10・新メンバー編②
笹垣は話を続けた。
「で、お前ら二人は何で遅刻した?」
「寝坊です」
先に冬弥が答えた。続けて彼女も、
「私も寝坊です」
「なるほど、寝坊なら罰を受けろ!」
「「え〜・・・」」
二人は口を揃えて言った。
「文句あるのか?寝坊で遅刻して!」
二人は黙った。
「黙ったなら、異論はなしと判断する。では、罰を発表しよう。お前ら今日の放課後、五階のメイン階段から見て左側の一番奥の教室を清掃してこい!鍵は今渡す。逃げようものなら分かってるな!」
笹垣は空気の弾を右手で生成し、二人を脅した。二人は「はい」と答えるしか無かった。
「よし、出ていいぞ!」
どうやら手続きが終わったらしい。
「はーい、失礼しました」
「失礼しました」
職員室を出ると冬弥が彼女に話しかけた。
「おい、デブ。てめぇも異能力使えるのか?」
そう聞いた瞬間、彼女は怒った顔で
「ねぇ、君。人に聞く時くらい、人を侮辱するような言い方やめたら?」
「あー悪い。けど、俺さお前の名前知らないからさ」
「たしかに、そうね〜」
(意外と物分りの良い奴で助かったぜ!)
「なら教えてあげよう、私の名前は優奈だ!」
「え?下の名前だよね?」
「うん、そうだけど?」
「上の名前は?」
「知りたかったら自分で考えるか調べて見てね。青野冬弥くん」
「な、なんで、俺の名前知ってるんだ?」
「君、笹垣の作った変な部活の部員でしょ?」
「う、うん・・・」
「私、新メンバーって紹介されてたのかな?それだからよろしく〜」
「はぁ〜、新メンバーがデブかぁ〜。もっと可愛い子・・・」
「バスッ!!!」気づいたら冬弥はお腹にグーパンをいれられていた。
「何か文句でも?」
優奈の表情はまた怒っていた。
「いえー何でも。新メンバーが増えてとても光栄だなぁと。へへへ・・・」
「だよね〜」
優奈は笑っていたが、目が笑っていなかったのが、冬弥にとってはものすごく怖かった。
「で、話戻すとなんで、下の名前だけなんだ?教えたの」
「そらー、呼びやすいでしょ?それ以外理由なくない?」
「上の名前によるくないか?」
「まあそうだけどね」
そんなこんなで話していると教室に着いた。
次回1月22日更新。