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ノオオオオム!  作者: 岩ゴロー
2/8

・・・2話

 この物語の主人公が転生した後。

 転生前の世界では家族での受験合格祝いを終えて帰ってきた3人が絶句していた。



「………何これ」



 救急車のサイレンが鳴り響く住宅街でその家は全壊していた。

 他の被害は軽微なもので、まるで狙ってやったかのような有様。


 そのすぐ後に3人は知ることとなる。

 ただ1人の犠牲者を。

 そして当の本人である主人公は知る由もない。

 自分の死因が隕石の衝突であることを……。



◇◆◇



「嘘だろおおぉぉぉぉぉぉ!!」



 こんなことがあっても良いのか?

 こんなふざけた……いや良くない!

 どう考えてもおかしい!



「何で俺がこんな姿に………こんなの、某ゲームのク○ボーだとバカにされても反論できないぞ!」



 これって所謂あれか?

 異世界転生というやつか?

 いやまあそういう系の作品はいくつか知ってるから100歩譲って良いとして、何でこんなバカみたいな姿になってんだよ!

 普通は人間とか、もっとマシな魔物とかだろ。

 こんな……。



「こいつは何だ? 人、ではないよな……見た目からしてドワーフとか?」



 あ、いや待てよ。

 デ○ズニーのアニメでいたな。

 確かフ○ニアスとフ○ーブにあったノーム人形とかいうやつ。

 三角の帽子も着けてるし。



「いやだとしても何故!? 何で俺がノームなんだよ! せめてスケルトンとかにしてくれよ………」



 最悪だ。

 異世界転生したらどんな姿でも大丈夫。

 そう思っていたけど、これはないだろ……。



「はあ……………………」



 ま、まあどんな形であれ、転生したことには変わりない。

 ほら、石の上にも三年と言うし、この姿もいずれ慣れるだろ。

 プラスに考えよう。

 そうしよう。



「でも出来るなら違う種族にしてほしいよ………」



 そういえばノームって四大精霊のうちの地だったっけ?

 だったら地属性の魔法とか使えるのかな?



「いやいや使えなかったら困る。それでないと俺はいよいよドングリだ」



 よし!

 やってみるか。



「と言っても、やり方を知らない」



 普通なら呪文とか唱えるのか?

 でもそんなものは知らない……。

 念じれば使えないかな?

 魔力を感じ取ってぇ、みたいな感じで。

 まあ転生特典とかでそのくらい楽勝だろ。



「………ふっ! はっ! やあっ! うおりゃあっ!!」



 ………や、やり方が悪いんだ。

 今のは声を出しただけで、ちゃんとしたやり方があるはずなんだ。

 きっとそうだ。

 そうに違いない。

 そうであって欲しい!



「……も、もう一度………」

「グガァ!」

「おっ、何だ?」



 びっくりしたな。

 今のは人の声か?

 にしては何か………。



「そおっと…………お?」



 あれは………。

 1人に寄ってたかって襲いかかってるのか?

 あのボロいローブを着た奴らは。

 もう1人は………ってあれ、俺の姿と瓜二つ。

 あっちは髭が生えてるけど、俺と同じノームなのか?

 襲われてるなら助けた方が良いのかな?



「「「ガァッ!!」」」



 あ、あいつら一斉に襲いかかった。

 早く助け………



「え?」



 あ、あのノーム、ありえない速度で逃げていったんだけど。

 まるでリスかウサギのようだ。

 あんな小さい歩幅でどうやって……。

 お、あいつらは追っていかないのか。

 まあ流石にね。

 いや、あいつら何かしてるぞ。

 あれは………宝石だ。

 あいつら落ちてる宝石を集めてる。

 好きなのか?

 というか、あの宝石ってもしかしてさっきのノームの……。

 なるほどな。

 奪うために襲っていたのか。



「にしても、自分のものだろうに。あいつらに奪われてよかったのか?」



 まあ逃げるが勝ちという言葉もあるけど。


 てなわけで俺もここから離れるか。



「ン?? ンガッ……クンクン………」



 うん? あいつ何して………ま、まさか!

 あの鼻を突き出す動作、匂いを嗅いでいる!?

 誰のって、この場合近くにいる俺しかいないよな。

 まずい、早く逃げ……



「あ」



 ままままずい!

 ミスって落ちてた石ころ蹴っちゃった!



「グガァッ!」

「「「ガァッ! ガァッ!」」」



 うおおおバレたああ。

 ここここうなったらさっきのノームみたいに俺も………。

 だが待てよ。

 異世界転生と言ったらチートがセット付いてくるもの。

 とするとこれは所謂、チュートリアルというやつでは?



「ふっふっふ……ちょうどいい。てめえらを1匹残らず俺の糧としてやるぜ」



 さっきは魔法とか出せなかったけど、俺はパワー系なんだろ。

 殴ったら衝撃波の轟音と共にあいつらが吹っ飛ぶに違いない。



「かかってこ……………」



 うんん、これは…………。



「やっぱ無理」



 俺は逃げた走って逃げた。

 それはもう、脱兎の如く。

 いやだって思ったよりも怖っかたし。

 ゲームの三人称視点ならともかく、自分視点で襲われそうになったら普通に怖いって。



「俺は先達のノームに学ぶぜ!」



 しかしやはりと言ったところか、俺の足も相当に速い。

 何なら前世の俺より速いんじゃないか?

 これなら世界狙えるだろ。



「うお! あぶね」



 今壁にぶつかりそうになった。

 そうだ、ここは狭い洞窟の中。

 充分周りには気を配らなければ。

 まあ、ここまで逃げればあいつらも……。



「おい嘘だろ! まだ追ってきてるのかよ!」



 執念深いな。

 俺が宝石を持ってると思っているのか?

 今来ている服が無くなったらスッポンッポン何だが。

 そしたら俺の巨石がお目見えするんだが。

 股間についたそれはもう巨大な………。



「おっと、別れ道………」



 右か左か、右から左か………。



「こっちだ」



 迷路とかで右沿いに行ったりするからな。

 いや別に脱出するために走ってるんじゃないけど。


 うん? 先が広くなってるな。

 また別れ道があるのか?



「……え? おい、ここって………行き止まり」



 え、そんなこと…………。

 いやまだ間に合う。

 一旦戻って左の道に進めば……。



「あ……」



 あいつらがもうそこまで!

 どうするどうする。

 ここであいつらを迎え撃つか?

 いやそんな力がどこにあるんだ!

 あいつらの隙間を縫って戻ることも無理そうだ。

 この行き止まりに何かあるわけでもない。

 出来ることは、ないのか?

 ここで終わり?

 こんな簡単に。

 俺にチート能力は? 俺の冒険は?

 異世界生活0日目で殺されて終わり?



「そ、そんな…………くそっ! 何でこんなことに!」



 これなら前世で食っちゃ寝の生活してた方がまだマシだった。

 あ、あいつらがもうすぐそこに。

 い、いやだぞ俺は。

 最後が苦痛に悶えながらだなんて。



「く、くそ。俺はク○ボーなのかああ……! あイって」



 な、何だ急に?

 視界がグラグラして………顎が痛い。



◇◆◇



「はっ! 一体何が? 化け物はどこに? 俺は死んで………ここはどこだ?」



 死んではないようだが、この場所はどこだ?

 逃げ込んだ行き止まりに似ているが、あそこには入り口があったはず。

 でもここは密閉されてる。



「………あん? この壁だけなんか……質感が」



 ここだけ他よりも滑らかだな。

 俺が何かやったのか?

 そういえばここの壁の大きさ、あの入り口と同じくらい。



「てことはまさか、これ俺がやったのか!?」

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