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51 クエストとは

 南の洞窟から無事に帰還した俺達は、皆でタンナーブに戻ってから解散となった。

 英雄パーティはというとこの後もう一件別の依頼があるそうで、南の洞窟前で別れていた。


 タンナーブまでの道中は、英雄パーティの話題で持ちきりだった。

 俺がデュラハンシスターズとの戦いで、皆を逃がすために一人足止めをしていた話よりも、英雄と賢太郎がどんな風に魔物を倒していたかが気になるようだ。

 デュラハンクイーンやデュラハンキングとの戦いを話すと皆興奮していた。

 デュラハンクイーンの事はまほと守から聞いていたみたいだが、そのままデュラハンキングを倒したといった情報は初耳だったようだ。

 最後デュラハンキングの息の根を絶ったのは俺だが、その死闘に俺は参加していない事にしている。

賢太郎の魔法によって能力が上昇した英雄が、そのまま斬ったと。


 この内容は事前に、英雄と賢太郎が何も知らないまほと守にこんな感じで話そうと口裏を合わせていたことだ。

 実際あのまま戦っていたら英雄が勝っていたことだし、結果的には何も変わりはない。



◇◇◇◇◇◇



 南の洞窟でレベル上げを行った三日後、俺達は冒険者ギルド内の机を囲んでいた。

 今後についての話し合いだ。

 パーティメンバーは俺、ゆうな、剣児、真弓、銀次、ナックル、チェリーの七人だ。


 久しぶりに見たチェリーは、地下訓練所でレベルが上がったからか見るからに態度がでかくなっていた。

 元々ただでさえ巨漢なチェリーが椅子にふんぞり返って座っている姿は見ていてあまり気持ちの良いものではない。

 しかし隣にいた真弓に態度の事でめちゃくちゃ怒られてからは姿勢を正して態度が一変した様子であった。

 いくら強くなったと言えど、本質は変わっていないようだ。


「……というわけで、これからギルドクエストを受けようと思います!」


 本当は補助の役割を為す職業、つまり英雄パーティでいう賢太郎や守といった僧侶や盾使いを探そうとしていた。

 南の洞窟での戦いを耳にし、話し合いの上その結論に至ったのだが、いざ冒険者募集の受付に行ってみると僧侶と盾使いはほとんどいなかった。

 それならばということで、まずはギルドの依頼を受けようという流れになったのだ。


 ゆうなから聞くとクエストの内容は様々だった。

飼い猫の捜索から始まり、他の町までの護衛や物質運搬、魔物討伐、更には新米冒険者への戦闘教育までもあるという。

 各クエストには一応推奨レベルや推奨職業などといったある程度の基準があるようだ。

 例えば飼い猫の捜索は推奨レベル1~、護衛や魔物討伐は推奨レベル10の依頼もあれば、推奨レベル50のクエストもある。

 要は、命に関わるクエストはその分レベルが高くないと受けれない。

 その分、報酬金も高く設定されている。

 ギルドで管理しているクエストは、国からの依頼もあれば個人からの依頼もある。


 俺達は早速、ギルド内にあるクエスト掲示板に向かった。


 掲示板にあるクエストを選んでから、クエスト窓口で手続きをするといった流れになっている。

 隅々まで掲示板を見たが、あまりパッとした依頼がなかった。

 それこそ魔物の討伐系のクエストはなく、捜索依頼や警備といったクエストのみで、皆は微妙な反応をしていた。


「これだったら何でも良さそうね」


 真弓がぼそりと呟くと、皆首を縦に振りながらもその中でどれが良さそうか意見を交わしていた。


 そこに修道服を纏った女が慌てた様子で俺達の後ろを横切った。

 皆気にしていないようだが、ゆうなだけはその女の行方に注意を向けた。

 その女は、クエスト窓口に立ち焦った様子で窓口の男に何かを訴えかけていた。

 話の内容は分からないが、状況から察すると、急な依頼かなーとか考えていた。


 するとゆうなは「ちょっと待ってて」と言い残し、窓口に向かい歩き出した。

 何故かその女の横につき、窓口の男、修道服姿の女、ゆうなで何やら会話をしていた。

 しばらくその様子を見ていると一通り話が終わったのか、修道服姿の女はゆうなに礼をして立ち去っていった。

 そして窓口の男と一言二言交わしたゆうなが掲示板の前に集まる俺達の元へと戻ってきた。


「皆さん、クエストを受けてきました!」

「さっきのレディーかー?」

「そうです!」


 ナックルが親指で冒険者ギルドの出入口をクイクイと指をさす。


「どうしてあのレディーの依頼を受けたんだ?」


 俺も気になっていたところだ。


「何でも良いかなーって思ってたところに先程の女性が通りかかったからかな。どうせなら依頼主の素性が分かっていたほうが良いし、すごく焦った様子でしたから。ちなみに依頼内容はこの紙に書かれている二人の捜索です!」


 ゆうながバーンと手に持っていた依頼内容を見せつけた。

 そこには、『教会で保護している12歳男女二名、アラヤ トモハルとアラヤ トモコの捜索依頼』と記載されていた。

 下部には行方不明になった日付や当日の足取りなどが明記されていた。


「剣児はんと同い年でやんすねぇ。この年齢で行方不明ってことは恋仲になってそのまま二人でってこともあり得るんじゃないすかねぇ?」

「その可能性は限りなくゼロです。二人は双子ですから」


 子供の捜索かー。

 この人数で捜索したらすぐに見つかりそうだが。


 とにかく受けたからには俺達も動かなければ始まらない。

 とりあえずどこをどう探すかテーブルを囲い、皆で話し合うのであった。

次回予告

 英雄パーティと別れた後、冒険者としてクエストを請け負うことになったハーデス達。その最初のクエストが行方不明の二名の捜索であった。二人の手がかりを掴む為に教会へ向かうことになったが、そこには二人が失踪したきっかけがあった。


次回 ~捜索~

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― 新着の感想 ―
[一言] まさかの更新でゴザル……。
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