雅典神(アテーナ)
〜出会い〜
だいぶ、寝ちまったみたいだな。
最近、疲れが溜まってたからな。
昨日も寝れなかったし。
いや、それだけでは班別行動最中にぶっ倒れた理由にならないか。
そこまで具合が悪かったわけでもないし。
なんか、体が重い。
というより全く動かないんだけど!
クソッ、どうなってんだ!
ここは病院か? やけに暖かい。
暖房でも入ってるのか。
いや、そういう暖かさじゃなくて、もっとほら。
うまく言えないけど。
何はともあれとりあえず状況を確認しないと。
まず目を開けることから。
眩しい。
「………」
「おっ、起きた。お、おはよう。」
「はい、おはようござい、ま。」
「……」
これは何かの間違いだ。
こんなこと…ありえない。
「…」
「えっと、これは、どういう状況で?」
「膝枕というものだけど、不満?」
「いや、そういう訳では、、決して…」
今の状況をありのまま説明したいんだが、俺自身わけわからん。
目が覚めたら、その、美少女?に膝枕されているわけで…。
あの暖かさは彼女の…//
まさか今までお付き合いもしたことなかった俺が。
い、いかん。こういう時こそ冷静沈着に。
この子、誰だ?
少なくともうちの学校の生徒じゃない。
相当おかしな格好してるし。
いや、コスプレか、太秦に来たから武将のコスプレしてるのか?
「アプロディーテから教わったんだけど、これすると男は喜ぶって…。
さてはアイツ、嘘を教えやがったな!?」チッ
とりあえず、話を合わせるしかないか。
「いやいや、すごく嬉しい、ですよ。」//
「そう…。」///
まぁ嬉しいっていうのは嘘じゃないし。
このおかしな出来事のせいで、心から膝枕を堪能する余裕がないのが残念だが。
「…君、人間でしょぅ?」
「は?」
「違う?」
「い、いや、そうですけど。」
「焦ったいわねぇ。
でも、まさか人間がこんなとこに、ねぇー。
で、なんか思うことはないの?」
「あの、色々ありすぎて何から話せばいいか。
………
まず、貴方は誰、ですか?」
「…」
「……私を、知らない?」
「…はい。なんかすいません。」
「いや、謝ることじゃないわ。そういえば君、東洋っぽい顔をしているね。出身は?」
「…に、日本。」
「……」
「に、ほ、ん? ……知らないなぁ。まぁいいや。 どおりで私の顔を知らないわけね。」
一体、どうなってんだ。彼女は誰?
ここはどこなんだ!?
頭が回らない。
「君、なんて名前?」
「…え?」
「だから、名前だよ、名前。」
「あっ、はい。えっと………あれ?」
名前ね、なんだっけな…。
ん? ヤバくね?
ヤバいヤバいヤバい、名前だぞ!名前!
覚えてないわけあるかい。
えっと、たしか…。
だめだ。思い出せない。
俺って、思ってたより重症なのかもしれない。
「ねぇ、名前、無いの?」
「っ、……すいません。忘れ、ました。」
「忘れた? まさか。」
「本当なんです。全く思い出せなくて。」
「…まぁ、いいわ。
でも不便だから、えっと、そうね、
…
レオってのはどう?
そう名乗りなさい。」
「レ、オ…。」
「なにか不満?」
「いえっ、とってもいい名前です。
ありがとうございます。」
「そう…。」
まず、色々情報収集しないと。
今のところ何にも分からないからな。
今分かっているのは、ここが日本じゃないってことだけ。
え?まずくね?
この一瞬で国外に飛ばされてんだぞ!?
最悪な状況というより、もうワケワカラン。
とりあえず…。
「あの、貴方の名前は…?」
「私の名前? 私は…
雅典。そう呼んでくれて構わない。」