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ノオオオオム!  作者: 岩ゴロー
1/8

・・・1話

 薄暗い部屋の中パソコンの光に照らされる俺。

 今何をしているのかって?


 俺の目から見れば日々の日課である情報収集。

 広大なネットから欲しい情報と見たくもない情報を取り入れている。

 ただ広い視点から見れば、



「はは、こいつ炎上してる」



 まあ、何もしていないと言えるだろう。


 現状に満足しているか?

 と聞かれれば俺はムキになって「もちろん!」と答える。

 ただ心の内では正直虚しいし、

 外に出て学校にでも行かなきゃなと思う。

 たまにふと我に返ると死にたくなるし。


 それじゃあ早く外に出ろと言われれば、それでも嫌だと言う。

 何故かって?

 それは勿論、もう取り返しがつかないからだ!



「ん………そうか、今日だったか」



 窓の外を見てみると両親が妹と出かけるところ。

 確か高校受験の合格祝いだったか。

 俺も母親に誘われていたが断った。

 妹の視線が痛いとか、人見知りで家から出られないからとかではない。

 決して。

 う、うむ。


 そんな感じで妹との能力差に嫉妬する感情も無くなって、

 もはや社会で生きるという望みを捨てた俺にとって学校へ行くというのはとても面倒なのだ。


 不登校の原因がいじめであれば、俺も少しは反骨精神が芽生えたのかもしれない。

 ただ俺が不登校になったのは何となく行きたくなかったからだ。

 面倒くさくなったというか、将来に魅力を感じなくなったというか。


 父親にはそのせいで呆れられているが、

 不登校の理由なんて大体そんなもんだろ。

 というか子供に期待しすぎなんだよな。

 もういっそのこと空気として扱ってもらったほうが……



「それもそれで辛いか………………はあ、違うこと考えよ。なんか面白いニュースでもないかな……?」



 取り敢えず精神を安定させよう。

 でないと俺のメンタルがまずい。



「……………何これ」



 めっちゃ視聴されてる動画がある。

 なになに、「隕石が落ちてきてる」ってそんなわけ。



「………この光ってるのが隕石か…………ま、どうせ作り物だろ。情弱はすぐこういうのに騙される………っておいおい、有名なニュースサイトにも載ってるのか」



 ということはこれは真実だな。

 有名なとこが言ってるんだから間違いない。


 というか、ネットの盛り上がりが凄いな。

 世界の終わりだとか何とか。

 どうせ大気圏で燃え尽きて、綺麗でしたってオチだろ。

 大抵こういうことって何も起こらないんだよな。



「はあ、どうせならこの隕石で人類丸ごと消し去ってくれればいいのに………」



 お、隕石が光ってる。

 そんでもって爆発した。

 はぁあ、つまんね。

 まあ少しは楽しめたかな。


 漫画でも見るか。

 このサイトは閉じてっと。



「………まだ新作は更新されてないか」

「おいあれ!」



 うお、びっくりした。

 なんだ? 外で何かあったのか?



「んん? あいつが叫んだのか……全く近所の迷惑も考えてほしいものだぜ」

「やばいやばい!」

「あれこっちに来てね?」

「あれ? あれって何だ………ん、あれは」



 なんか空で光ってる。

 ドローンか? いや、にしては明るいな。



「ここに落ちてきそうだ」



 嫌だぞ厄介ごとは。

 今家族が家にいないから俺が対処しなきゃいけないだろ。

 そん時は居留守使うけど。



「知らんぷり知らんぷり…………」



◇◆◇



「ん、んんん……んあ!?」



 あれ、俺何して。

 寝てたのか?

 いつの間に……。


 それにしてももう夜なのか?

 暗くて何も見えない。

 明かりが欲しい。

 スマホはどこに………あれ? なんか見えてきた。

 目が慣れたのか。



「い、いや見えすぎじゃね? 昼間みたいにハッキリと………え?」



 どこだここ。

 俺の部屋じゃないどころか、何もない。

 それに狭くてゴツゴツしてる。

 この壁は、石か?

 ああ床も、それに天井も石で出来てる。

 てことは、ここは洞窟の中!?



「どうなって………………」



 一体なぜこんなところに。

 誰かに拉致されたのか?

 それとも家族がこれを……?

 それはないか。

 俺に何かをするほど皆んな暇じゃないしな。

 おかげで無視は結構辛いってことも知ってるし。



「て、まてまて。そうだ、考えなくても簡単なことだった。これってつまり夢。そう、俺は夢を見てるんだ。うん、そうに違いない」



 焦ったぜ、全く。

 さて、そうと分かれば夢でしかできないことをやろう。

 そうだな、例えば沢山の女の子をはべらせてグヘヘ。


 と言っても、どうすれば良いのか。



「ちょっと歩いてみるか」



 にしても、これって明晰夢ってやつだよな。

 結構久しぶりの感覚だ。

 やけに現実的だけど。

 心なしか体の感覚がおかしいし。



「……んん? いや本当におかしいぞ? 俺の体どうなってるんだ??」



 いつもと違って、何というか……。

 歩幅が小さい気がする。

 それに力が溢れてくる感じがするし、

 体調が良好を通り越して抜群だし。



「夢ってもっとこう……お? あの光は?」



 角を曲がった先で何か光ってるな。



「何があるかなっと……おお! 凄いなこれ!」



 光っている石……水晶か?

 あちこちに生えてる。

 青白い光が綺麗だな。

 なんていう石だろう?

 こういうのには詳しくないんだよな。

 サファイアっていう宝石かな?

 全体的に青いし。



「洞窟の中に光る宝石……今まで見た夢の中で一番変だな。まあ夢なんてそんなものか。それにしても綺麗だ、このい、し………え?」



 お、おいおいおい。

 何だこれ。

 何かの冗談か?

 石に移ってるこの姿。



「これ、もしかして俺か?」



 脚がめっちゃ短くて、逆に腕は長い。

 顔とか体が……これ、樽だろ!

 あのおもちゃ、何とか危機一髪と瓜二つなんだけど!?



「は、はは。へ、変な夢だな………あいてっ!」



 いてて、驚いて思わず転んじまった。

 ………え? 痛み?



「ま、まさか、そんなはず……嘘だろ……!? これ、もしかして現実なのか!?」

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