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第五話 禁断魔法

なにはともあれ一度繋げてみることにする。

ミスったら…その時はその時だ。

色々な覚悟をしていると、背後に人の気配がした。

「スティか。」

「俺はお前の魔力について研究するんだ。そのためにはまず資料が必要だろう?」

そういって見せたのは大きめな機械。

「何それ…。」

俺が聞くと、スティは機械の側面を見せてきた。

そこには何やらよくわからない文字が。

「いやだから読めねーんだって。」

「これも読めねーのか。」

言葉はバカにしてる感じなのにちっともそう思わない言い方で呟いていた。

勇者はなにやら考えている様子。

遮るのは申し訳ないが、変に死ぬよりはましなので草原の場所を聞いてみる。

「ユウがいた…あ、テトラス草原か。」

確かにあそこは広いしな、と頷くと一人で歩いて行った。

どうやら連れて行ってくれるようだ。




「ここだな…。」

どうやら着いたようだ。

初めにいた時も思ったが、やっぱりここは広い。

「町ぐらいだったら出来そうな広さだよな…。」

「まあ実際土地開発をしようとしていた人もいたからな。」

スティは困ったような顔をして唸りながら言った。

「何かだめだったのか?」

「話すと長くなるんだが…。」

「分かった、また今度で。」

長い話をされるのは苦手だ。

やんわりと断った後、俺はさっき教えてもらった【無重力】で上空に飛んだ。

扱えると楽しいもんだな。ゲームで事あるごとに飛んでいる女性がいたが、その人もこんな気持ちだったんだろうか。まああの人風属性だけど。

「俺の属性なんなんだーっ!!」

もどかしさからくるイライラを魔力に込めて地面に放つ。

「な、なんだこれ!」

スティが機械を凝視しながら目を見開いている。

一応威力が少ない【衝撃波】を放ったつもりなんだが…。

地面がピンポイントにクレーター化していた。

「え、マジか…。」

修復が大変そうだな。

「こんなのどうやって直すんだよ…。」

スティも同じことを思っていた様子。

「【修復】かな~。」

一度スティのそばに降りて聞いてみた。

「いや、それで直すにはかなりの魔力量がいるぞ。」

「じゃあどうするんだ?」

そもそも俺たち以外は入ってこなさそうなところなので、直さなくてもよさそうっちゃよさそうなんだけどな。



暫く沈黙が続いた。

さっきから吹いている風が草原の草を揺らしている。

あたりには木々という遮るものがあるというのに、一体この風はどこから吹いているのだろうか。

スティはさっきから「これか…?いや、違う。それだったら…」の永遠ループに入っている。

俺はというと、暇で仕方がないので【衝撃波】のコントロール練習をしていた。

全方向に飛ばすのは危険なので一方に飛ばしているのだが、飛ばす度に草が刈られていくので何だか楽しい。

「この調子で強弱と連射ぐらいは出来るようになりたいな~。」

独り言をつぶやいたら、コントロールをミスって木を倒してしまった。


集中するか。

真面目にやると結構細かいところまで調整可能なんだけど、あせるとどうしてもミスってしまう。

あせっても大丈夫なようにならないかな。

「よしユウ!【時空操作】をやってみてくれ!」

「は、今なんて!?」

集中していて聞いてなかった。あとまたミスって砂ぼこりが出てきた、煙たい。

「時空操作、な。」

「なるほど。」

修復するには規模が大きいから、時間を巻き戻して直そう、ってことか。

「そんな簡単に巻き戻していいの?」

「この草原だけ巻き戻すんだ。出来るよな?」

何か今難題を突き付けられた気がする。



「でもどうやって?」

正直、似たような魔法を知らない。つまりイメージが無い。

俺が今普通に魔法を使えているのは、ゲームでのイメージがあるからだ。

今回の【時空操作】はゲームでは出てきていない。

「イメージは竜巻を起こす感じ。」

そもそも【時空操作】などの空間を操る魔法は禁止魔法だったはずだ。


本当にやっていいのだろうか…。

「おい、聞いてるのか。」

「はい!?」

考えるのに集中してて全く聞いていなかった。

「考えるのはおおいに結構だが、ちゃんと人の話は聞けよ。」

「すんません。」

ここで喧嘩別れするのもマズいので素直に謝る。

別に付き合っているわけではない!



「こうか…?」

言われた通りのイメージでやってみたものの、いまいちピンとこない。

「直っているから出来てはいるぞ。」

スティの言うとおり、クレーターは無くなっていた。

「竜巻を起こす感じってさ、竜巻がおこるんじゃねーの?」

「風属性ならな。」

なるほど。

俺は風属性じゃないから竜巻が出なかったという事か。

もう一回やってみるか。

「【時空操作】っ。」

「ん?なにやって…。」

発動したところだけ木が生えてきた。

ここって前は草原ではなかったんだろうか。



「なあ。あの木に【衝撃波】当てたら倒れる?」

「まあ威力があればな。」

草原に突如現れた、いや蘇った木を指して聞いてみた。

威力があれば、か。

一度最大火力で当ててみようか。破壊しても時間を戻せばいいし。

…そう考えると【時空操作】って結構使えるな。マスターするか。

「スティやってみてよ。」

「え、しかしだな…。」

「ミスったら俺が直すからさ。」

そういっても中々承諾してくれない。

「じゃあ俺からやる。」

やってくれそうになかったので先にすることにした。

狙いを定めて、深呼吸をしてから出せるだけの火力で飛ばす。

全方向に飛ばないようにっていうことを気を付ける以外はすべて威力上げに注いだ。


ドォォォォォォォーーーン!!!

衝撃波は、ぼっちの木だけでなく、その背後にあった木々まで飛ばしてしまった。

「あ、火力上げすぎた。」

「なんでこんなんになるんだ!?」

「知らねー。」

軽く笑いながら【時空操作】で元に戻す。何となくこっちのほうが制御がしやすい。

そういやちょっと疲れてきた。

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