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うーちゃんの暴走~なんですぐそっちに頭が行ってしまうんですか?~

 しばらく押された私は、職員室で先生方からお話をされていました。


「初めまして、アマツジさん。私は坂郷あやめ。天野さんのクラスの担任をしています。事情は、天野さんのお父様から電話で聞いています。しばらくの間、クラス見学をしたい、ということでよろしいかしら?」

「はい。本当ならうーちゃ……うずめさんとずっと一緒にいたいですけれど、今回も日本にいられるのは父が仕事をしている間だけでしょうから」

「そんなに肩肘張らなくても大丈夫よ、アマツジさん。天野さんは人気のある子だから、特別親しいあなたに嫉妬する人はいるでしょうけれど、教師までそうしているわけではないもの」

「わかりました、あやめ先生」


 凛とした印象の、細い銀のフレームのメガネをかけた黒のショートカット。隙を与えない女性教師のように見えますが、結構優しい人のようですね。


「けどね、アマツジさん。二人が特別な関係なのは見ればわかる。でも、学校内ではいちゃつかないこと。女学院だから明文化こそされていないけれど、学内恋愛は禁止。それが誰も言わないけれど決められているルールのようなものなの」

「……すいません、先生。さくらさんの前で関係を問いただされて、面倒くさくなって……その、キスを」

「……天野さんって、本当にたまに何考えてるか分からなくなるわね……辻野さくらさんよね……あの子結構そういうの言いふらすタイプじゃないかしら……」

「はい……おそらく、彼女のクラス内には広まっているころかと」


 さっきの方、そういう人なんですね……。

 でも、私とうーちゃんの関係を知られて困るわけでも無いですし、説明の手間が省けていいかもしれませんね。


「過ぎたことを必要以上に責めても仕方ありませんから、これ以上は何も言いません。ですが、あまりにも目に余る行動をすると、さすがに処罰の対象にせざるを得ませんからね。アマツジさんが学内に入るのを禁止する可能性もある。そのことだけは頭にとどめておいて」


 そんなことを考えている間に、話はまとまったようですね。学校に入れさせてもらえないのは大変ですから、自重しましょう。


「目に余る行動とは、どの程度から?」

「それを教えたらそこに至らないぎりぎりをせめるつもりよね?」

「……ちぇっ、ばれましたか」


 うーちゃん? 私は自重しようと思っていますよ? うーちゃん?


「とにかく、学生といえど学校は公私で言う公にあたる。私の感情は混ぜ込まないこと。いいわね?」

「それを言ったらファーストレディーなども公私混同にあたるのでは?」

「うーちゃん、落ち着いて。禁止されているのは、あくまで学校にいる間だけ。学校が終わって、学外に出てから、いっぱい恋人らしいことしましょう?」

「…………初夜」

「天野さん。それは学生の内は自粛なさい」


 さすがに……そこまでは。まだ覚悟ができていないので……うん。でも、ずっと一緒にいられたらそういうことにもなるかもしれないですし、一緒にいることのスパイスになるのならむしろ積極的にしていきたいぐらいでして、ああでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいですしそもそも私は異性間でもそういう経験がないわけで──


「きゅぅ~……」

「……天野さん? アマツジさんが恥ずかしがりすぎてもう大変なことになっているのだけれど」

「はっ! ご、ごめんなさい、リエさん。困らせるつもりでは……!」


 頭の中がイケないことだらけになって、気絶しそうな中、二人のその声ははっきり聞こえました。

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