第74話 応援の問題
そうこうするうちに、クギナとトオマスの出番が近づく。 16の試合場で並行して試合が進められるため、番号が近いクギナとトオマスは同じタイミングで試合場に上がる。
◇
顎に手をやり考え事をしていたトオマスが思考の産物を口にする。
「僕らが戦うのは4回戦か...」
クギナといつ戦うことになるかを考えていた。
「4回戦まであんのか? 『バスターズ』のコンテストはトーナメントじゃないぞ」
トオマスとクギナの会話に、アリスが横から口を出す。
「あんたらの場合、1回戦や2回戦で合格は無理でしょ。 期待するとすれば3回戦だね」
「3回戦... 2回勝たなきゃならないわけか。 名門事業所の志望者を相手に2回も勝てるかな?」
「1回戦で審査員に認めさせてイッパツ合格しようぜ」
アリスは呆れた様子でクギナから視線を外し、クルチアが何やら暗い顔でいるのに気付いた。
「どしたのイナギリ?」 暗い顔して。
「1つ... 1つ困った事があるの」
「なに?」
「どっちを応援しようかなって...」
◇
クルチアの口から出た "応援" という言葉にトオマスが強い反応を示す。 "応援して欲しい" と口には出さない。 しかしクルチアを見つめるトオマスの目が口ほどに物を言う。 僕を応援して欲しい、マイ・レディー。
見つめ合うクルチアとトオマスに、クギナが苛立ちを示す。
「迷うこたぁねえよ。 私は別にオマエらの応援を期待してない」 だから見つめ合うのをやめろ。
クルチアはトオマスからクギナに視線を振り向ける。
「そんなこと言わないで、オウリンさん」
「応援なんか意味ねえし」
強がりではない。 クギナはこれまでの校内試合で応援された経験がないから、応援アリの場合とナシの場合の比較が出来ない。 応援のチカラを彼女はまだ知らない。
「じゃあオレがクギナを応援してやるよ」
ミツキが言い出した。 彼はときどき気まぐれに、安っぽい親切心を発揮する。
クルチアはホッとした顔。
「そう? じゃあ頼んだわねミツキ」 フゥ、これで一件落着。 まさかミツキが自分から応援すると言い出すなんて。 いいとこあるじゃない。
◇
一行は二手に分かれた。 クルチアはトオマスの応援へ。 ミツキはクギナの応援。 アリスはミツキの後にくっついて行った。




