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あたたかい気持ち、あたたかい友達

 戻ってきた先生に、私たちがここに来ていないと錯覚させる魔法を使ってから、リーリエと共に教室に戻りました。


「……天野さん。恋人の悩み、深刻。天野さんが力になれないわけじゃないけど、あまり掘り下げないであげて」

「咲子さんがそう言うのなら……そうなのでしょうね。リエさん、私にできることがあったら何でもしますから、相談したくなったら言ってくださいね」

「……アマツジさん。私も、美しく咲いた百合を守り通す義務がある。力になれる範囲のことはする」


 うーちゃんも、リーリエも……ありがとう。


「みんなに心配させているのに、思われていることがうれしくて……なんだか、申し訳ないです」

「恋人を想うのは当然のこと。それに申し訳ないと思う必要なんてありません」

「……百合の背景として、お手入れは大切に……」


 うーちゃんはこういう人だし、リーリエも女性同士の恋愛に関心を持つようになった以外は変わらないなぁ……見習いは見習いなりに、いつも私のことを心配してくれていたっけ。

 笑いながら、少し泣きそうなほどありがたくて、二人に深く頭を下げます。

 頭をあげると、二人ともやれやれ、という感じで笑っています。

 その二人の表情を見てから、周りの人に目をやる。

 リーリエの話によれば、現代の陰陽師を気配で見つけ出すことはできない。

 なら、この中に私を狙う陰陽師がいてもおかしくない。

 その陰陽師が、私を狙うためにうーちゃんを狙っても、おかしくはない。


「なによ、私抜きでみんななんて……天野さんのこと、キャーキャー騒ぎはしないけど嫌いではないんだから、あたしにも力になれることあったら言いなさいよ……」

「みやちゃん……じゃあ、私がいないときはうーちゃんを見ていてあげてください。しないと思いますけど、浮気しないように」

「……ま、あんなぞっこんだと本当に無意味だと思うけどね」


 近くを通ったみやちゃんに、そう頼んでおく。みやちゃん、うーちゃんのことを友達と思ってくれていたんですね。

 ……いえ、安心してはいけませんね。リーリエの言う通り、誰が私を狙う陰陽師かわからないのですから。

 おそらく、いつの時代でも身分を隠し慣れた人はさらさらと嘘がつけることでしょう、そうなると、敵じゃないと確信が持てるのはリーリエくらいのもの。みやちゃんの親切さを疑いたくはありませんが、それが演技である可能性は捨てきれないのです。

 陰陽師と和解、あるいは撃退できたら、安心して笑っていられるのですが……。

 でも、今のところ天野家の内情を妙に詳しく知っている、はるなさんが一番怪しいことも確か。あまり片っ端から疑わなくても良いのかもしれませんが……うーん……。

 ひとまず、もうすぐ始まる三限目に目を向けるとしましょうか。疑わしいのは、はるなさんくらいですし。第一、疑う根拠がありませんからね。

 うーちゃんに必要以上にくっついて不安をごまかしながら、次の科目の先生が来るのを待つのでした。

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