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ノオオオオム!  作者: 岩ゴロー
7/8

・・・7話

 あ、あ、あ。



「あのバカァ………!」



 こんなことになるなら連れてこなければ……。

 今頃はドラゴンの餌かな。

 いやアイツ小さいし、案外上手く隠れられてるという可能性も。

 どちらにせよ助けなきゃな……。

 でもドラゴンがいるしなぁ。

 もう見捨てちゃっても……。

 うん。これはもうしょうがないってことで!



「………ぐう。俺の良心が咎める」



 よし! 助けてろうじゃあないの!

 ったく。世話の焼ける奴だぜ。

 それにアイツいなくなったら寂しくなるしな!


 だが、どうやって?

 馬鹿正直に来た道を戻っても、そこにはドラゴンがいる。

 それなら魔法で穴を空けながら離れた位置に行くか?

 ………俺の魔力、持つかな?

 でも仮に持たなかったとしてもラピスがすぐ死ぬわけじゃない。

 きっと今頃必死に身を隠しているだろ。

 それなら俺が到着するまで頑張ってもらう。

 もうこれしか思いつかない。

 これで行くしかない!

 隠れていろよ! ラピス!



「ほっと………よし。これなら静かだ」



 このまましばらく下向きに掘り進もう。

 良い感じに降りたら横に穴を空ける。

 そこからは隠密だな。

 大事なことだがツルハシは使うなよ、俺。

 大事なことだからな。



 …………む、もう魔力切れか。

 歩くのが結構辛い。

 このまま眠ってしまいたいが、それはよしておこう。



「ふう…………」



 ああ、この体勢がちょうどいい。

 あれだな、筋肉痛の時に楽な姿勢を探すみたいな。

 心なしか魔力が回復してる気がする。

 初めて異世界に来た時から魔力の量は上がってる。

 この調子でいけばもっと広く地形を操れるようになるだろうな。

 ま、もっと楽な方法があるなら教えて欲しいが。



 どのくらい時間経ったかな?

 体感だと一時間?

 もうだいぶ魔力も回復しただろう。

 それじゃあ再開と行きますか。


 それから俺はエッさホイさと穴を掘り、休みを繰り返した。

 もう本当に疲れる。

 途中何度もラピスを見捨てようと考えた。

 だが俺は止まらなかった……。



「……遂に」



 そして遂に、俺は目的の位置に辿り着いたのだった。



「横穴を開けてっと………ドラゴンは…………あ、寝床に戻ってる」



 こんなに時間をかけて体力を使うのと、しばらく待って突入するの、どちらが良かったのかと少し思ったが考えないことにした。



「ラピスぅ……おいラピスぅ…………どこにいるんだ」



 ここは結構広い。

 探すのは骨が折れそうだ。

 お互いに位置を知らせることは難しそうだ。

 いやそんなことしたらドラゴンにもバレるんだけど。

 でもどうにかして………。



「むむむ………ん、なんだ? 岩がモゾモゾしてる」



 変な感じだな………。

 ま、まさかドラゴンの魔法!?

 気づかれたのか?

 そんな様子はないが。



「……く、来るか!」



 カウンターの構え!

 適当だけど………。



「……………きた! はあっ!」



 見事に決まったな。

 俺の手刀。

 さぞ痛かっただろう!



「ってあれ? お前ラピスかよ!」



 敵だと思っていたら救助対象でした。



「ああ、すまんすまん。大丈夫か?」



 目立った傷はないな。

 ちょっと欠けてるくらいで……。

 まあ誤差だろ誤差。

 それにこれで生きて帰れるしな。

 そんじゃささっと帰りますか。



「ほら行くぞ。今度は振り落とされるなよ」



 このポケットは不安だが、まあ大丈夫だろう。

 俺が注意していれば。


 来た道を振り返って帰宅!

 ………っと、お?

 なんかここの壁、見覚えが…………。

 ああそうだ、前に見つけた鉱石の壁だ。

 これ魔法で動かせなかったんだよな。

 あれ? でも削れてる。

 俺の魔法が効いたのか?



「………よっ」



 どうかな…………おお!

 なんだ、操れるじゃん!

 もしかして度重なる魔法の行使で俺のレベルが上がったのか?

 ならラッキー!

 ありがたくこれを持ちかえらせてもらう。



 うう、うううう。

 やっと、やっと……。



「帰ってきたぁ!」



 我がマイホーム!

 安心感が段違いだ!

 全く心配かけさせやがってコイツは。



「反省して、次からはここで大人しく待ってろよ……って聞いてないし」



 帰って早々石ころ遊びですかい。

 全く気楽で良いものだな。

 だがまあ俺も今から石ころ遊びするんだけどな!


 持って帰ってきたこれを………。

 でも確か鉄とかって精錬しなきゃいけないんだよな?

 しかしここにかまどは無いぞ。

 ううむ。

 どうにか魔法で解決しないか?



「こう、魔力を送れば………あ、目がクラクラ」



 なんだ、急に力が抜けて。

 眠気が………………。



「うお! どうなった!」



 寝てたのか?

 顎に一撃くらったわけではなさそうだが。



「……あ、これ」



 あの鉱石、ここだけ何か色が違う。

 それに質感も。

 カチカチで、これは…………おお! これは鉄だ!

 まじかよ! 本当にどうにかなっちゃった!

 魔法の力ってスゲェェ!

 でも片端がちょっとだけ…………。

 もしかして魔力切れで眠ったのか俺。

 そんだけ精錬には魔力使うってことなのか。



「…………これ味はどんなものかな………」



 ま、気になるよね。

 そんなわけで一口だけ。



「はっ! 一体何が!? 俺の鉄はどこへ?」



 さっきまで手に持ってたのに。

 ま、まさかあまりの美味しさに、全部食ってしまったのか!



「……………やぁっちまったぜぇ、てへ!」

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