・・・5話
魔法を使いぃの。
魔力切れでやすみぃの。
またまた魔法を使いぃの。
そんな感じでようやく完成っと。
ただ壁、床、天井を石にレンガしただけだけど……
うん、意外と良い感じじゃないか?
やっぱゴツゴツしてるだけの岩じゃ見栄えがな。
まぁまだ家具とかは椅子とテーブルしかないから質素だけど。
ああでも、家具といっても何を置けば……。
基本的に前世で必要だった物はいらない。
冷蔵庫も、洗濯機とかも。
何せこの服、全く匂ってこないんだもん。
特殊な素材で出来てるのか?
あ、いや待てよ。
そういえばゴブリンを倒した時も匂いを感じなかったな。
てことは問題は俺にあるのか!
匂いを感じないとか………。
「まあ良いか。それよりやる事も終わったから、また探索にでもいくかな?」
他に美味しい石でも見つけられるかもだし。
……っと、お?
「おっとっと。ここの床、石レンガにするの忘れてた……あ」
しまった。
間違えて違うところに魔法使っちゃった。
ここだけ無駄にボコってなってる。
さっさと直して………待てよ。
……これってもしかして。
「ええっと。石を掘るから………出来た! ツルハシ……! ほいっ!」
うん、やっぱり。
魔法を使って石を削るより、物理で破壊した方が楽。
筋力とかが上がってるからか?
やはり筋肉! 筋肉は全てを解決する!
それに魔力を節約できるから次からはこうしよう。
それじゃあこれで完璧。
同じみ石の盾と、気に入ったからハンマー。
考えてみればハンマーって高性能だよな。
剣と違って研ぎ直す必要がない。
適当にぶん回せばいい。
投げても良いときた。
もしかしてハンマーが全ての武器の頂点に立っているのか?
「あ、でもストレングスが高くないと難しいか。だから俺と相性がいいのかも?」
ま、考え事はここまでにして。
いざ、出発!
その後俺は2度目の洞窟探索をした。
結果としては、俺の脳内地図が広がっただけだった。
歩けど歩けどずっと同じ景色。
モンスターとエンカウントする事もなく平和。
言ってしまえば退屈だった。
ワクワクドキドキの冒険はどこへやら。
というか、あのゴブリンたちはどこから来たんだ?
住処はどこにも無かったけど。
「だぁぁ。これなら拠点拡張でもすれば良かった……」
あんまり意味のない時間だったな。
でも疲れてないから良いか。
本当、体力無限だなこの体。
そこはありがたい。
魔法使うとすぐバテるけどな。
「…………うんんん」
やっぱり、何かおかしいな。
昨日、いやその前から感じてたけど……。
違和感。
嫌な感じじゃないんだけどね。
でも正体不明だとモヤモヤが……。
近くに何かいる気がするんだよね。
………………。
でも万が一危険があったら危ない。
そう、危険は危ないからな。
ここは間違いであっても言わねばなるまい!
「スゥゥゥ………ノノーム・ノ・ノムタニアがギ○スの力を持って命じる! 姿を現せ!」
ノノーム………もうちょっと違うのにすれば良かった。
それに誰も出てこないし………。
や、やめろ!
正気に戻るな俺!
ふぅ……危ない危ない。
もう少しで聖なる光、ホーリーライトに焼き貫かれるところだった。
「き、気のせいだった……………か」
え、なんかいる。
ちっこい岩が、動いてる。
「………ふ、フハハハ! やはりな! いると思ったんだ………」
どこから見らていた!
このまま演技し続けるか?
いやいやそれだと俺の心……もといダークマターが耐えられない。
「こほん………それにしても何だこいつは?」
本当にちっこいな。
俺の手のひらサイズ。
それにやっぱり、石で出来てる。
ゴーレムっぽい?
いやゴーレムはこんな小さくないだろ。
もっとこう、遺跡の番人!
みたいな感じで……。
「……ツンツン」
あ、ちょっと嫌がってる。
むぅぅ、これはファンタジー。
種族はゴーレム(仮)としておいて。
こいつは何でここに?
気配からしてずっと俺を見てたよな?
まさかストーカー。
異世界にもいるのか。
しかも石の………。
まあ良いか。
害は無さそうだし、放っておいても。
「そういえばこいつ何処に隠れてたんだ? ちっこいから見逃してたのか?」
それかそういう魔法でもあるのか。
いずれにせよいなくなったら探すの面倒だ。
「ほら、お前はこっちにいろ」
テーブルの上なら見失わないだろ。
こいつがじっとしてるとは限らないけどさ。
………腹減ってきたな。
石ころ食うか。
はぁ、美味しいは美味しいけど、もっと食卓に彩が欲しい。
「パクパク………うん、どうした?」
こいつ、俺の方をじっと見てる。
………あ、そうか!
もしかしてこいつも。
「ほら、これ食うか?」
お、取った取った。
こいつもお腹が空いて……あれ?
今なんか手の力が抜けて……。
ま、まさかこいつ、俺の魔力を吸ったのか?
「………渡した石は食べない」
えぇ、魔力を食うのかよ。
めんどくさいな。
体感は微々たるものだけど、あんまり吸われたくは……。
「……でも何か、可愛く思えてきたな」
ちっこいからか、それとも仲良くしてるからか。
まぁ何かペットみたいだしな。
……………。
「ぃよし! お前を俺のペットに……いや、使い魔にしよう! その身とその力を持って我の助けとなるがいい………そうだな名前は……………英語の石でロック、いやいやいや」
ううむ。
どうしようか。
石、石、石。
あ、そうだ。
「お前の名前はラピス。ラピスだ………! ラテン語で石って意味だから、まあ適当だけど……」