1・能力編①
三話目からは三人称視点に切り替わります。それまでは一人称視点です。
ここは日本某所にある日本一大きな市。円月市。この市にはビル街や地下街、住宅街から、大きな森林や山々や川辺に点在する集落など様々な街や村などが存在している。また海もある。
俺、青野冬弥はそんな円月市に住む今日普通の高校生となる予定だった者だ。そう三日前までは……。
三日前、俺は円月市の田舎地域からこの今日から通うことになる円月市一番の規模をほこる円月市立結城学園に通うため、その近くのマンションに引っ越して来たのだ。当然引っ越して来たばかりで家に食料品は無いので食料品の買い出しに行ったその帰り、俺は公園の中にある噴水のふちに座って食料品と一緒に買った缶ジュース飲んで休んでいた時、二歳くらいの男の子を黒服の男が誘拐して逃走しているのを見た。。後ろからは母親であろう人が
「誰かその人を捕まえて!おねがい!」
と大声で叫びながら追いかけていたが周りの人達は男の走り去るスピードが速すぎるため誰も捕まえれない。そんな時その男が俺の目の前を通りかかろうとした時だった。俺は本能的に片手を噴水の近くに当てたその瞬間、俺の手のひらに水が集まってきてそれが剣になった。
「な、なにこれ?」
かなり動揺したがこの剣を使えば男を捕まえれるかもしれないととっさに判断し、俺は男が前を通るタイミングを見計らいその剣を男の足にめがけて刺した。幸い手よりも剣はリーチが長かったためギリギリだったが刺さった。
「グッ///」
男は足をおさえて倒れた。その隙に俺は男の子を助け自分の座っていた噴水のふちに座らせた。そして俺が黒服の男の上にまたがり警察に通報した。ちなみに水の剣は気づくと消えていた。数分後警察官が到着した。そしてその警察官の人は見慣れた顔の人で
「と、冬弥君?だよね…二年ぶりだね!」
確か田中さんだ。二年前偶然この街で買い物をしていた帰りにひったくり犯を捕まえた時に知り合った警察官の人だった。
「この地域で犯人捕まえたなら俺に言ってくれれば良かったのに前に電話番号教えたでしょ」
と田中さんは少し悲しそうな声で言った。
「お久しぶりっす。そうしたかったんですけど使わなくて埋もれちゃいまして…」
「それはショックだ…なら今度はLINE交換しない?」
…いやこんなに個人情報明け渡していいのかよ。それにまず田中さんのLINE使うのか?…とその時の俺は思ったが、この地域に引っ越してきたから一応交換だけしとくかと思い、
「まぁ〜いいですよ。今日からこの街に引っ越してきたんで」
「それは良かった楽しくなるね!山萩こいつ署まで連行しといて。俺は男の子の母親と話するから〜」
「はい!」
そう言って犯人は田中さんの後輩の警察官に足を引きずりながら連行されて行った。
話が終わった後、男の子の母親は去り際に俺の目の前に来て
「ありがとうございます。ほんとに…」
と一言いうとカバンからお菓子を取り出して俺にくれた。
「ごめんねぇ。こんなものしかないけど…ほんとにありがとうございました」
「いえいえ!」
その後も何度か「ありがとう」と言われた。そして母親と男の子はその場を去って行った。俺は田中さんに連れられ俺は近くの交番へ行った。交番につくと、彼は急に深刻な顔に変わった。
「今回の件はよくやったと思う。まああれくらいの事なら君は何も言われないだろう!そして最近この市内全域で子供の誘拐や誘拐未遂が多発している。冬弥君も気おつけるんだよ!」
「いやーもう俺子供じゃないですよ!」
と笑いながら返した。
「あとそれに君も…うんなんでもないこの事はおいおい分かるだろう」
「なんですか?教えてくださいよ〜もったいぶらずに」
と言ったが田中さんはその時は教えてくれなかった。
「まあこれからよろしくね!あと気おつけて帰れよ!」
「は〜い」
その場を濁された。俺が交番を出てすぐに田中さんは誰かに電話をかけているようだった。
そして当然このご時世、噴水の水をかき集めて剣を作り男の足にそれを刺し捕まえた。少年の動画はまたたく間にネットで拡散されていった。
かくして話は現在に戻る。
そのせいで今日の入学式は周りにたくさんの人が集まってきては
「ねぇねぇ水から剣出してよ」
「剣出してよ!」
「剣出して〜」
と言われるはめになった。中には水を渡して来る人もいた。この時俺は悟った。もう俺は平穏な高校生活は送れないのだと・・・