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これは、ヒント?

 もやもやとした気持ちで教室に戻ると、みんなに囲まれているうーちゃんの姿がありました。

 その表情は穏やかなもので、さっきはるなさんから聞かされた話──ストーカーがいる、という話からは縁遠いように思えます。

 ましてや、うーちゃんは関わっていないとはいえ、永久女──つまり、私を薬物の実験台にしている家だなんて、信じられません。


「戻りました、うーちゃん」

「リエさん! ご無事ですか? お怪我は!?」

「何もないですよ。でも、心配してくれてありがとうございます」


 私が声をかけると、うーちゃんは輪の中から出てきて、すぐに来てくれました。

 ……うん、はるなさんから得た情報は、今は聞かなかったことにしましょう。

 こんなに純粋に私を想ってくれている人が、私が想う人が、あんな汚れた世界に関わっていると思いたくない。

 現実逃避、でしょうか……。


「リエさん、ごめんなさい。勇気が足りませんでした……これからは、片時もはなれませんから」

「もう、そこまで言わなくて大丈夫ですよ。心はいつだってつながっている。そうでしょう?」

「尊っ……」


 あ、スケッチブックさん……。

 まあ、こんなに平和な学校で、何も変なことは起きないでしょう。

 起きるとしたら、終わった後……。


「リエさん? やはり、はるなさんに何か言われて……?」

「あ、いえ……まあ、言われはしたんですけど、それとは関係ありませんから」


 あそこまで語っておいて、何もしてこないとしたら……それは、泳がされているのでしょうか。

 それに、はるなさんから感じた、人間以外の気配も気になります。あれはいったい何の気配だったのでしょう……。


「二限目の授業は何でしたっけ、うーちゃん」


 とはいえ、そんなことを話しても不安にさせるだけでしょう。日常会話に戻って、安心してもらわないと。


「日本史ですね。今日は平安時代のことをやるはずですよ」


 小声で”ちょうどリエさんが日本にわたってきたころです”と付け足してくれるうーちゃん。

 定さんがいた時代……ほぼ寝ていただけなので結構思いだせますけど、私のような存在が割とうろうろしていたような。

 現代ではどう伝わっているのでしょう。少し楽しみですね。


「はい、皆さん席についていますね。それでは、日本史をやっていきましょうか」


 先生の声に正面を向き、立てないなりに礼はして、授業を受けていく。


「さて、皆さんは平安と言えば何を思い浮かべるでしょうか。最近ですと、見事な演技で使われたことから、安倍晴明の名前を思い浮かべる人も多いかと思います」


 え……先生、今、あべのせいめい、と?

 あべの……それって、はるなさんと同じ苗字!


「すいません、先生。その安倍晴明とは、どのようなことをした方なんでしょうか?」

「えー……ああ、留学生の方ですね。陰陽師という、悪鬼、悪霊を祓う役目……と、いうのが一般的ですが、実際には星を見て占いをしていた、という説が有力ですね。ただ、せいめい、という読み方があっているかすら怪しく、はるあきら、と読む説もありますよ」


 悪鬼、悪霊……それって、まさに私のような存在のことでは?

 もしもはるなさんがその末裔だとしたら……気絶した夜の気配も、彼女なのかもしれません。


「さて、それでは改めて。みやびやかな時代というイメージの強い時代ですが、呪いの類や、それを返すための術があったりと、実際には人間関係がドロドロと渦巻いていた時代で──」


 先生の説明も耳に入らないほど、私は自分の中で仮説を組み立てていました。

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