15・種族編①
翌朝、登校するため冬弥が家を首を垂れ下げながらダルそうに出ると、優奈がドアの前で待っていた。
「おはよー!ね、一緒に登校しよ!」
「いつもの結界使えばいいじゃんあっちの方がすぐだろー」
と冬弥がだるそうに聞くと
「いやー、今日せっかく早起きしたし、友達もできたしね!普通に登校してみようと思って!」
「まぁ、良いけどさ〜例の太るデバフがないとお前、制服ブカブカじゃん!」
「気にしないで、私を見なさい!制服ピッタリでしょ?」
そう言われると冬弥は首を持ち上げ、顔を上げた。
通常の時の優奈はやはり、可愛かった。「か、可愛い・・・」と、一瞬言いそうになったが、耐えて、
「な、なぜだ・・・ブカブカじゃない!」
「そりゃーもう一着、買ってるからね!こんなこともあろうかと思ってね!」
「へぇ〜」
冬弥は様々な感情が渦巻いたせいで中途半端な返答になってしまった。
「てことで、行こっか、学校!」
「うん、良いよ!」
(まだ、会って二日しか経ってない奴にこんな感情抱くのはおかしいよな、しばらくこの気持は心の中で締めておこう)
と、思っていたが、電車に乗っている途中、優奈の方に目をやると、とても可愛かった。しばらく見ていると、優奈と目が合った。
「どうしたの?なにかあった?・・・もしかして、私に見とれてた?」
優奈がニヤニヤしながら悪そうな顔で冬弥に聞く。
(ここは素直に答えるべきなのか・・・なぁ)
「ま、まぁ・・・正直、昨日初めて会った時から可愛いと思ってた・・・」
冬弥は正直に答えた。
「ほぉぅ・・・」
優奈はそれ以上はこの話の続きをせず、この話はこれで終わった。この時優奈は何を考えていたのか、冬弥には分からなかった。
電車を降りると、また、話が再開した。
「そうそう、笹垣がさ、今日部員全員で会議するから残れって!と言っても四人しか居ないんだけどね〜」
「四人?なぁ、優奈本当に四人なのか?」
「そうだけど・・・」
「え?俺と、鷹人に、それから優奈、あと一人は?」
「私もあった事はないけど、昨日ね笹垣と電話した時に名前だけ聞いた。確か・・・そら…、空野カナって名前だったはず。とても珍しい種族の子なんだって」
「どんな能力が使えるんだろ?会うの楽しみだなぁ」
珍しい種族の子が使うのって何だろう・・・見るのが冬弥には少し楽しみだった。
そうこう話してると、校門を通り過ぎ、教室の前に着いていた。冬弥と優奈は二人で同時に教室に入った。まだ、登校時間まで時間がかなりあったので教室には誰も居なかった。
基本毎週土曜日更新。