表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノオオオオム!  作者: 岩ゴロー
6/8

・・・6話

 えぇと………ここを右に、そして次が左。

 そうすると少し開けたところに出るから………。

 あったあった! 下へと続く縦穴。

 しばらく探索しても特段面白みが無かったから冒険しないとね。

 危険かもだけど、正直今の俺は万能感というか何というか。

 まぁ負けることはないだろ。



「ただ1つ懸念することは…………ついてきてる」



 前に見つけた小さいゴーレムのラピスがついてくる。

 危ないから拠点で待ってろと言うのに。

 小さすぎて俺が踏み潰しちまいそうだ。

 そうなった時俺はショックだぞ………。



「………まぁ、ついてくるのは良いにしても、近くをうろちょろされるのは危ないからここに入っとけ」



 服に元からついてた胸ポケット。

 ここなら邪魔にもならないだろ。


 っさ。

 そんなわけで冒険、冒険!



 よいしょっ、よいしょっと……。

 魔法で階段作りながら降りてるけど、正直もっと早く降りたい。

 紐でもあったら良いんだけどな。

 ……ないだろうけど。



「おっ! 下が見えてきた!」



 それなりに深かったな。

 今地上から深度どのくらいなんだろ?

 外に出たことないから分からんな。

 というか、1回地上まで登って異世界の景色を見たいな。

 なんで俺いつまでも地下に潜ってんだろ。

 ……まぁでも、地上には危険がいっぱいって事もあるだろ。

 その時のために装備を整えないとな。


 それにしてもここ、どうなってるんだ?

 ずっと歩いてるけど壁が現れないな。

 そういえば天井も高い。

 ここは広めの空間なのか?

 一度高台に登って全体を見てみるか。



 うん、ここが良さそうだ。



「普通に登るのもめんどくさいから、魔法でズドンっと!」



 ふひぃ!

 ちと怖かったが、一瞬だったな。

 さてさて景色は………おお!



「ひっろぉぉ………」



 思っていたものの数10倍はある。

 端は………かろうじて見えるくらい。

 洞窟にもこんな場所があるんだなぁ……。


 むむ!

 あそこに何か……。


 ってあれ何だ?

 他のと違う岩……いやでも少し動いてる。

 もしかして新素材!

 レア鉱石だったりするのか!



「よぉし! 確かめよう!」



 いくら広いと言っても凸凹してたり狭いところはあるな。

 でもこの体なら問題はない!

 するするっと抜けて……………到着!



「さてさて一体どんな鉱石がぁあああ!」



 お、おい嘘だろ!?

 こいつは鉱石なんかじゃない!

 生きてる!

 ドラゴンだ!!



「た、退避ぃ………!」



 あっぶねぇぇぇ!

 寝てるようだったから良かったけど、危うく食い殺されるところだった!

 あんなの今の俺のレベルじゃかないっこないって!

 お、恐ろしかった……。

 間近で見ないと気づかないとか、とんだ保護色だぜ。

 もしかしてそれで獲物を狩るのか?

 俺がそうならなくて良かった。


 ………ふぅ、帰ろ。



「………………いや、でもな」



 ドラゴンはどのゲームでも強敵だし、実際アイツも強いんだろう。

 でも目の前に強敵がいるのに、尻尾を巻いて逃げ帰り、もうそこへは近づきませんでしたじゃ格好が悪い。

 何よりドラゴンとの戦い………これ以上に面白そうなものも無い!



「………戦ってやる! ここで逃げたら男じゃねえ!」



 ……………だがそれはまた後で。

 ここ、これは逃げるわけじゃない!

 戦略的撤退……いや、これはドラゴンのため。

 アイツ自身弱っちい奴が来ても鬱陶しいだけだろ!

 だから強くなった俺がアイツに挑むことで、良い戦いをお届けしようという………。


 う、うん。

 正直気迫に圧倒されたよね。

 常時威圧するスキルでも持ってんのかも。

 でもカッコ良かったな。

 翼は生えてないみたいだったけど、あれって所謂地龍ってやつか?

 鱗とか硬そうだな。

 まともな武器とか無いけど勝てるかな?



「うん? この壁………」



 何か色が独特………レアの可能性もあるし取っとこ。

 持ち運びできるように魔法で良い形に整えて………。



「あれ?」



 おかしいな、魔法が……。

 発動しない?

 いやでも魔力を使ってる感覚はある。

 てことは出来ないのか?

 俺のレベルでは無理とかそういう話?

 ふうむ…………しょうがないからツルハシで削るか。



「ふんっ!」



 おおっと!

 石のツルハシがあっさり壊れた。

 これってこの石の方が硬いからか?

 だとするともっと高いグレードの武器とか作れるな!

 これは何としてでも………んん?



「何か視線を………んあ」



 そうか!

 大きい音を出したから気づかれたのか!

 あのドラゴン起きて、こっち見てる……!



「…………」


「グゥオオオオオ!!」

「……逃げよ」



 いやぁ本当にバカだったと思うよ。

 そんなに離れてもないのにツルハシで石叩くとか。 

 本当に反省してる。

 反省してるからお願い。



「神様助けてぇぇ!」



 アイツ卑怯だろ!

 こっちは壁を避けて走ってるっていうのに……。


 アイツはお構いなしにぶっ壊しまくってる!

 パワーバランスおかしすぎ!

 あんなのに勝てるやつとかいんのかよ!

 もう2度と戦うなんて考えねぇ。

 俺はこれから慎ましく暮らしていく!



「うおおおおおおおおおおお!!」



 あ、そうだ!

 魔法で岩をぶつければ足止めくらいにはなるんじゃないか?

 そうと決まれば…………いけっ!

 あいつの顔面に石柱をぶつけて……!



「うんん、効いてないねぇ」



 薄々そんな気は……いやそんな気しかしてませんでした!

 俺のばか!

 ただ疲れただけじゃないか!

 くそおお!



「あ、見えた! 上に行く穴!」



 あそこを登れば流石に追ってこないだろ!

 うおおおお秘技! 石柱エレベーター!



「いっけぇぇ! とうっ!」



「ふぅふぅ………アイツは………追ってきてないか」



 良かったぁ。

 こんなところで死ぬところだったぁ。

 ………っへ! あまちゃんが!

 ドラゴンと言っても所詮、図体のでかい薄鈍よ。

 そんなんじゃぁこの俺には追いつけねぇぜ!



「馬鹿なドラゴンだったな、ラピス………あれラピス?」



 おかしいな。

 胸ポケットに入ってない。



「おいラピスどこだ? ラピ………まさか!?」



 まさかアイツ、さっきのであそこに振り落とされて……。



「ラピスゥゥゥゥ!!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ