見るのが得意な彼は、いつも眠っている間に見たすべての夢を覚えています。最初は単なる好奇心や楽しみからでしたが、彼は日々の夢を記録し始めました。夢の中で夢を見て、記録をとり、しかし、意外なことに、夢の中には多くの時空世界が存在することに気づきました。それは人々が想像もしなかった時空世界でした。


彼はその世界を『夢宙』と呼び、すべての時空構成要素が含まれています。


彼は多くの夢の出來事を経て、自分も隠された『夢宙者』であることに気づき、未知の冒険に踏み出しました。

『夢・宇宙・時空』創始篇 ― 星の法則篇 ―


彷徨の法則!

中心の法則!

循環の法則!

欠片(砕裂)の法則!

集結の法則!

共鳴の法則!

回帰の法則!

自由の法則――最初にして最強、そして最も深奥なる法則!


「……ああ、もう複雑すぎるよ!」


軽やかで、どこかうんざりしたような声が響いた。


虚と実が入り混じり、夢か幻かも分からない世界。まるで「胡蝶の夢」のような曖昧な境界の中で、彼は静かに一冊の本を閉じた。



満天の星が瞬き、夜空には大きな満月が浮かんでいた。


その夜、彼は意識や夢について書かれた本を何冊も読み、夢に関する記事や動画を見続けていた。もちろん、お気に入りのアニメも欠かさずに。


やがて疲れが押し寄せ、ベッドへ倒れ込む。


瞼はゆっくりと閉じ、抗えない眠気に身を委ねると、ほどなくして深い眠りへ落ちていった。



ぼんやりとした意識の中で、彼は夢の世界へ足を踏み入れる。


気が付くと、そこは一枚の碁盤を挟んだ静かな空間だった。


彼は真剣な表情で碁石をつまみ、静かに盤上へ置く。


ふと自分の手を見る。


身にまとっていたのは純白の衣。長く垂れた袖は、まるで最高級の絹で織られたかのように美しかった。


対面には、長い白髭をたくわえた老人。


老人は彼とは対照的に漆黒の衣をまとい、しばらく考え込んだあと、一筋の汗を流しながら慎重に一手を打った。



その遥か彼方――どこかも分からない戦場では、黒煙が立ち昇り、無数の兵が命を懸けて戦っていた。


勝利のためなのか。


名誉のためなのか。


それとも、別の何かのためなのか。


その答えを知る者はいない。



その瞬間。


夢の中の彼は、碁石を持つ手を止めた。


──負けた。


そう悟ってしまったのだ。


盤上は静寂に包まれる。


次の瞬間、景色は一変する。


濃い霧に覆われた夜。


そこには壮絶な戦いの跡が広がっていた。


地面を埋め尽くす無数の屍。


耳を裂くような断末魔。


吐き気を催すほど濃厚な血の匂い。


長い戦いの果て、生き残ったわずかな兵士だけが旗を掲げ、歓喜の声を上げていた。


勝者だけに許された笑顔だった。



景色は再び碁盤へ戻る。


「やはり師匠には敵いません。……私の負けです。」


「ほっほっほ。」


黒衣の老人は髭を撫でながら穏やかに笑う。


「いやいや、大したものじゃ。この勝負、わしも危うく負けるところだった。」


二人の背後には、巨大なパズルのような壁画があった。


その最上部にある一片だけが淡く光り――


やがて静かに輝きを失った。



『まだ寝てるの? 早く起きないと遅刻するよ!』


突然、目覚まし時計の声で祁翔は目を覚ました。


大きく欠伸をしながらアラームを止める。


この目覚ましは、大好きなアニメキャラクターのAI音声を設定した特製仕様だ。


毎朝、推しに起こしてもらえるなんて。


彼にとって、それ以上に幸せな目覚めはなかった。


カーテンを開けると、朝日が部屋いっぱいに差し込む。


もう一度欠伸をし、洗顔と歯磨きを済ませると、ちょうどやって来たバスへ飛び乗った。


通学中、ポケットからスマートフォンを取り出し、昨夜の夢を書き留め始める。


「本当に……現実みたいな夢だったな。」


内容を思い返しながら、一つ一つ丁寧に記録していく。


彼には、不思議な力があった。


目覚めても夢をほとんど忘れないのだ。


細かな情景まで鮮明に思い出せるため、毎朝こうして夢日記を書くのが習慣になっていた。


理由なんて特にない。


ただ、それが面白かったからだ。


「また、あの夢か……。」


彼は苦笑する。


何度目なのか分からない。


しかし、回を重ねるたびに夢は現実味を増していた。


「いつも同じ碁盤で……一度も勝てたことがない。」



バスを降りても、祁翔は夢のことばかり考えていた。


ぶつぶつ独り言を呟きながら歩いていると――


ぽん、と肩を叩かれる。


驚いて前につんのめり、危うく転びそうになる。


「祁翔、おはよう!」


口いっぱいにトーストを頬張っていた祁翔は危うくむせた。


「お、おはよう……。毎回そうやって驚かせるなよ、装弱兄。」


「だからその呼び方やめろって! 俺は荘洛! 『洛陽紙貴』の『洛』だ!」


「はいはい。四字熟語とか使って、いかにも頭良さそう。」


祁翔は呆れたように横目で笑う。


目の前にいるのは幼なじみであり親友。


クラスメイトではないが、アニメ好きで、都市伝説や怪奇現象好きという共通点もあり、小さい頃からいつも一緒だった。


性別さえ気にしなければ、幼なじみと言っていい関係だ。


「朝からぼーっとしてたけど……また変な夢でも見たのか?」


荘洛は大きなおにぎりを頬張りながら尋ねる。


「……うん。また、あの夢。」


「これでもう十三回目だぞ。」


「えっ? 数えてたの?」


祁翔は思わず目を丸くする。


「なんとなく気になってさ。毎回その夢を見るたび、お前ぼーっとして俺に驚かされるから。」


荘洛は胸を張って笑った。


「なるほど……。」


祁翔はスマホの夢日記を開く。


そこには無数の夢の記録が並び、その中で『夢の碁局』というタイトルだけが十三回も続いていた。


本当に荘洛の言う通りだった。


「よくそんな細かいこと覚えてるよ。」


「そりゃ覚えるさ。お前、毎回物語みたいに夢を語るじゃん。最近なんて、その夢ばっかりだし。」


そう言いながら荘洛は、祁翔のスマホを覗き込む。


「『夢宙』……?」


目次に書かれた二文字を見つけた。


「なんだこれ。夢宙? めちゃくちゃ厨二っぽい名前じゃん。」


「分かってないな。」


祁翔は少し誇らしげに笑う。


「夢の一つ一つが、それぞれ違う時空だと思うんだ。だから全部まとめて『夢宙』って呼んでる。」


「へぇ……。」


荘洛は画面を覗き込みながら呟く。


そこには夢の内容がびっしり書き込まれていた。


祁翔は慌てて画面を閉じる。


「続きは教えない。」


悪戯っぽく笑う。


「ちぇ、ケチ。」


荘洛は足元の小石を蹴飛ばした。


話しているうちに、二人はいつの間にか校門へ着いていた。


祁翔は荘洛の背中を見送る。


高校二年でクラスが分かれて以来、二人は隣のクラスになった。


近いようで遠い距離。


今のクラスにはどうしても馴染めない。


唯一好きな時間は昼休みだった。


昼寝をすれば、また夢の世界へ行ける。


数え切れない夢の中を旅する時間こそ――


祁翔にとって、何より幸せなひとときだった。

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