表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンソード  作者: アカツキハル
2/2

成人の儀式

 ジェイクはロロンに乗って広場まで飛んで行った。広場に着くと、成人の儀式のための篝火やお香などが置かれていた。

 いよいよ成人の儀式が始まる。

 里の長が広場の奥の小屋から出てきた。伝統の赤と青の糸で刺繍が施された白い絹の衣を身に纏い、右手に大きな宝石の着いた杖を持って、ゆっくりと歩いてきた。

 長は広場の中央に立った。

 ジェイクは長の前でひざまずいた。

「今より、ジェイクの成人の儀式を始める」

 そう言って長は持っていた杖を上に振り上げた。その瞬間、周りに置いてあった篝火に火が付いた。

「そなたの人生が明るく素晴らしいものになりますように」

 長は何やら呪文のようなものを唱えた後、白い粉をジェイクの周りに振りまいた。

「ジェイク、こちらへ来なさい」

「はい」

 ジェイクは長の前に立った。

 長は懐から何かを二つ取り出し、ジェイクに差し出した。

「この、成人の証をそなたに授ける。そしてお前の相棒のロロンにもな」

「ありがとうございます!」

 ジェイクは成人の証を首にかけ、もう一つをロロンの首にかけてやった。

「これでお前もロロンと共に里の外に出られるな。おめでとう」

 長はジェイクに訊いた。

「お前、外を出たら、どこに行くつもりなのだ?」

「俺は、ロロンと一緒にトルトの城下町へ行って、竜騎士(ドラゴンナイト)になるための試験を受けるつもりです」

「そうか、頑張るんだぞ。お前は里で一番(ドラゴン)に乗るのが上手かったんだからな。里の者も、みんなお前を応援しているよ」

 ジェイクの胸に、嬉しさと同時に里を離れる寂しさが込み上げてきた。今までずっと里の外に出たいとばかり思っていたのに、不思議なものだ。

「俺、頑張って、必ず竜騎士になって見せます」

「もう、明日には里を出るのか」

「はい、そのつもりです」

「そうか……。若者も、ずいぶん少なくなったのぉ」と、長はつぶやいた。

「では、失礼します」

 ジェイクは長にお礼を言って、ロロンにまたがった。

「ロロン、家まで飛んでくれ」

「グオオーーン!!!」

 ロロンはジェイクを乗せて、大空へ飛び立った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ